【小中学生球児へ】なぜそのスイングだと弱いゴロになるのか?|プロが重視しているのは…

【小中学生球児へ】なぜそのスイングだと弱いゴロになるのか?|プロが重視しているのは…

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「なぜ、うちの子は弱いゴロばかりなんだろう?」「打球はいつも、力のないショートゴロやセカンドゴロばかり…」

実はその悩み、スイングのパワー不足だけが原因ではありません。

一生懸命バットを振っているのに、飛んでいく打球に力がなく、簡単にアウトになってしまう。そんな姿を見るのは、応援する親御さんにとっても辛いものですね。

多くの方が、その原因を「スイングのパワー不足」だと考えがちです。そして、「もっと強く振りなさい!」とつい言ってしまうかもしれません。

しかし、問題の根源は、単なるパワー不足だけではないかもしれませんよ。

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

今回は、小中学生を長年指導してきて見えてきたことを、バイオメカニクス専門家の視点からお伝えします。そして、打球の質を劇的に変える「バットの当て方」という新しいアプローチをご紹介します。

この内容知れば、弱いゴロがなぜ生まれるのかが理解できます。そして、強いライナーを打つためには何をすべきなのかが見えてきます。

ぜひ、最後までご覧ください。

弱いゴロと強いライナーを分けるのは”回転”

打球が力なくゴロになるか、鋭いライナーになるか。

その運命を分けている最大の要因は、インパクトの瞬間にボールにかかる「回転」です。回転をかけるには、バットの芯でボールをとらえることが必要です。

では、弱いゴロと強いライナーでは、インパクトの瞬間に何が違うのか?

詳しく見ていきましょう。

打球の運命を決めるバックスピンの力

ホームランや長打になる打球には、共通点があります。

それは、ほぼ例外なく強烈な「バックスピン(逆回転)」がかかっていることです。

つまり、強いライナーやフライは、このバックスピンが生み出す「浮き上がる力」によって生まれているんです。

ボールの中心よりわずかに下を芯で叩くことで、ボールにきれいなバックスピンが生まれます。

プロの世界では、このボールの中心から下にずらす距離をミリ単位で意識しています。ほんのわずかな「当て方のズレ」が、打球の運命を大きく左右するわけですね。

ボールが飛ぶ秘密、それは”揚力”です。バックスピンこそが、その原動力なんです。これを、「マグヌス効果」と呼びます。

マグヌス効果は、飛行機の翼が揚力を得て浮き上がるのと同じ原理です。バックスピンのかかったボールは、空気の力で上方向に持ち上げられます。

この揚力が重力に逆らう力となって、打球が地面に落ちるのを遅らせます。

その結果、飛距離を大きく伸ばすことができるのです。

ちなみに、飛距離が出ない具体的な原因を【知らないとマズイ】飛距離が伸びない小中学生に共通する原因は3つ!その練習、逆効果かも!?で解説しています。

ゴロになるインパクト、ライナーになるインパクト

弱いゴロと強いライナーの違いを確認していきましょう。

  • 弱いゴロになるインパクト
    バットがボールの中心、あるいはそれより上を叩いてしまっている状態です。これは、ボールを上から”叩き潰す”ようなインパクトといえます。

    これでは、ボールにはきれいな回転がかかりません。むしろ地面に突き刺さるような”トップスピン”がかかってしまいます。

    つまり、このスイングでは揚力は生まれず、打球はすぐに失速して地面を転がってしまいます。
  • 強いライナーになるインパクト
    バットの面をボールの中心よりわずかに下に、まっすぐぶつけている状態です。研究では、ボールの中心から約1〜2.5cm下だと示されています。

    これは、ボールをバットの面で「すくい上げる」のではなく、「まっすぐ押し出す」インパクトといえます。

    このスイングで、ボールにはきれいな縦のバックスピンがかかります。

    その結果、揚力を得てグングン伸びていく打球になるんです。

イメージは、「ボールの下側をこする」のではなく、「バットを軌道に入れる」です。ピッチャーが投げたボールの通り道(軌道)に、バットの通り道(スイングの軌道)を長く重ねることが重要なんです。

そうすることで、タイミングが少しずれてもボールを強くとらえるチャンスが増えます。

特に小中学生のお子さんには、「強く振る」より「芯でとらえる」ことを意識させてあげてください。科学的にも、バットの芯でボールをとらえることが、打球の速さに最も大きく影響することがわかっています。

実は、体が成長途中のお子さんの場合、無理に重いバットを強く振ろうとするとフォームが崩れてしまいます。

そうなると、芯に当たる確率が下がることがありますから、軽めのバットがおすすめです。

ちなみに、57名の小中学生を対象とした研究では、約68%の選手が、「最も軽いバット」を使用したときにパフォーマンスが上がりました。
詳しくは、【知らないと損】重いバットvs軽いバット|強いライナーを打つ子が選んだのはどっち?をチェックしてみてください。

プロ選手に学ぶ、正しいボールの見方

理想的なインパクトを実現するためには、ボールを正確にとらえる必要があります。

ボールをよく見ろ」とは、誰もが言うアドバイスです。しかし一流選手は、私たちが考えるのとは全く違うレベルでボールを見ているんです。

それが、近年の研究で明らかになってきました。

  • 頭の動きをボールと連動させる
    世界トップクラスの選手は、ボールの動きに合わせて驚くほど正確に頭を連動させています。


彼らは、頭を巧みに動かすことで、高速で飛んでくるボールを常に安定した視野でとらえ続けているんです。

その結果、脳はボールの軌道を正確に処理し、バットとボールが出会うインパクトポイントを精密に予測しているわけです。

  • 視線はボールの”未来”を予測する
    一流選手も、インパクトの瞬間までボールをずっと目で追っているわけではありません。しかし、「ギリギリまでボールを追いかけてから視線を移動させている」ことがわかってきました。

    実は、まだ実力が発展途上の選手ほど、早い段階でボールから目を離しています。つまり、インパクト場所を先に見てしまう、待ち伏せが早すぎる傾向があるんです。

    一流選手は、ボールを長く見ることで、急な変化やコースを正確に見極めています。そして、最後の瞬間に視線をインパクト位置へ先回りさせています。

    最後までボールを凝視しろ!」でもなく、「最初からインパクト場所で待っていろ!」でもありません。

    頭でボールを追いかけ、ギリギリまで見極めてから、目でインパクトの未来を予測する」。

    それが、トップ選手の高度なテクニックなんです。

予測とは、言い換えれば”待ち伏せ”です。それが、インパクトの瞬間までボールを見ることにつながります。

小中学生の場合、プロの一流選手のようにはできません。しかし、ビジュアルトレーニングをすることで、能力アップが可能です。

なお、一流のプロ野球選手の打撃の秘密について【プロでも頭は動く】「頭をブラスな」は間違い!?プロは”頭”と”目”をどう動かしている?も参考にしてください。

今日からできる!ライナーを打つ練習法

では​、ライナーを打つ​練習法について​、今回は2つのポイントをお伝えします。

正しいインパクトの形を反復し、脳と体に必要な感覚を刻込みましょう。

  1. 合言葉は「バットの面を、ボールの道に長く入れる」
    バットの芯の部分を、ボールの通り道に合わせて、長く入れる練習がおすすめです。

    インパクトの瞬間に手首をこねてしまうと、弱いゴロになります。ボールを「」で叩くイメージではなく、バットの面でボールを「運ぶような感覚です。

    すると、ボールの下側をうまくとらえ、きれいな逆回転のバックスピンをかけることができます。
  2. 練習の質を高めるティーの置き方
    バットの面でボールを運ぶイメージをつけるために、ティーの置き方を工夫しましょう。

    今回の狙いは「センター返し」です。ティーは踏み込み足(前足)の先に設置してください。


さらに、手首だけでこねたり、下から極端にすくい上げたりせずにボールをとらえます。

ボールの軌道に合わせたスイングでボールをとらえる感覚を養っていきましょう。

大切な事は、「ただ振るだけでなく、ピッチャーが投げたボールをセンターのネットに突き刺すつもり」で打つことです。試合と同じ「つもり」を持つことが、脳の力を最大限に発揮するカギになります。

時間をかけて何十球も打つ必要はありません。「今日はこの10球だけ、完璧な回転をかけることに集中しよう」と、お子さんに伝えましょう。

そして、綺麗なバックスピンになっているか、打球の回転をチェックしてあげましょう。

今の打球は少し横回転だったね
次はもっと面をまっすぐ押し出してみよう

今の回転、すごくきれいだった!」
今の感覚を忘れないで

このような具体的なフィードバックをしてあげてください。この「実践→観察→修正」というフィードバックのループが、お子さんの技術を確実に向上させます。

一球一球の質を追求する練習を心がけてください。

参考までに、打てる子がやっているもう一つの秘密について、【打撃指導の盲点】「球をよく見ろ」は正解。でもそれだけじゃ打てない!プロはどうしてる?で確認してみてください。

今回のまとめ

今は、弱いゴロが多いとしても心配は要りません。今回お伝えした内容を、繰り返し確認してみてください。

これまでの練習に加え、打球の回転を意識することで、少しずつ打球が変わっていくはずです。

小中学生の場合、基礎的な練習を繰り返すことで、やがて筋力がつき長打が打てるようになるはずです。

焦らず根気よく練習を繰り返しましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

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