【夏の必須知識】熱中症の予防法〜水分補給と夏の食事のポイント〜
今回お伝えする内容です
「熱中症は怖い!」そんな経験をしました。
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
急に暑くなってきましたね。
これだけ暑くなってくると、やはり気をつけたいのが熱中症です。
じつは、つい先日「やはり熱中症は怖い」と思う経験をしました。
ですから急きょ、あなたにも熱中症の怖さを知ってほしと思い、ブログでお伝えすることにしました。
その経験というのは・・
それは、ある高校の野球部のコンディショニングチェックを依頼され、うかがった時のことでした。
ホロス・ベースボールクリニックでは、活動のひとつとして、アスリートのコンディショニングチェックも行っています。
コンディショニングチェックに伺ったのは、数日前のことですから、まだそれほど「夏」という感じではない日でした。
そして、コンディショニングチェックは、放課後に実施しましたし、日陰で風通しの良いピロティーで行っていました。
その時です。
一人の選手が、突然倒れてしまったのです。意識を失い、全身痙攣も伴っていました。
すぐに救急車を呼んで、その選手は病院へ搬送されました。
その高校は、翌日が体育祭の予定で、生徒は午前中に予行練習をしたそうです。
倒れてしまった選手は、他の生徒と同じように1日を過ごして、放課後を迎えたのです。
もちろん、野球部の選手ですから、常日頃のトレーニングで、体力は十分にあるわけです。
私が、熱中症は怖いと思ったのは、【運動をしている時】や【運動をした直後】でなくても、その選手のように、数時間経過してからでも、全身痙攣を伴うような症状が出るということです。
これから、本格的に夏の暑い日が続く中、熱中症にかかるリスクが高まります。
熱中症は、体温調節がうまくいかなくなり、めまいなどの症状が現れることを言います。
そこで今回は、熱中症について「総合予防医療クリニック 田園調布長田整形外科&Green Health」の院長、長田夏哉先生の監修のもとで、管理栄養士、井上わかこさんに、アスリートに必要な【水分補給と夏の食事】というポイントで、熱中症の予防法を詳しくうかがう機会をいただきました。
それでは、井上わかこさん、よろしくお願いします。
まずは、熱中症を簡単に説明します
熱中症は、体温調節がうまくいかなくなり、めまいや頭痛、吐き気、ひどい症状の場合は、意識障害を引き起こすことがあります。
命にも関わるということは、あなたもご存知だと思います。
熱中症は、症状別に次のように分けて考えます(日本救急医学会熱中症分類2015)。
小学生など体が未発達の子どもの場合、発汗量が少ないことがあり、【暑熱順化:しょねつじゅんか】といって、暑さに対する体の反応が遅いことがあります。また、腎臓の機能が未発達で、脱水や熱中症になりやすいと言われていますから注意しましょう。
水分補給のポイント
暑い日には、汗をかいて体内の水分が失われるため、こまめな水分補給が必要です。
ただし、ただの水だけを飲んでも、体内の塩分が失われてしまい、熱中症にかかる可能性があります。
そのため、スポーツドリンクや塩分を含んだ飲み物を飲むことをおすすめします。
また、水分補給だけでなく、汗をかいたらタオルで拭いたり、エアコンのある部屋に入ったりすることも大切です。
それでは、ポイントを整理していきましょう。
一般的に、人の1日の水分出納は約2.5L
1日に「からだ」に取り入れる水の量と「からだ」から出ていく水の量は、成人で約2.5Lとされています。
ですから、夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心がける必要があります。
飲む量はかいた汗の量を目安にし、水のみではなく汗で失われる塩分(ナトリウム)もきちんと補給しましょう。
ちなみに、お子様でも体内の水分量が適切かどうかを簡単にチェックする方法があります。
それは、【尿の色】を見ることです。
尿の色が濃い場合は、脱水の可能性がありますから、そのように、あなたのお子様に教えてあげてください。
もちろん、尿の色が濃い場合は、すぐに水分補給をするようにしましょう。
汗をかいたら塩分(ナトリウム)の補給も必要
私たちの「からだ」には、約0.9%の食塩水と同じ浸透圧の血液が流れています。
また、汗をかいた肌をなめると塩辛い味がすることからわかるように、汗にはナトリウムが含まれています。
大量に汗をかいてナトリウムが失われたとき、水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まってしまいます。そうすると、これ以上ナトリウム濃度を下げないために水を飲む気持ちがなくなります。
同時に余分な水分を尿として排泄します。
この状態になると汗をかく前の体液の量を回復できなくなり、運動能力が低下し、体温が上昇して、熱中症の原因となります。(出典:大塚製薬HPより抜粋)
夏の水分補給にはどのようなものが良いか
熱中症予防の水分補給として、日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨しています。
特に1時間以上運動をする時は4~8%の糖質を含んだものを摂取することで、腸管内に水が吸収される効率が上がります。
これは、糖質と腸管内のナトリウムが同時にあることで速やかに吸収され、それらに引っ張られ水分も吸収されるメカニズムです。
運動の時間によっては、ナトリウムの量を増やすことも必要となります。
では、どういったものを飲むといいのか気になりますよね?
私がおすすめする、夏の水分補給レシピは、最後のほうでお伝えします。
夏の食事のポイント
暑い真夏日が続くと、多くの子どもは食欲が低下してしまいます。
食欲が落ちがちな夏には、栄養バランスを保ちながら、消化が良く食べやすいものを選びたいですね。
特に、小学生の子どもの場合は、内臓もまだまだ未完成ですから、夏場は特にお腹の調子を崩す子が多いようです。
それでは、暑い夏に気をつけたい、普段の食事について考えてみましょう。
食事はトレーニングの一つ
食べたものは、自分の肉となり精神にも影響を与えます。
食べるものを選択することは、日常において、特にスポーツをする子どもたちにとっては、トレーニングの一つでもあります。
例えば「体力の強化を図る食事」「瞬発力をあげやすい食事」「疲れが取れやすい食事」などはよく聞きます。
実はそれ以前に、季節における「からだ」に合った食べ方をプラスで取り入れることができると、一段と体のコントロールを実感できるようになります。
熱中症の要因である「からだ」の状態は、どうなっているのでしょうか?
▪️暑さに「からだ」が慣れていない
食べ物に「季節・旬」があるように、私たちの「からだ」も季節によって変化がおきます。その変化は「春夏秋冬」でそれぞれ起きるものです。
近頃の春から夏への変化は、梅雨が短く猛暑が突如やってくる感覚で、年々過酷になっているように感じますね。
「からだ」が暑さに慣れる間もなく、いつの間にか真夏に突入することで、気温の変化に対応しにくく疲れやすくなります。
また、学校や家、電車などでクーラーの効いたところに長時間いる場合に「からだ」が暑さに慣れにくいこともあります。
▪️疲れや寝不足などで体調がよくない
体温よりも気温が熱くなる場合、「からだ」は体温を下げようとするために、春や秋に比べてエネルギーを消耗しやすくなります。
冷たいものばかりを「からだ」に入れて冷やそうとすることで、胃腸の機能が落ちてしまいます。それが、食欲が湧かないなど悪循環になることがあります。
また、食欲を落とさないように、体力を保つためにと”こってり” した料理や、味が濃い料理などを頑張って食べることがあると思います。
実は、それは「からだ」に熱を発生させやすく逆効果とも言われています。
「からだ」の調整能力を最大限にあげる食材
夏野菜「旬」の野菜や、赤いもの・苦味のものを選んで食べるようにすることで「からだ」の調整機構が働きやすくなります。
▪️「からだ」の熱を取る食べ物
きゅうり、とうがん、ニガウリ、トマト、なす、セロリ、もやし、スイカ、メロン、キウィなどの夏野菜。
その他には、豆腐、春雨、麦、蕎麦、そうめん、わかめ、かに、ミント、緑茶がおすすめです。
▪️余分な水分を出す食べ物
きゅうり、とうがん、とうもろこし、香り野菜、豆類、そば、海藻、あさり、しじみがおすすめの食べ物です。
▪️循環血漿(けっしょう)量を増加させる働きがある食べ物
血液は、液体成分と細胞成分からつくられています。
細胞成分というのは、あなたもご存知のように赤血球や白血球、血小板のことです。
血漿というのは、液体成分のことで、栄養素を体に運ぶ働きがあります。
以下が、循環血漿量を増加させる働きがある食べ物です。
山芋、菊芋、ヤーコンや、豆乳、トマト、ゆり根、きくらげ、しめじ、桃、びわ、柿、梅、リン
ゴ、すもも、スイカ、みかんなどリコピンを含む酸性の食材。
うなぎ、すっぽん、なまこ、どじょうなどの夏に精力をつけるとされるビタミンの豊富な魚介類。そして、はちみつ、砂糖、お茶などです。
熱中症の予防法
それでは、お話をまとめていきましょう。
今回お伝えしたように、熱中症の予防には、水分補給や夏の食事のポイントを守ることが大切です。
ただし、熱中症にかかってしまった場合には、すぐに冷房のある部屋に移動し、氷や冷たいタオルなどで体を冷やすことが必要です。
グランドで熱中症にかかってしまった場合は、氷嚢で体を冷やしながら、エアコンの効いた車に移動するなどの工夫も必要でしょう。
いずれにしても、熱中症の症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診することが大切です。
今回の情報をもとに、あなたとあなたのお子様が、熱中症にかからず野球を楽しんでいただければと願っています。
また機会がありましたら、管理栄養士として、あなたのお子様の成長のお役に立つ情報を、お伝えできればと思います。
最後に、夏のお役立ちレシピをご紹介しますね。
ぜひ、ご活用ください。
以上、井上わかこがお伝えしました。
夏の水分補給レシピ
一般的に、飲むものは水、麦茶、塩水やスポーツ飲料などが望ましいです。お茶(緑茶や紅茶)やコーヒーには、カフェインを含むものが多く、利尿作用があるので脱水症状を進めてしまう危険もあります。
利尿作用のあるものは、飲み過ぎないように注意しましょう。
シンプル補給水
水:1L
海塩:小さじ1/2(2g) 杯
はちみつ:大さじ2~4杯
*塩は食卓塩ではなく、出来るだけ海塩を使うと良いでしょう。
*糖質(はちみつ)を入れることで、腸からの水の吸収が効率よく行われます。
はちみつレモン水
水:1L
海塩:小さじ1/2杯
はちみつ:大さじ2~4杯
レモン:絞り汁大さじ1
*レモン汁を入れることですっぱい味が効いて飲みやすい味になります。
*クエン酸が疲労回復にも効果的です。
よく冷えたスイカ
スイカをタッパなどに入れて保冷しながら持ち運ぶことをおすすめします。
*スイカは水分が90%。
*汗で失われるミネラル、カリウムも多く含む食材です。
夏におすすめの基本レシピ
<きゅうりのトマトがけ>2人分
- きゅうり2本は薄い輪切りにして塩少々でもんでおく。トマト大1個は湯むきをして種をとり、5mm角に切る。
- 酢大さじ1、レモン汁大さじ1、酒大さじ1、油大さじ1、塩小さじ1/2、こしょう少々を合わせてドレッシングを作り、①のトマトと和えておく。
- ①のきゅうりの水分を切り、器に盛り付けて②を上からかける。
<ネバネバ梅そば>2人分
- そば(乾麺)200gはたっぷりの熱湯で袋の表示通りに茹で、流水で洗ってぬめりを取る。
- 梅干し(大)1-2個は種を取って細かく叩く。
- 長芋10cmは皮をむき、長さ5cmの細切りにする。
- オクラ3本は、塩を入れた熱湯でサッと茹でてヘタを取り、小口切りにする。
- 生ワカメ20gは、水洗いをして一口大に切る。
- 器にそばを盛り、②~⑤と納豆(1パック)をたたいて挽き割りにし、紅生姜少々をのせ、めんつゆ適量をかける。
コンビニでの夏の食事、選び方
- 赤飯おにぎり、鮭おにぎり、とろろ蕎麦、春雨スープ、トマトやきゅうりの入ったサラダ、カットフルーツ(すいかやパイナップル)、緑茶などがおすすめです。
- レトルトカレー(出来るだけスパイスが多く入っている) に、夏野菜(オクラ、なす、かぼちゃ、トマト、枝豆、ニガウリなど) を茹でて加えたカレーもおすすめです。
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