【バッティング新事実!】小中学生は”第6の感覚”を鍛えろ!知らないと毎日の素振りが無駄に…

今回お伝えする内容です
【バッティング新事実!】小中学生は”第6の感覚”を鍛えろ!知らないと毎日の素振りが無駄に…
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
お子さんのバッティング、なかなか良くならないとお悩みかもしれません。毎日素振りをしているのに、どうしてなのでしょう?
実は、野球のバッティングには、「第6の感覚」が必要なんです。
あなたは、5つの感覚はもちろんご存じですよね。「味覚・触覚・嗅覚・聴覚・視覚」。野球では、「視覚・聴覚・触覚」が特に重要です。
でもそれに加えて、もうひとつの感覚が優れていると、お子さんの野球の能力がグンとアップします。
その感覚とは、どのような感覚だと思いますか?
そこで今回は、バッティング不調の核心的原因、”第6の感覚”について詳しく解説していきます。
これを知ることで、お子さんのバッティングの悩みが解消されるはずです。具体的に何をすれば良いかが分かることで、改善への手がかりが見つかります。
その結果、バッティングに対する不安が軽減され、お子さんの上達スピードが加速することでしょう。
ご紹介する内容は、私の35年以上の研究と指導で実証されています。海外の最新研究も含めて解説していきます。
もしお子さんのバッティングが思うように上達しないなら、今回の第6の感覚を知ることが解決の手がかりになるはずです。
ぜひ、最後まで確認してください。
バッティングが上達しない原因は”第6の感覚”のズレ
「ど真ん中のボールなのに、なぜかバットが空を切る…」
そんなお子さんの姿に、もどかしさを感じたことはないですか?
実は、「バッティングの正確性」は、見る力(視覚)だけではありません。自分の体の感覚に大きく依存していることがわかっています。
でも、小中学生は、この体の感覚がズレてしまうことが多いのです。
- なぜ体の感覚がズレるのか?
- 感覚がズレると、どのような問題が起こるのでしょうか?
そして具体的な改善方法について、科学的根拠とともに詳しく解説していきます。
バットを操る“第6の感覚”とは?
「うちの子、バッティングセンスないなぁー」
そう感じることがあるかもしれませんね。
野球のバッティングは、「複数の感覚を同時に操る」高度な能力が必要です。だから簡単ではありません。
たとえば、お子さんに「ど真ん中を10回素振りしてみて」と言ったとします。きっとお子さんは「同じところ」をスイングしている感覚でしょう。
でも実際は、毎回少しずつ違うところをスイングしているはずです。
この、微妙な違いを感じ取ることを、専門的には「固有受容感覚(こゆうじゅようかんかく)」と言います。
簡単に言うと、手足の位置や動き、力の入れ具合などを認識する感覚です。
野球のバッティングでは、バットを正確にコントロールする必要があります。そのためには、「自分の体のパーツがどこにあるか」を脳が把握する必要があるのです。
脳の中にある『自分の体の3Dマップ』を頼りに、狙った位置へバットを運ぶ感覚と言うとイメージしやすいでしょうか?
実は、この能力が、お子さんのスイングの正確さに大きく影響を与えています。
指導者の中には、「芯の位置を感じてスイングしなさい」と言う人もいます。まさに、これが固有受容感覚なのです。

こんな動きは「体のズレ」が原因かも?
バッティング力を高めるには、まず第一に「見て素早く反応する」ことが求められます。
次に、ボールの軌道を予測して、正確にバットを振る能力が必要ですね。このときに重要になるのが、固有受容感覚なのです。
実は、お子さんのバッティングが思うように上達しないとしたら、体の感覚にズレが生じている可能性があります。
具体的には、次の二つに問題があるかもしれません。
- 自分の体が今どんな姿勢で動いているかを感じ取る感覚
- 目で見た情報と実際の体の動きを結びつける能力
この感覚がうまく働かないと、同じ動きを繰り返す「スイングの安定性」が低下してしまいます。
研究によると、小学校低学年の選手は、スイングの精度が低く、毎回違った軌道になりやすいことがわかっています。これには体格や野球経験の短さが影響していると考えられています。
簡単に言うと、脳がスイングの度に「自分の手足は今どうなっているのか?」を手探りしているような状態なのです。
体の感覚と動きがズレてしまうと、次の二つのことが起こってしまいます。
▪️スイング軌道のバラツ
お子さんのスイング、毎回バットの出てくる角度や高さが違うことはありませんか?
私は以前、小中学生の選手に「低めギリギリをスイングして」と言って素振りを数回させてみました。
すると、毎回違うスイング軌道になる子がいます。「低め」と言っているのに「ほぼ真ん中」を振ってしまう子もいます。
これは、体の感覚情報が不安定なためだと考えられています。
▪️インパクトのズレ
バットの先や、根っこに当たることが多いと感じていませんか?
バットを自分の体の一部のように扱えると、「芯」を感じながらスイングができます。しかし、体の感覚がズレていると、バットの軌道が不安定になります。
その結果、ボールを芯でとらえることが難しくなるわけです。
固有受容感覚を高めるには、これまでとは違った練習が必要になります。
具体的な練習法については、【試合で打てない原因】芯でミートする確率が63%→71%にUPした練習法!4週間で変わった高校球児実例をご覧ください。実際にミート率を高めた事例を紹介しています。
参考にしてみてください。

なぜ成長期の子どもは、体の感覚がズレやすいのか?
小中学生の選手は、バッティングで多くの課題を抱えていますね。
たとえば:
- 筋力不足で強いスイングができない
- 頭が動いて視線がブレてしまう
- 反応が遅く振り遅れてしまう
これらの問題以外にも、バットを「狙い通り」に操作できないお子さんも多いと思いませんか?
お子さんの脳には、「ボディスキーマ」と呼ばれるものが存在します。これは、脳が身体の動きや位置を認識し、調整するための「自分の体の3Dマップ」のようなものです。
これが、「バットを体の一部として操る感覚」につながるのです。
脳は、手足が今どこにあって、どのように動いているか、どのくらいの力が入っているかなど、過去の経験をもとに常に更新しています。
ところが、特にお子さんの体が急激に成長する11歳後半から12歳後半の時期は、この仕組みに狂いが生じることがあります。身長で言うと、153.6cmから160.9cmへと伸びる期間ですね。
実は、この期間は「脳内マップの更新が実際の体の成長スピードに追いつかない状態」になりやすいのです。
これは、一般的に「クラムジー」と言われている現象です。
昨日まで当たり前だった体の感覚が、今日には少しズレてしまう。そんなことが、お子さんの体の中では日常的に起きているのです。
この時期には、「気合が足りない」とか「もっと練習しろ」と言っても意味がありません。お子さんの身体感覚を再調整して、新しい体への適応を手助けしてあげることが必要です。
それが、身体的にも精神的にも適したサポートになります。

身体感覚のズレを整える3つの提案
クラムジーによる身体感覚の変化は、本人でないとわかりません。
実際に、「最近、急にバッティングの調子が悪くなっています」というご相談もよくあります。
お子さんが、クラムジーで調子が上がらないとき、身体感覚を再調整するには、どのようなことが考えられるでしょうか?
たくさんの方法がありますが、今回は特にすぐに試せる内容についてお伝えします。
①適切なバットの選択
少し軽めのバットを使ってみてはどうでしょうか。
実は、クラムジーの時期にスイングスピードが落ちることが、研究でわかっています。軽めのバットを使うことで、バットヘッドの移動距離が短縮します。
その結果、スイングを安定させて、ボールを正確にとらえる可能性が高まります。
②身体感覚を養うトレーニング
バランス感覚を養うトレーニングの一例をご紹介します。
「片足立ち」
・手を胸の前でクロスして立ちます。
・片方のヒザをできるだけ高くあげます。
・20秒間立ち続けられるのが目安です。
・反対の脚も行いましょう。
「片足でケンケン」
・手を胸の前でクロスして立ちます。
・片方のヒザをできるだけ高くあげます。
・ヒザを上げたまま20秒間連続ジャンプします。
・最初にいた位置からできるだけ離れないようにします。
・反対の脚も行いましょう。
③柔軟性を高める
成長期は、骨の伸びに対して筋肉の伸びがついていけず、柔軟性が低くなる傾向があります。ですから、全身の柔軟性を高めるストレッチを習慣にしましょう。
ただし、成長痛がある場合は注意が必要です。無理にストレッチをすると痛みが増すことがあります。
トレーニングやストレッチは、それぞれの身体的状況に合わせたパーソナルな計画が必要です。専門家のサポートを受けることをおすすめします。
ちなみに、お子さんのバッティングの悩みには、他にも「視線のブレ」や「脳の予測」といった原因も考えられます。
視覚のブレについては、【プロでも頭は動く】「頭をブラスな」は間違い!?プロは”頭”と”目”をどう動かしている?で詳しく解説しています。
また、脳の予測については、【打撃指導の盲点】「球をよく見ろ」は正解。でもそれだけじゃ打てない!プロはどうしてる?を確認してみてください。

今回のまとめ
バッティングは、視覚の問題だけでなく、自分の体の位置を感じ取る「第6の感覚」が大切です。
成長期の子どもは、脳が急激な体の成長についていけない「クラムジー」が起こりやすくなります。
この問題を解決するには、適切なバットの選択、バランス感覚を養うトレーニング、そして柔軟性を高めることが効果的です。
お子さんの成長に合わせたサポートを続けていきましょう。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
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