【あなたは知ってた?】野球の”伸びしろ”は数値化できる!子どもの未来を変えるFMS評価とは

【あなたは知ってた?】野球の”伸びしろ”は数値化できる!子どもの未来を変えるFMS評価とは

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

あなたは今、こんな悩みを抱えていませんか?

うちの子、どうやったら野球センスのある子にできるのか...?」

野球の練習はしているのに、動きがぎこちない。バットにボールが当たらない。強い送球ができない。足も速くならない…。

これらは、「運動神経がないから…」と諦めるしかないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません!

実は、お子さんの運動能力を高める、「新たな視点」があります。

海外では、子どもの運動能力を評価する仕組みが確立されています。どの能力が高く、どの能力に改善が必要かがわかるのです。

そして、これがお子さんの野球スキルの向上につながることもわかってきました。

そこで今回は、その具体的な内容をお伝えします。

  • 海外で実証されている能力向上の科学的根拠
  • お子さんの弱点を数値で把握する具体的な評価方法
  • 効率的にスキルアップするためのトレーニング指針

これらは、海外の最新情報に加え、私の35年以上の研究と指導によって実践されている内容です。

もしかすると、初めて聞くことが多いと思います。でも、お子さんの運動能力、野球の能力アップに直結する内容です。

ぜひ、最後までしっかり確認してください。

野球スキル伸び悩みは「FMS」で解決!

野球が上達しない原因はなんでしょう?

これは、答えのない問のように感じるかもしれません。多くの人は「運動神経や才能」が原因だと考えてしまいます。でも、そうではないことがわかってきました。

それが「FMS(基本的な運動スキル)」です。

海外の最新研究では、このFMSこそが野球上達の土台となることが証明されています。

お子さんの可能性を引き出す方法を、詳しくお話しします。

FMSとは何か?

野球の上達が思うようにいかない…。

そんなお悩みを多くの親御さんが抱えています。

もともと運動音痴で…」
運動神経が悪くて…」

そうおっしゃる方が多いですね。でも、野球が上達しない理由、実は「運動神経」じゃないんです。

お子さんの野球スキルを大きく伸ばすカギは、FMSにあります。

FMS(Fundamental Movement Skills)は、基本的な運動スキルのことです。オーストラリアやイギリス、アメリカなどで広く研究されている概念です。

走る・跳ぶ・投げるといった基礎的な動きは、専門的なスポーツスキルの下地として重要です。

FMSは、こうした動作を科学的に分類し、発達やトレーニングに活かす考え方なんです。また、FMSは世界中で子どもの運動能力評価や育成プログラムの基準として使われています。

FMSは、「積み木」のようなものです。それぞれのスキルが積み上がっていくと、安定した運動能力につながります。

この積み木の土台がしっかりしていないと、どうなるでしょう? 

どんなに立派な野球の技術を積み上げようとしても、ぐらついて不安定になってしまいます。

基礎的な運動能力が野球のスキルアップへのカギ

FMSの重要性は、近年の研究でも裏付けられています。特に注目なのが、2022年に発表された分析です。

7~12歳の子どもを対象に、複数の分析をしました。 その結果、複合的な運動プログラムが、FMS能力を大幅に向上させることが統計的に証明されたのです。

つまり、子どもの運動能力は、生まれつきの資質だけでは決まらないわけです。

さらに、注目してほしいことがあります!

なんと、野球の動きに直結するスキルについても、高い改善効果が確認されたのです。これは、技術系スキルの向上に、ダイレクトにつながるという明確な根拠と言えます。

この能力アップには、脳から身体に伝える指令の道をつくることがカギになります。

神経回路を育ててスキル習得をする仕組みを、「【野球センスを意図的に作る】”5分ボーっ”で脳の配線工事!最強の反復&休息法」で詳しく解説しています。ぜひ確認してみてください。

FMS不足だと野球スキルが伸びない理由

一生懸命練習しているのに、なかなか野球が上達しない… 

その原因、実はFMSにあるかもしれません。

「努力は嘘をつかない」とよく言いますね。しかし、FMSが低いと、そうはいかないんです。せっかくの努力が、野球スキルに効率よく結びつきません。

さらに、無理な動きが増えることで、ケガのリスクまで高まることも指摘されています。

そもそも、FMSとは何でしょうか?

FMSは、野球などのスポーツで必要な、高度で複雑な動きの「必需品」のようなものです。ただ、自然に身につくものではありません。練習や経験を重ねることで、身につけることができるのです。

でも、一度覚えると長く使える技術になります。

上手な選手の動きを見るとわかりますね。基本動作がしっかりできているはずです。その動きの土台となるのがFMSなのです。

FMSは主に以下の3つのカテゴリーに分類されます:

  • 移動スキル
    歩く、走る、跳ぶ、跳ねる、滑るなど、体を移動させる基本的な動き
  • 操作スキル
    物を投げる、捕る、蹴る、打つ、ドリブルするなど、物体を操作する動き
  • 安定スキル
    バランスを取るなど、姿勢を安定させる動き

これらの動きを測定し、発達段階を数値化できます。測定結果は指導計画づくりの“羅針盤”になります。だから、どのスキルを優先して鍛えるべきかがわかるのです。

FMSを強化することこそが、お子さんの野球スキル向上の土台になります。ただ、日本では、動作の質をチェックする海外のような仕組みは広まっていません。

でも、日本のトップアスリートを参考にすることができます。次にそれをお話ししますね。
ちなみに、脳と身体のつながりを強化することで、運動能力は高まります。それについては、「科学的野球指導!小中学生は「脳」を鍛えて、野球センスを劇的に伸ばすべし」を参考にしてください。

日本の学校で体力測定は行われているが…

お子さんの野球が、思うように上達していないとしたら…。

それは、身体的な評価」が正しくできていないことが原因かもしれません

日本では、まだFMSのような基準で、運動能力を評価することは浸透していません。

現在、日本の学校では、文部科学省の実施要項に沿って体力測定を行っています。ただ、野球をはじめ、様々なスポーツの土台となる指標になるか?

正直なところ、それには限界があると言えます。なぜなら、野球には、「野球特有の必要な要素」があるからです。

たとえば、速い球を投げるには、様々な筋力が必要です。筋力のバランスも大切ですね。そして、体の柔軟性も野球のパフォーマンスに大きく影響するのです。

これらを具体的に、数値で評価することが望ましいですね。では、わかりやすい例をお話しします。

弱点を数値化する「コンディショニングチェック」

身体の状態を数値で評価する

そう言われても、ピンとこないかもしれませんね。

たとえば、お子さんの太ももには、前後左右に筋肉が付いています。でも、測定をすると、ほとんどの場合で筋力のバランスが違うのです。太ももの前の筋力が後ろより弱い、または強いという差があります。

これを知らないとどうなるでしょう?

強い方の筋肉をより鍛えて、弱い方の筋肉を鍛えない。そんなことが起こってしまいます。

筋力のバランスが不安定のままで野球をしていると、ケガにもつながります。だからこそ、現在のお子さんの体のコンディションを、数値で把握することが大切なのです。

そして、そのコンディションに合わせてトレーニング計画を立てる必要があります。これは、プロ野球選手やオリンピック選手にとっては、当たり前のことです。

小中学生のお子さんでも、科学的に野球の能力を伸ばす時代になってきました。この視点を取り入れて、お子さんの能力アップをサポートしてくださいね。

なお、この具体的な方法は、「【目標設定だけじゃダメ】野球の上達に必要な新たな視点”〇〇”の重要性」で詳しく解説しました。

また、身体のコンディショニングチェックについての詳細は、「知らなくて大丈夫ですか?野球選手が行うべきフィジカルコンディショニングチェックとは」を確認してください。

今回のまとめ

野球の専門的な技術は、基本的な運動スキルの土台の上に成り立っています。

この土台が不安定なままでは、どれだけ練習を重ねてもスキルは伸び悩みます。

お子さんの筋力バランスや柔軟性の評価には指標があります。

弱点を克服するためのトレーニング計画を立てることが、上達への最短ルートです。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

Su, Haibing & Yang, Gao & Yang, Ming & Chang, Jindong. (2022). Fundamental Motor Skills Intervention for School-age Children: A Systematic Review and Meta-Analysis. International Journal of Human Movement and Sports Sciences. 10. 644-653. 10.13189/saj.2022.100403.

Yin X, Zhang D, Shen Y, Wang Y, Wang Z, Liu Y. Effectiveness of school-based interventions on fundamental movement skills in children: a systematic review and meta-analysis. BMC Public Health. 2025 Apr 24;25(1):1522. doi: 10.1186/s12889-025-22696-2. PMID: 40275209; PMCID: PMC12020329.

Han, X., Zhao, M., Kong, Z., & Xie, J. (2022). Association between fundamental motor skills and executive function in preschool children: A cross-sectional study. Frontiers in Psychology, 13. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.978994.

Future spinal reflex is embedded in primary motor cortex output
(未来の脊髄反射は一次運動野からの運動出力信号に組み込まれている)梅田 達也、横山 修、鈴木 迪諒、兼重 美希、伊佐 正、西村 幸男、Science Advances、10.1126/sciadv.adq4194

柏野牧夫2020アスリートの脳を解明し鍛える,
基礎心理学研究,39,1,39–45,2020,日本基礎心理学会
柏野牧夫2019アスリートの脳機能を解明し鍛える,
人工知能,34,4,525–530,2019,一般社団法人 人工知能学会

Liu C, Cao Y, Zhang Z, Gao R, Qu G. Correlation of fundamental movement skills with health-related fitness elements in children and adolescents: A systematic review. Front Public Health. 2023 Mar 27;11:1129258. doi: 10.3389/fpubh.2023.1129258. PMID: 37050960; PMCID: PMC10083251.

Liu D, Huang Z, Liu Y, Zhou Y. The role of fundamental movement skills on children’s physical activity during different segments of the school day. BMC Public Health. 2024 May 10;24(1):1283. doi: 10.1186/s12889-024-18769-3. PMID: 38730396; PMCID: PMC11084102.

FMSに関する情報:
https://www.act.gov.au/health/topics/children-and-young-people-health/keeping-children-active/for-educators-fundamental-movement-skills

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