【最新脳科学】指示を半分に減らすと“なぜ”上達する?野球脳の正しい育て方

【最新脳科学】指示を半分に減らすと“なぜ”上達する?野球脳の正しい育て方

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

さっき言ったばかりなのに、また同じミスを繰り返してる…

練習では上手くいくのに、なぜ試合になると綺麗さっぱり忘れてしまうのか?

お子さんの様子を見ていて、このように頭を抱えてしまうことはありませんか?

ご相談をいただく多くのお父さん、お母さんは、その原因を次のように考えがちです。

うちの子は、集中力がないから
野球の才能がないのかもしれない

しかし、最新のスポーツ科学では、「練習でできること」と「本当に身につくこと」は別物だと考えられています。

どういうことでしょうか?

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

実は、お子さんが忘れてしまうのは、いつでも使える”本当の技術”に定着させる時間が足りていないからかもしれません。

あるいは、脳が「やったつもり」になりやすい練習方法だった可能性もあります。

そこで今回は、私の35年以上の研究と指導の実績をもとに、子どもの脳の不思議な仕組みを解き明かします。

お子さんの「忘れっぽさ」を「伸びしろ」に変えるための、今日からできる具体的な関わり方をご紹介します。

ぜひ、最後までご覧ください。

なぜ子どもはすぐに忘れるのか?

「どうしてすぐ忘れるのか?」

本当にそう思うことが多いですよね。実は、子どもがアドバイスをすぐに忘れてしまうのには、科学的な理由があります。

そしてその答えは、意外なところにありました。

専門的には、記憶の固定化(コンソリデーション)と呼ばれる仕組みがあります。

これは、運動のスキルは練習が終わった後に、脳が情報を整理整頓して初めて「自分のもの」として定着するという考え方です。

つまり、ただ繰り返す練習量を増やすよりも、賢い練習法があるわけです。

一見すると”遠回り”に見える方法のほうが、実は脳を賢く育てることができるんです。それが、本番に強いスキルを育てることもわかっています。

では、詳しく見ていきましょう。

「同じことの繰り返し」が逆効果に?

「できるようになるまで、ひたすら反復練習させる」

これは長年、スポーツ指導の常識とされてきました。しかし、脳の仕組みから見ると、必ずしも最も効果的な方法とは言えません。

同じ練習を連続で繰り返す方法を「ブロック練習」と言います。練習中の見た目の上達は早く感じますが、記憶に定着しにくいことがわかっています。

つまり、次の日には忘れてしまいやすい練習だと言えるんです。

一方、バッティング、ノック、走塁といった異なる動きを、順番をバラバラにして行う練習を「ランダム練習」と言います。

練習メニューを変えることで、脳は「あれ?次はどう動くんだっけ?」と考えます。つまり、毎回動きの計画をつくり直さなければなりません。

さらに、ひとつの練習ごとに異なる課題を与えると、効果が高まります。一球ごとや数回ごとにやることを変える工夫を、お子さんの練習に取り入れてみてください。

すると、試合のような変化する状況でも使える、”本当の技術”を定着させることができます。

この”思い出す苦労”こそが、脳の記憶を強くするんです。

なお、野球脳を育てる具体的な”脳トレ”のやり方は、うまくなる子だけが実践中!センスを爆発させる”脳トレ3選”も参考にしてください。

必要以上のアドバイスは”指示待ち”をつくる?

お子さんのプレーを見ていると、ついその都度アドバイスしたくなりますよね。

今のスイングは…」などと教えたくなるかもしれません。

しかし、アドバイスの頻度を減らした方が、長期的な学習効果が高いという研究結果があります。

毎回答えをもらうと、脳はそれに頼りきりになります。つまり、自分で原因を考えることに”サボり癖”がついてしまうわけです。

お子さんがミスをしても、アドバイスを2回に1度、または3回に1度に減らしてみてください。

すると、お子さんは「今の感覚はどうだったかな?」と自分と向き合い、自分で修正する力を身につけることができます。

親としては、もどかしく感じるかもしれませんが、ぜひ効果を試してみてください。

ちなみに、お子さんが自ら考える野球脳を育てるために、試合で実力を発揮できない子が「結果を出した」今すぐできる科学的解決法もご覧ください。

”伸びしろ”を広げるために今からできること

ここまで、科学的根拠に基づいた新常識をご紹介しました。

お伝えした内容に共通するのは、「お子さん自身の脳に学習させる時間と余裕を与える」という考え方です。

親の焦りや厳しい口調は、時として子どものパフォーマンスに悪影響を与えます。いわゆる「プレッシャーで頭が真っ白になる」状態です。

過度なプレッシャーは脳の前頭前野の働きを鈍らせてしまいます。練習で培った能力を十分に発揮できなくさせることが、LeeとGraftonの研究で科学的に証明されています。

つまり、お子さんの脳が学習するための最適な環境づくりは、お父さん、お母さんがイライラせずに見守ることです。失敗を恐れずに挑戦できる安心感こそが、脳の神経回路を活性化させるのです。

お子さんとのポジティブな関係性が、何よりの上達の秘訣です。

この1週間、練習中の技術的な声かけを半分に減らしてみる。練習後には「お疲れ様」とだけ伝える。それだけで、お子さんの脳は静かに、しかし確実に成長のための準備を始めます。

お父さん、お母さんが少しだけ我慢することで、お子さんの中では大きな変化が起きるんです。
なお、科学的野球指導!小中学生は「脳」を鍛えて、野球センスを劇的に伸ばすべしでも、脳科学から見た野球センスの伸ばし方を紹介しています。

今回のまとめ

「何度言っても忘れる」のは、才能ややる気の問題ではありません。

それは、脳が新しいスキルを自分のものにするための健全なプロセスです。

忘れることや上手くいかないことがあっても、「今は脳が頑張っている時間なんだな」と信じてみましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

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