【たった1セット】野球歴1ヶ月の子が球速3km/hUP…激変した投球練習の正体とは?

今回お伝えする内容です
【たった1セット】野球歴1ヶ月の子が球速3km/hUP…激変した投球練習の正体とは?
「コントロールを安定させる効果的な方法は?」
「どうすればスピードをもっと速くできる?」
お子さんには、対戦相手を圧倒するピッチングを期待しますよね。
指導現場で決まり文句として聞くのが、「もっと腕を振れ!」
でも、腕を一生懸命振ろうとしても…
- 球速が上がらない
- 余計にコントロールが乱れる気がする
- フォームが崩れる
実は、「腕を振れ」という指導は危険です。お子さんの肩やヒジの大きなケガにつながるリスクがあるんです。
たとえば、中学生から高校生の選手を対象にした調査結果があります。それを見ると、興味深いことがわかります。
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
「投手は、他の野手に比べて球速が約7.2km/h速い」という研究報告があります。
つまり、投手と野手では、体の使い方や強度が違うということなんです。ところが、「腕を振ろう」と意識が腕に向かうとどうなるか?
バランスを崩したフォームになりやすいんです。それが、コントロールの乱れにもつながります。
さらに、バランスを崩したフォームでは、ケガのリスクが高まります。
だからこそ、「腕を振れ」という指導だけでは不十分なんです。
では、どうすればいいのでしょうか?
そこで今回は、理想的なフォームを身につける方法をお伝えします。これは、球速アップとコントロール安定につながります。
お伝えする内容は、私の35年以上の研究と指導現場で実証したものです。具体的ですぐに実践できる方法です。
お子さんの、今のピッチングに満足できていない方には、とても重要な情報になっています。
「安定したコントロールで、火の玉のようなストレートを投げさせたい!」
そうお考えなら、ぜひ最後までご覧ください。
投球のエネルギーは”リレー”で運ばれる
ボールを投げる動きは、たとえればリレーです。
地面を蹴ったパワーは、脚 → 腰 → 体幹(胴体)へと伝わります。その勢いが、肩 → ヒジ → 手 → ボールへと連鎖するのが理想です。
これを”運動連鎖”と呼びます。
このリレーの中で、とても重要な役割を果たすのが”体幹”です。体幹というのは、お腹や背中などの胴体部分のことです。
実は、投げるパワーの約50%は、この体幹から生み出されているんです。つまり、体幹が上手に使えないとどうなるか?
いわゆる”手投げ”になりやすくなります。これでは、球速も上がらずコントロールも安定しません。
では、どうすればいいのでしょうか?
なぜ”手投げ”は起きるのか?
”運動連鎖”という言葉は、おそらく耳にしたことがあると思います。
ただ、小中学生の場合は、簡単に習得できるものではありません。これは、筋肉が発達途中だからです。さらに、バランスも整っていません。
運動連鎖が乱れると、”手投げ”になりやすくなります。それは、運動連鎖のリレーが途中で止まってしまうためです。
つまり、体幹という強力なエンジンを使えていない状態なんです。もちろん手投げでは、ボールのスピードが上がりません。
すると、どうなるか?
足りないパワーをすべて、肩やヒジの力だけで補おうとしてしまいます。
その結果…
まだ成長しきっていない柔らかい骨や靭帯(じんたい)に、耐えられないほどの大きな負担がかかります。それが、大ケガを招くんです。
実は、アメリカスポーツ医学研究所(American Sports Medicine Institute:ASMI)の貴重なデータがあります。
調査によると、少年野球選手の約半数が「肩やヒジの痛み」を感じたことがあるというのです。
このように、体幹が使えない無理な投げ方は、大ケガを招く一番の原因になります。
では、どう改善していけばいいのでしょうか?
なお、投球の6つのフェイズを知ることも、投球動作改善に効果的です。【新常識】多くのプロを指導した動作分析の専門家による投球改善メソッドもチェックしてみてください。

体幹を使うとは?
では、体幹を正しく使うことで、どれほどの変化が期待できるのでしょうか?
11歳の選手が行った、鹿屋体育大学の調査結果を見てみましょう。
この実験は、野球経験1ヶ月の選手を対象に行いました。投球のパフォーマンスを上げるために行ったのは次の内容です。

これをわずか1セット行った直後に結果を測定すると、球速は次のように向上しました。
- 平均球速
55.4km/hから58.4km/h
3km/h(5.4%)アップ - 最大球速
58.0km/hから59.0km/h
1km/h(1.7%)アップ
結果的に、単にスピードが上がっただけではありません。手投げから”全身を使った効率的な投げ方”へと改善されたんです。
具体的には…
ボールをリリースする瞬間に、胸がしっかりと前へ倒れ込むようになりました(前傾動作)。
トレーニング前は、ヒジが曲がったまま投げていました。しかし、練習後はリリース時にヒジがしっかり伸びるように変化。
無理に腕を振ることで起きていた”肩の過剰なひねり”が減りました(内旋動作)。それにより、ケガをしにくい、しなやかな腕の振りに変わりました。
つまり、正しい体幹の使い方を”脳と体”に覚えさせることが重要!
このトレーニングで、短期間に安全かつ効果的にパフォーマンスを向上させることが証明されたんです。
ちなみに、“全身を使った投げ方”を身につける別の方法を【小中学生の球児必見】簡単だけど効果が出る「ホロス式・投球フォーム改善法」で解説しています。
体幹の安定はコントロールを安定させる
先ほどの劇的な変化は、投球動作で最も難しい部分が改善されたことを意味します。
研究では、次のことがわかっています。ピッチングで、子どもたちが最も苦労するのは、踏み出した足が地面に着くときの動きです(アーリーコッキングフェイズ)。
なぜでしょうか?
それは、「上半身と下半身を同時に動かす」タイミングだからです。とても複雑な体のコントロールが必要なんです。
ここでの体幹の回転がうまくいくかどうかが、球速とコントロールの分かれ道になります。
さらに、力強い体幹の回転は、コントロールの向上にも直結するんです。
安定した体幹の回転は、体の軸を安定させることにつながります。軸が安定することで、腕が毎回同じ道を通るための”ガイド役”を果たすからです。
リリース直前の指の位置や角度が安定することで、ボールの軌道のバラツキが抑えられます。
つまり、狙ったところに投げられるようになるのです。

体幹の役割を、”クレーン車”に例えると
次のように考えてみてください。
- 腕=荷物を持ち上げる細いアーム
- 体幹=クレーン車のどっしりした車体(土台)
たとえば、アーム(腕)を速く動かそうとした時、車体(体幹)がグラグラしていたらどうなるでしょうか?
先っぽにある荷物(ボール)を正確に運ぶことはできませんね。
「腕を振り回すのではなく、どっしりした土台(体幹)を鋭く回転させる」
すると…
「アーム(腕)は自動的に正確に、すごい速さで振られるようになる」ということなんです。
ここで注意したいのは…
「もっと腕を振れ」「ヒジを上げろ」などというアドバイス。これらは、意識を自分の体に向かわせてしまいます。これを”内部焦点”といいます。
内部焦点では、脳が自然に行おうとしているスムーズな運動を邪魔してしまいます。
つまり、肝心なことは、動きが脳に自動的にインプットされるトレーニングを取り入れること。それが効果的だと言えるのです。
ただし、このようなトレーニングは、専門知識がなければ指導できません。ぜひ資格のある専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
結果的に、それが上達の近道です。
なお、トレーニングメニューをつくる上で重要なポイントを【目標設定だけじゃダメ】野球の上達に必要な新たな視点”〇〇”の重要性で解説しています。

今回のまとめ
球速とコントロールの悩みは、体全体の使い方に問題がありました。
特に、体幹の回転という『エンジン』の使い方を覚えることが、安全な上達への一番の近道です。
正しい体幹の使い方を覚えれば、必ず今の悩みを乗り越えられます。
焦らず、この一つのポイントに集中して、お子さんの成長を温かくサポートしてあげましょう。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
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