【知らないとマズイ】飛距離が伸びない小中学生に共通する原因は3つ!その練習、逆効果かも!?

【知らないとマズイ】飛距離が伸びない小中学生に共通する原因は3つ!その練習、逆効果かも!?

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

お子さんのバッティングを見て「なぜ思うように飛ばないのか?」。そう感じたことはありますか?

あなたも、飛距離アップのために、いろいろ試されているかもしれません。

でも、そのアプローチ、本当に正しいでしょうか?

実は、科学的研究を見ると、これまでとは違う視点が見えてきました。

そこで今回は、次の疑問、質問にお答えしていきます。

  • 小中学生の飛距離がでない科学的根拠
  • 小中学生に最適なスイング理論
  • 今すぐできる実践的な練習法
  • 筋トレの落とし穴

これらの内容は、私の35年以上の研究と指導により実証された内容です。

発育途中の小中学生に、「今、本当に必要なこと」を最新の知見をもとに解説していきます。

お子さんに、「もっとヒットを打てるようになってほしい!」と願うあなたには、とても参考になる内容です。

おそらく、初めて聞く内容だと思います。

ぜひ、最後までお付き合いください。

小中学生は飛距離より打球の質を追求

「飛距離を伸ばすには、どんな練習をすればいいですか?」

お子さんのバッティングで、一番多い質問です。

その気持ち、ほんとによくわかります。でも、お子さんの飛距離が伸びないのには、科学的な理由があるのです。

発育途中の体では、スイングの精度に課題があるという研究もあります。

これらの研究を見ると、まったく違うアプローチの可能性が見えてきました。

実はこの視点こそが、お子さんの将来的なバッティング力向上の土台となるのです。

では、その点について、科学的に証明されていることをお伝えしていきます。

小中学生が直面する飛距離アップの壁

「飛距離を伸ばしたい!」

全ての球児が目指していることだと思います。

外野手の上を超えて飛んでいく打球、打った瞬間のあの感覚は、なんとも言えない快感です。

でも、実はお子さんが小中学生のうちは、それが難しいことが多いのです。

なぜでしょうか?

それは、体が発達段階のため、大人と同じように「効率の良いスイング軌道」をつくりにくい現実があるからです。

その大きな理由は次の3つです。

  • 体幹と骨盤を別々にひねる「割れ」の動きが十分にできない
  • ボールを打つ瞬間に地面を強く蹴り出す下半身の力が足りない
  • 股関節周りの筋力や協調性が、まだ十分に発達していない

これらの理由は、最近の研究でも科学的に示されています。

6歳から12歳までの230名の選手を対象にした、3シーズンの追跡調査があります。この研究によると、特に11歳から13歳頃にかけて、体幹と骨盤を分けて使う能力が発達してくることが分かったのです。

つまり、これより小さいお子さんでは、先ほどの3つの問題を解決できない傾向があるわけです。

そのため、飛距離を伸ばすことが難しいのです。

さらに、12歳から13歳頃には、体の急な成長によって、一時的に体の使い方の協調性が崩れることがあります。これは、「クラムジー」と呼ばれるもので、今までできていた動きができなくなることがあるのです。

球児の場合は、スイングスピードが上がりにくい時期があることも指摘されています。

では、お子さんの現在の発達段階では、どのようなスイングを目指すといいのでしょうか?

「上向きで速い打球」が飛距離のカギだが…

「飛距離がなかなか伸びない…」

この悩みを解決するカギはなんでしょうか?

ズバリ、打球速度と角度です。バットにボールが当たった瞬間の打球速度が速いこと。そして、適切な角度で飛び出すこと。このふたつの条件で、打球は遠くまで届きます。

この点については、「【打撃力向上】ヘッドスピードを上げて飛距離アップ!3つの秘訣」で詳しく解説をしました。

バットでボールの下を叩けば、ボールにバックスピンがかかります。その結果、上向きの角度がつき飛距離の出る角度になります。

ただ、体が発達途中の小中学生の場合、この打球角度で飛距離を出すことは、難しいケースがあります。

それは、小中学生の場合は「大人と同じスイングができない」選手が多いからです。

実は、一流の技術を持ったプロ野球選手でも、完璧ではありません。意図したタイミングとバットの軌道で、正確にボールの下を狙って打つのは難しいのです。

最近では、飛距離を伸ばすために「極端なアッパースイング」を指導する大人もいるようです。

もちろん、その理論を否定するつもりはありません。でもホロス・ベースボールクリニックとしては、いくつかの理由で別の方法をお勧めします。

その理由のひとつは、繰り返しになりますが、身体的な問題です。

筋力が未発達な小中学生がアッパースイングをしても、スイングスピードが出ません。骨も未発達ですから、腰を痛める危険も伴います。

そして、打球の性質から考えても、体が未発達の小中学生は別の選択肢を強くおすすめします。

打球の性質を考えると小中学生はライナー

打球は大きく分けてゴロ、ライナー、フライがありますよね。

お子さんへのおすすめは、「強いライナー」です。

それはなぜか?

たとえばゴロは、地面でバウンドするたびに速度が落ちていきます。一方、高々と上がったフライは、空気抵抗の影響を受けやすく、落下するまでに勢いを失ってしまいます。

では、ライナーはどうでしょう?

ライナーは、空気抵抗の影響を最小限に抑えられます。そのため、勢いを保ったまま野手の間を抜けていく可能性が高いのです。

ですから、小中学生は「強いライナー」を打つ練習をしてください。

お子さんは、まず「打球速度」が上がるように、スイングスピードを高めていきましょう。そして、強いライナーが打てるスイング軌道を身につけることも重要なポイントです。

この理想的なスイングを身につけるには、名伯楽と呼ばれる内田順三さんのスイング理論が参考になります。

インサイドアウトのレベルスイングが速いライナーを生む

「もっとたくさんヒットが打てるようにしたい」

ライナー性の打球を安定して打つことは、お子さんがヒットを増やすためにとても重要です。

そのためには、次の2つが肝心です。

  • インパクトの瞬間のバット速度
  • バットの芯で正確にボールをとらえる

これを実現するために目指したいのが、「インサイドアウトのレベルスイング」です。

インサイドアウトのスイングは、バットの軌道が外側に遠回りするのを抑えます。そのため「体の近く」でボールをとらえやすく、最も力が伝わるバッティングになります。その結果、バットの芯でボールをとらえる確率も上がります。

つまり、速いライナー性の打球が生まれやすくなるのです。

そのスイングの習得方法については、「【バッティングフォーム完全ガイド】知らないではすまない11のチェックポイント」をチェックしてみてください。

お子さんには、日頃の素振りで「11のチェックポイント」を意識して素振りをさせてみてください。そして、段階的にレベルアップしていきましょう。

自宅でティースタンドを使える場合は、「体の近くを通す」「レベルに振る」感覚をつかむことを意識します。そして、その感覚を維持しながら、フロントトスでタイミングや全身の連動を養っていく。このような、段階的な練習が効果的だと言えます。

これらのバッティング練習で、常に注意してほしいことがあります。

それは、バットがどの角度でボールに当たっているかを確認することです。理想の軌道でボールをとらえられているかチェックしてください。

そうすれば、スイングの精度を高めることができます。

まずは基本動作習得を優先

お子さんの野球を見ていると、「欠点」が目につくかもしれません。

しかし、体が発達途中のお子さんは、体格や成熟度に合わせた野球の練習が大切です。今は、やがて体が大きくなった時のために、基本動作を身につけていきましょう。

多くの保護者の方から、スイング力をつけるためにと質問されるのが、「筋トレ」です。もちろん、筋トレも無視はできませんが、専門的な知識がないと十分な効果は期待できません。

たとえば、8歳から13歳のソフトボール選手を対象にした研究データがあります。

この研究では、回旋運動を中心としたメディシンボールトレーニングを8週間行いました。ところが、バット速度の向上に有意な効果が見られなかったのです。

これは、この年代ではまだ神経系の発達が優先されるためだと考えられます。また、トレーニングの強度や内容が適切ではなかった可能性も指摘されています。

お子さんの「体の状態」や「成長段階」に合わないトレーニングを行うと、ケガのリスクを高めてしまうこともあります。

ですから、トレーニングは専門家のサポートを受けることをおすすめします。

専門家なら、お子さんの体格や発達段階に合わせて、適切なメニューを考えられます。

そうすれば、体幹の分離や下半身の使い方、全身の連動といった「適切な動作習得」に重点を置くことができるのです。

今回のまとめ

小学生や中学生は、身体的な発達段階により、打球の飛距離を伸ばすことが難しい場合があります。

体が発達途中の時期は、基本動作の習得を行いましょう。

安定した打球を生むインサイドアウトのスイングで、強いライナー性の打球を打つ練習が効果的です。

筋トレも取り入れたいところですが、専門的なサポートが必要です。

お子さんの成長段階に合わせて、適切な練習を行ってください。そうすれば、必ず上達への道筋が見えてきます。

焦らずじっくりと取り組んでいきましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

Masahiro Kageyama12, Hajime Nakashima3, Hiroki Nakamoto4, Masafumi Fujii4 and Akira Maeda: Characteristics of baseball player bat-swing among subjects at different developmental stages and professionals.

Carrol A, Krupp T, Tucker K, Siekirk NJ, Kendall BJ. The Relationship between Cognition, Preseason Hitting Assessments, and In-Game Batting Performance in Collegiate Baseball and Softball Players. Int J Exerc Sci. 2023 Jan 1;16(6):23-30. doi: 10.70252/LWCL6605. PMID: 37114117; PMCID: PMC10124730.

Sawicki, Gregory & Hubbard, Mont & Stronge, W.J.. (2003). How to hit home runs: Optimum baseball bat swing parameters for maximum range trajectories. American Journal of Physics – AMER J PHYS. 71. 10.1119/1.1604384.

DeFroda, Steven. (2020). Effect of a 12-Week Off-Season Strength Training Program on Athletic Performance in Adolescent Baseball Players. Sports Medicine and Injury Care Journal. 2. 1-9. 10.24966/SMIC-8829/100009.

Kobak, Mallory & Rebold, Michael & Buser, Stacey & Kappler, Rachele & Otterstetter, Ronald. (2018). The Effects of Medicine Ball Training on Bat Swing Velocity of Prepubescent Softball Players. International Journal of Exercise Science. 11. 10.70252/DLBR3164.

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