【野球指導の落とし穴】良かれと思って”マネ”させたその指導が、今の上達を止めている?

【野球指導の落とし穴】良かれと思って”マネ”させたその指導が、今の上達を止めている?

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「バッティングセンターでは打てるのに、試合では打てない…」

プロのフォームを見せたり、うまい子を参考にしているのに…
だんだん動きがぎこちなくなっていく…

そんなお悩みを持っていませんか?

「うまい子の真似をさせれば近道になる」と思うのは、自然なことです。

でも実は、「真似」が上達のブレーキになることがあるんです。

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

なぜ「真似」が逆効果になるのか?
どう視点を変えればいいのか?

それをこれから、私の35年以上の研究と指導現場で実証した、科学的根拠とともにお伝えします。

この内容を知れば、今のお子さんにどのような指導が最適なのかがわかります。

ぜひ、最後までお付き合いください。

なぜ「マネ」では、うまくならないのか?

アリゾナ州立大学のグレイ博士やバーンスタインの研究で、マネでは、うまくならない理由が明らかになりました。

それは、「初心者が新しい動きを学ぶときの、脳と体のステップ(学習段階)」を無視してしまっているからです。

同じようにしようとしても、同じ結果が得られない。なぜなら、初心者と上級者では、動きを作る”仕組み”が根本的に違うからなんです。

その理由を順番に解説していきます。

お子さんの体は今、「固まっている」段階

野球のスイングには、肩・ヒジ・手首・腰など、多くの動きが関わります。

プロ野球の選手は、関節を「解放(Freeing)」してしなやかに動けます。しかし、小中学生の子どもがこれらを同時に操るのは、じつは至難の業です。コックピットに並ぶ100個のレバーを、一斉に操作するようなものです。

それでは、脳がパニックになってしまいます。

だから初心者の脳は、「関節を固定して、動きを単純な1つのユニットにする」ということを無意識にしているんです。

この戦略を「凍結(Freezing)」と呼びます。

特に子どもは「手首」「足首」をロックする傾向があります。次にヒジや肩を制御しようとします。これは、脳が「制御可能なシステム」をつくろうとしている、正しいステップなんです。

ですから、お子さんに「手首を柔らかく」と強制しても逆効果になることが多いわけです。まだ立てない赤ちゃんに「膝を柔らかく使って走れ」と言うようなものです。

無理に真似させると、タイミングがバラバラになります。グレイ博士は、これを「悪いバラツキ(Bad Variability)」と呼んでいます。

ちなみに、なぜ子どもはわかっているのにできないのかを、何度も教えているのにできない理由|子どもの脳で起きているのはで解説しています。

プロのアドバイスが”参考にならない”理由

技術レベルによって、最適な指導法は真逆になります。

これを「専門性逆転現象」と呼びます。初心者の脳には、「ワーキングメモリ」に限界があります。

「ヒジを上げて」「脇を締めて」と教えるほど、脳をパンクさせてしまうんです。「力を抜け」も注意が必要です。

お子さんが、関節を固定してやっとボールに当てている段階だとします。そのお子さんにとって、力を抜くことは「制御装置を捨てる」のと同じことです。

初心者にはシンプルな1つのルールだけ。それが科学的に正しい指導法です。

なお、プロのアドバイスがなぜ逆効果になるのかは、「考えて打て」は間違いだった\!? 子どもの動きを止めるNG指導の正体とはをチェックしてみてください。

今日からできる「指導の視点」

3つの問いかけを意識するだけで、お子さんへの関わり方が変わります。

①「これは誰向けの技術か?」
そのアドバイスは、お子さんの今の段階に合っていますか?

プロのしなやかな動きは、最初からできたわけではありません。不器用な段階から練習を重ね、脳が動きをマスターするにつれて、自然と関節のロックが外れてきた結果です。

目標を単純なひとつのことに絞りましょう。

②フォームより「調整力」を見る
変化のある練習をした選手は、試合で打てるようになります。

特に、「前足に体重が乗る瞬間」を観察してください。ボールに合わせてタイミングを「自分で探る」練習が、本当の調整力を育てます。

③基礎的移動スキル(FMS)は足りているか?
野球の技術以前に、走る・跳ぶ・投げる・捕るという土台が重要です。

ここが不十分なまま専門技術を教えると、ケガのリスクも高まります。

まず1週間、フォームを直すのをやめてみませんか?

お子さんの脳に「どうすれば当たるか」を試行錯誤させてみましょう。

たとえば、いろんな重さのバットを振らせてみたらどうなるでしょうか? もちろん、重すぎるバットは禁止です。

動きの予想が難しい、スポンジボールを打たせてみるのもいい練習になるはずです。

「正解」を押し付けるのをやめるだけで、お子さんの表情が変わります。

複数の刺激を脳に与えると、動きの柔軟性が自然と身についていくはずです。

なお、なぜ野球の練習だけでは不十分なのかは、野球がうまくならない本当の理由…野球の練習”だけ”が危険なワケが参考になるはずです。

今回のまとめ

「真似をすれば最短でうまくなる」という考えが、成長を狂わすことがあります。

今、体が「固まっている」のは、将来「しなやか」になるための準備です。

脳が土台を作っているんだと信じて、段階を飛ばさないことが上達の近道です。

科学的な視点を持ったあなたの見守りが、お子さんの才能を開花させる力になります。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

Gray, R. (2020). Changes in Movement Coordination Associated With Skill Acquisition in Baseball Batting: Freezing/Freeing Degrees of Freedom and Functional Variability. Frontiers in Psychology, PMCID: PMC7330175. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7330175/

Persky, A.M. (2017). Moving from Novice to Expertise and Its Implications for Instruction. American Journal of Pharmaceutical Education, PMCID: PMC5738945. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5738945/

Kiefer, A.W. & Lesnick, S. (2015). Training the Developing Brain Part II: Cognitive Considerations for Youth Instruction and Feedback. Current Sports Medicine Reports, PMCID: PMC4435822. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4435822/

Youth Athlete Development Models: A Narrative Review (2021). HSS Journal, PMCID: PMC8669922. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8669922/

Purcell, L. (2005). Sport readiness in children and youth. Paediatrics & Child Health, PMCID: PMC2722975. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2722975/

Corso, M. (2018). Developmental changes in the youth athlete: implications for movement, skills acquisition, performance and injuries. Journal of the Canadian Chiropractic Association, PMCID: PMC6319435. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6319435/

Mosher, A., Till, K., Fraser-Thomas, J., & Baker, J. (2021). Revisiting Early Sport Specialization: What’s the Problem? Frontiers in Sports and Active Living.

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