【打撃新時代】バッティングは”脳”が9割!ミート力を覚醒させる視覚トレーニング実践法

【打撃新時代】バッティングは”脳”が9割!ミート力を覚醒させる視覚トレーニング実践法

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

どんな指導をしたら打てるようになりますか?

親御さんだけでなく、少年野球の指導者からも相談される内容です。

試合ではタイミングが合わず、ボテボテのゴロかポップフライばかり。良くても弱いハーフライナーで、内野の頭を全然超えない…。

だから、「打てるようになって欲しくて、野球教室に通わせてるんですが」という話もよく聞きます。

でも、全然打てるようにならなくて…

これ、本当によく耳にするお悩みです。

でも実は、一流のプロから学ぶ「打撃向上のカギ」があります。最新の研究で、彼らの信じられない技術が明らかになってきました。

なんといっても、彼らは0.4秒という一瞬で、私たちには見えない高度な判断をしているのです。それを理解することで、新たなヒントが得られるはずです。

そこで今回は、その秘密をお話しします。

  • 打撃結果に差がつく本当の理由
  • 打撃中に脳内で行われている3つのプロセス
  • 一流選手の脳はどう働いているのか?

これらは、私の35年以上の研究と指導実績に基づいた内容です。

特に、最新のビジュアルトレーニングの情報は必見ですよ。

ぜひ、最後までお付き合いください。

バッティング上達のカギは「脳の処理速度」

お子さんのバッティングでの「振り遅れ」や「判断ミス」。

実は、技術だけの問題ではありません。脳の処理速度も原因のひとつなんです。

プロ野球選手が、コンマ数秒の勝負で結果を出す秘密も、この脳の働きに隠されているのです。  

ここからは、打撃スキル向上のカギとなる「脳のメカニズム」を解き明かしていきます。

打撃結果に差がつく本当の理由

バッティングは、実に複雑な脳の情報処理によって行われています。

その処理を行う反応時間の違いが、バッティングの結果を変えるのです。

脳が目から受けた情報を受け取り認識する時間は、どれくらいだと思いますか?

実は、どんなに速い反射運動でも0.1秒程度かかります。光を見たらボタンを押すといった単純な反応でも、0.2秒以上かかると言われています。

野球のバッティングの判断のように、複数の選択肢がある場合は、さらに時間が必要です。

そして、バットを振るという動作だけでも、0.2秒以上かかるのです。

野球のバッティングが難しいのは、ボールの速さに対する反応時間が、あまりにも短いからです。

プロ野球の場合、投手のリリースしたボールがホームベースに到達するまでの時間は、ストレートなら約0.4秒。少年野球でも0.5から0.6秒ほどしかありません。

トップレベルの打者は、ピッチャーがボールを投げた瞬間に、打つかどうかのタイミングをもう決め始めているんです。

その時間を聞くと驚きです!

なんと、リリース後0.1秒ほど。その一瞬の視覚情報を基にタイミングを判断していると推定されているのです。

脳内で行われている3つのプロセス

「打てない・守れないなら必見!「見て一瞬で反応する脳」で野球を変える科学的秘密とは?」で説明したように、バッティングは3つのプロセスで行われます。

  • 情報を受け取る
    ピッチャーが投げたボールの速さやコースなどを目がとらえ、脳がそれを認識する
  • 判断する
    「打つ」のか「見送る」のかといった判断をする時間が必要
  • 体を動かす
    脳からの指令が神経を通って筋肉に伝わり、バットを振る

つまり、ボールが近づいてから反応していては、絶対に間に合わないのです。ここが、バッティングが難しい理由です。

では、どうすればバッティングの能力は向上するのでしょうか?

一流選手の脳はどう働いているのか?

アスリートの脳機能研究によると、トップレベルのプロ野球選手は、驚くべき能力を持っていることがわかります。

ピッチャーがリリースしたボールがホームベースに到達するまでの時間は、わずか0.4秒です。そのわずかな間に、ボールのコースやタイミングを正確に予測しているのです。

さらに驚くのは、その予測の仕方です。なんと、ボールの速度や回転など明らかな情報だけでなく、「潜在的な情報」も脳がとらえている可能性があるというのです。

ピッチャーの投球フォームの、ほんのわずかな違いを無意識に感じとって、その後の動きに変えているのです。

ここであなたに朗報です!

瞬時に見分ける能力」や「予測力」は、適切な練習で大きく変化する可能性があることが、科学的に示唆されています。

お子さんの脳も同じように鍛えられるのです。

実は、投球映像を使った知覚トレーニングの研究で、予測スキルの向上が確認されています。これは、最後にお伝えしますね。

お子さんの脳は、無限の可能性を秘めています。

それについては、【初公開】科学的野球指導!小中学生は「脳」を鍛えて、野球センスを劇的に伸ばすべしでも解説しています。

併せてチェックしてみてください。

視覚トレーニングの最新情報

打席に入れば、勝負はコンマ数秒で決まります。

バッティングで最も重要なこと。それは、「目で見た情報を脳で素早く正確に処理し、体の動きにつなげる能力」です。

最近では、従来の野球の練習法に加え、「見る力」や「脳の処理能力」を専門的に鍛える練習が注目されています。

これは、視覚能力向上を目指して、脳そのものをトレーニングするという新しいアプローチです。

そして、いくつかの研究で、実際に打撃パフォーマンスが向上することもわかってきました。

では、具体的にどんなビジュアルトレーニングがあるのか、いくつかご紹介しますね。

【VR(バーチャルリアリティ)システム】

プロ野球チームが導入している、最先端のバッティング練習です。

VR空間にピッチャーが再現され、そのピッチャーが投球するボールを打つ練習をします。

この視覚トレーニングで、ボールの速度や軌道を見極め、適切なタイミングでスイングを開始する練習ができるんです。

実際の投球データに基づいた、リアルな映像で練習できるシステム
も登場しています。

NTTデータが開発しているシステムがまさにそうで、埼玉西武ライオンズ、広島東洋カープ、東北楽天ゴールデンイーグルスが導入しています。

また、横浜DeNAベイスターズが2017年シーズンに導入した「iCube(アイキューブ)」も大きな話題を集めましたね。

ただし、個人レベルでVRシステムを導入するには、まだ時間がかかりそうというのが現状です。

【ビデオトレーニング】

より身近に取り組めそうな、視覚能力向上のトレーニングがあります。

それは、モニターを見て行うバッティング練習です。たとえば、映像を見るとボールが投球途中で見えなくなります。

この限られた情報から、ボールの行方を予測するバッティング練習をするのです。すると、脳がより少ないヒントで、正確な予測を立てる力を養うことができます。

GameSense Sportsなどのシステムが、この考え方を取り入れてい
ます。しかし、このシステムはアメリカ製のため、導入には言葉の壁があります。

いずれ日本の家庭でも、VRやビデオシステムを使った野球のトレーニングが当たり前になることを期待したいですね。

お子さんの野球の上達のために、こういったシステムがあると知っただけでも、可能性を感じたのではないでしょうか。

今回のまとめ

バッティングは、脳の情報処理速度が結果を大きく左右します。

一流のプロ野球選手は、投球のわずかな情報から瞬時に状況を判断する能力に長けています。

近年では、VRやビデオシステムを用いた視覚トレーニングも注目を集めています。

脳を鍛えることで、打撃スキル向上の道筋が見えてきます。

お子さんのバッティング向上は、最新のテクノロジーと共に行う時代に入りました。

今後に期待が高まりますね。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

Chen R, Stone LS, Li L. Visuomotor predictors of batting performance in baseball players. J Vis. 2021 Mar 1;21(3):3. doi: 10.1167/jov.21.3.3. PMID: 33651879; PMCID: PMC7938007.

Yamashiro K, Yamazaki Y, Siiya K, Ikarashi K, Baba Y, Otsuru N, Onishi H, Sato D. Modality-specific improvements in sensory processing among baseball players. Sci Rep. 2021 Jan 26;11(1):2248. doi: 10.1038/s41598-021-81852-x. PMID: 33500460; PMCID: PMC7838195.

Masahiro Kageyama12, Hajime Nakashima3, Hiroki Nakamoto4, Masafumi Fujii4 and Akira Maeda4: Characteristics of baseball player bat-swing among subjects at different developmental stages and professionals.

Saijo N, Fukuda T, Kashino M. The temporal structure of multiple visuomotor processes in baseball batting: insights from a virtual reality system. Front Psychol. 2025 Jan 30;16:1514301. doi: 10.3389/fpsyg.2025.1514301. PMID: 39950073; PMCID: PMC11822940.

Nakamoto H, Fukuhara K, Torii T, Takamido R, Mann DL. Optimal integration of kinematic and ball-flight information when perceiving the speed of a moving ball. Front Sports Act Living. 2022 Nov 29;4:930295. doi: 10.3389/fspor.2022.930295. PMID: 36524057; PMCID: PMC9744931.

Tsutsui, Toshiharu & Sakamaki, Wataru & Maemichi, Toshihiro & Sakata, Jun & Torii, Suguru. (2023). Development pattern of swing speed of batting in youth baseball players成長期野球選手の打撃におけるスイングスピードの発達様式. Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine. 72. 253-259. 10.7600/jspfsm.72.253.

Sicong Liu, Lyndsey M. Ferris, Susan Hilbig, Edem Asamoa, John L. LaRue, Don Lyon, Katie Connolly, Nicholas Port, L. Gregory Appelbaum,Dynamic vision training transfers positively to batting practice performance among collegiate baseball batters,Psychology of Sport and Exercise,Volume 51,2020,101759,ISSN 1469-0292,

Nasu, D., Baba, T., Imamura, T., Yamaguchi, M., Kitanishi, Y., & Kashino, M. (2024). Virtual reality perceptual training can improve the temporal discrimination ability of swinging during softball batting. Frontiers in Sports and Active Living, 6, 1332149. https://doi.org/10.3389/fspor.2024.1332149

NTTデータ、V-BALLER
https://v-baller.com/

EON Sport、iCube(アイキューブ)https://www.baystars.co.jp/news/2017/03/0301_03.php

GameSense Sports
https://www.sportsvisionpros.com/industry-partners/gamesense

オンラインレッスンをご用意しています

強いメンタルを備えたトップレベルを目指す選手へ

野球初心者のお子様と、一緒に楽しく学べるオンラインレッスンです。

野球初心者の上達には、こちらのオンラインレッスンがお勧めです。

ぜひ、あなたの感想を聞かせてください

今回の内容について、あなたの感想を聞かせてください。
または、「こんなことが知りたい」ということがあれば、どんなことでも大丈夫です。

野球をしていて「?」があった時には、すぐに私に質問をしてください。

小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生など、野球をしているすべてのプレーヤーの質問にお答えします

info@holosbc.com

こちらのアンケートでも受付しています。

そして、今回の情報が、あなたのお知り合いにとっても有益だとしたら、どうかお知り合いに情報をシェアしてください。

公式メルマガで、最新情報を入手してください

ブログの更新情報を、Holos Baseball Clinic 公式メールマガジンでお送りします。

野球に必要な

  • 運動能力向上の方法
  • 運動センス向上の方法
  • トレーニングやコンディショニングのこと
  • ケガ(スポーツ障害)や成長痛の予防
  • クラムジー対策

など、エビデンスに基づいた情報を選りすぐり、週1〜2回お届けします。

下のボタンから、今すぐ登録してください。

ほかにも、

  • お子様の運動能力と運動センスを高める方法
  • 体の成長のための栄養管理について
  • トップレベルの野球選手が行なっているセルフケア(コンディショニング)
  • 成長痛やスポーツ障害について

などなど、今お困りで情報をお探しでしたら、ホロス・ベースボールクリニックが制作したオンラインコースがお役に立つかもしれません。

今すぐ、個別指導が必要ですか?

お子様の成長痛、肩やヒジのケガで、思うように野球の練習に取り組めていないなど、お困りのことはありませんか?

成長痛やケガからの回復については、あなたのお子様の状況を判断しながら、オリジナルのサポートが必要になります。

石橋が直接状況を確認して、トレーニングの指導を行っています。

そして、現在の体の状態や特徴(長所と短所)を知ることで、ストレングポイントがわかるコンディショニングチェックのサービスも開始しました。

コンディショニングチェックについては、こちらで詳しくわかります。

コンディショニングチェックについても、個別のトレーニング指導についても、小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生も対象に行なっています。

ライバルに差をつけたい。
レギュラーを確保したい。
もっと上手くなりたい。

そういった思いがある選手は、ぜひ、ホロス・ベースボールクリニック事務局までご連絡ください。

info@holosbc.com

好評発売中です

ホロス・ベースボールクリニックがお届けするkindleブックが、大好評です。

小学生の野球が、なかなか上達しない理由

「子どもが野球をはじめたが、なかなか思うように上達しない」
「野球をはじめて1年経ったけど、思うように上達していない」

そのようなお悩みの声が寄せられています。そこで、どうして小学生の多くが、野球が上達しないのかについてまとめたガイドブックを作りました。

小学生の場合、上達しないのには理由があります。そして効果的に上達する方法があります。

また、今回は「一流選手になるための心の習慣」についても触れています。

野球の上達にお悩みでしたら、ぜひご一読ください。

強い体をつくり、野球のパフォーマンス向上に必要な情報がオールインワンのガイドブック

野球をする子どもにとって必要な、運動能力のこと、運動センスのこと、強くて大きな体をつくる方法、トレーニングやコンディショニングのことetc…

知っているようで、じつは間違った認識を持っていることがたくさんあるはずです。

あなたのお子様が健康的に成長でき、野球の能力やセンスを高めるために、ぜひご一読ください。

お子様の強い気持ち(メンタル)を養いたい方へ

野球は、気持ちで結果が大きく左右するスポーツです。
身体能力以上に、気持ち(メンタル)のトレーニングが必要かも知れませんね。

野球をする小中学生に必要で具体的な、メンタル強化の方法を60のアプローチにまとめました。
でも、一つ一つのアプローチはとても簡単です。

親子で一緒にメンタル強化してみませんか?