【野球の伸びしろ】あなたはどっち?「やらされ感」で潰すor「やりたい」を引き出す!運命の分岐点とは

【野球の伸びしろ】あなたはどっち?「やらされ感」で潰すor「やりたい」を引き出す!運命の分岐点とは

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

ホント、言わないと全然練習しない…
あー、もっと自主的に頑張ってくれたら…

あなたも、こんな風に思ったことはありませんか?

そこで今回は、お子さんの「野球へのやる気」を最大限に引き出す親の関わり方について解説します。

前回「【野球は好きなのになぜ…?】子どもが”自主練”をしない5つの心理的理由」で、子どもが自主的に練習をしない理由をお伝えしました。今回は、その続きです。もしお子さんが、自主練をしていないとしたら、親としてできることは何か?

これだけは覚えておいてほしいのですが、お子さんの『やる気』は親の関わり方次第で変わります

ということで、今回は次の内容をお伝えします。

  • 「やらされ感」でなく「やりたくなる」親のサポート術
  • 「自己決定理論」でモチベーションを高める方法
  • これは避けたい!子どものやる気を下げる親の言動

これらを実践することで、お子さんは自然とやる気を高めていくでしょう。

お伝えする内容は、35年の指導経験と科学的研究に基づいています。今すぐ実践できる、具体的な内容です。

ぜひ最後までお付き合いください。

子どもの「やりたい気持ち」を引き出すコツ

お子さんが、自らバットを持って自主練に向かう姿。

これは、お子さんの成長を感じる喜びの瞬間ですね。親としての苦労が報われる、そんな場面をつくるカギは何だと思いますか?

実は「押し付け」ではなく「引き出す」親のサポートに答えがあるんです。

ここは忘れないでほしいのですが、「引き出す」サポートには、3つの重要なポイントがあります。

また、いくつかの研究でも明らかになっていることがあります。

それは、大人の何気ない接し方が、子どものやる気を大きく左右するということ。

こちらについても、避けるべき4つのポイントをわかりやすく解説しますね。

野球のモチベーションを高める3つのポイント

「あー、もっと自分から練習してくれたらいいのに…」

そう思うことがあるかもしれませんね。

お子さんが野球を楽しみ、自ら上達しようと努力する姿。それ、親としては最高の喜びですよね。

でも、なかなか自主練に取り組まない我が子を見ると…

あなたもついついストレスを感じてしまいますよね。ただそれは、小中学生には、期待が大きすぎるのかもしれません。

では、どうしたらいいのでしょうか?

ポイントは、お子さん自身の内側から湧いてくる「やりたい」という気持ちを育てることなんです。

「え、そんなの当たり前!」

そう思いましたか?
では、「やりたい気持ち」は、どうやって育つのか考えたことはありますか?

「自己決定理論」という考え方があります。

人が自発的に行動するには「自律性」「有能感」「関係性」の3つが重要だとわかっています。

これを野球の自主練習に応用してみましょう。

① 自律性(自分で決める喜び)

自律性とは、自分で決めて行動したい気持ちです。

練習しなさい!」と命令するのではなく、次のような選択肢を与えてみてください。

今日はどんな練習をしたい?
練習は何時からにする?

練習メニューの一部をお子さんに決めさせるのも効果的です。

② 有能感(できた!の積み重ね)

有能感とは、自分にはできるという自信や成長を感じることです。

お子さんの練習の成果を具体的に褒めてあげましょう。

昨日よりスイングが強くなったね
投げるときにヒジが上がってきたね

なるべく小さな目標から始めて、達成感を積み重ねていくことが大切です。

③ 関係性(応援されている安心感)

関係性とは、周りの人とのつながりや応援されている感覚のことです。

あなたが、練習を傍らで見てあげるだけでも効果があります。「頑張ってるね」という一言が、お子さんに安心感を与えるんです。

スポーツ心理学の研究では、心理状態やモチベーションが、パフォーマンスに影響すると示されています。

特に、適切な目標設定をすることは重要です。

小さな成功を積み重ねることで、自己効力感(できるという感覚)を高められます。それが、お子さんの自主的な取り組みを促進します。

ただ、すぐに効果が出ないかもしれません。

焦らずお子さんの気持ちに寄り添いながら、見守り続けてくださいね。

自律性、有能感、関係性を意識した声かけや関わりを続けましょう。そうすることで、お子さんは自ら練習に取り組むようになるでしょう。

子どものやる気を奪う「NGワード」

何だあのプレーは!

思わずこんな言葉を かけたことはありませんか?

実は、大人の何気ない一言。その一言が、子どものやる気を左右することをご存じでしょうか?

これは研究でも明らかになっていて、多くの指導現場でも確認されている事実なんです。

週末の練習や試合では、いろいろな課題が見えてくるかもしれません。それをなんとかしたいと思うのは、親として自然な気持ちですよね。

ここでは、そんなときに陥りやすい、具体的な例をいくつか確認してみましょう。

①過度な期待をかける


「レギュラーになるのは当たり前だ!」

このような期待は、子どもにとって大きなプレッシャーになることがあります。

なんであの場面で打てなかったの?
それくらいできて当然でしょ!

このような言葉で、子どもは失敗を恐れる気持ちが強くなることがあります。その結果、積極的にチャレンジできなくなる可能性が高くなります。

②「押し付け型」の接し方

毎日この時間から練習しなさい」

この練習メニューをやりなさい

子どもの改善点が見えている場合は、具体的な指示をしたくなるものです。これは、一見すると熱心なサポートのように見えます。

でも、子どもが納得していなければ、強制になってしまいます。これでは、”やらされ感”を生んでしまい、野球への意欲を削いでしまう可能性がありますね。

こんな話も聞いたことがあります。

③親が納得できるまで練習を続けさせる

夜遅くまでの練習で集中力が切れていては、上達につながりにくいです。無理な練習によって、ケガのリスクも高まります。

いくつかの研究では、「コントロール型の指導」は、内発的な動機付けを低下させると示されています。これは、子どもの自発性や長期的な成長に影響する重要なポイントです。

④他の子と比較する言葉

あの子はできてるのに…」

あの子の方がもっと頑張っている

きょうだいや、親自身の過去の経験と比べることも避けましょう。

お兄ちゃんはもっとできた」

自分が子どもの頃は…

このような言葉は、子どもの自信を失わせ、劣等感を植え付けてしまいます。「自己肯定感」の低下にもつながりかねません。

最後に、「過度な不安がパフォーマンスを下げる可能性がある」。そう指摘する研究結果も見逃せません。

周囲の大人の過度な期待やプレッシャー。それが、子どもの不安を高めることがあります。

それによって、本来持っている力を発揮できなくなることもあるのです。
なお、「「野球やめたい…」そうなる前に親として知るべきスポーツ指導の現状と課題」では、子どもの野球離れの現状をお伝えしています。併せて確認してみてください。

今回のまとめ

いかがでしたか?

今回は、子どもの「やりたい気持ち」を引き出し、野球へのモチベーションを高める親の関わり方についてお伝えしました。

大切なのは「自律性」「有能感」「関係性」の3つ。お子さんに選択肢を与え、小さな成功を積み重ねていきましょう。

また、気をつけたいのは:

  • 過度な期待
  • 押し付け型の指導
  • 他の子との比較

お子さんの成長には時間がかかります。でも焦らず、気持ちに寄り添ってあげましょう。

自主性を大切にする関わりを続ければ、きっとお子さんは自分から練習するようになりますよ!

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

Nasvytienė D, Lazdauskas T. Temperament and Academic Achievement in Children: A Meta-Analysis. Eur J Investig Health Psychol Educ. 2021 Jul 12;11(3):736-757. doi: 10.3390/ejihpe11030053. PMID: 34563066; PMCID: PMC8314362.

Piepiora P, Kwiatkowski D, Bagińska J, Agouridas D. Sports Level and the Personality of American Football Players in Poland. Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 10;18(24):13026. doi: 10.3390/ijerph182413026. PMID: 34948636; PMCID: PMC8701363.

Budnik-Przybylska D, Huzarska I, Karasiewicz K. Does Imagery Ability Matter for the Relationship Between Temperament and Self-Confidence in Team and Individual Sport Disciplines? Front Psychol. 2022 Jun 29;13:893457. doi: 10.3389/fpsyg.2022.893457. PMID: 35898998; PMCID: PMC9311684.

Šagát P, Bartik P, Lazić A, Tohănean DI, Koronas V, Turcu I, Knjaz D, Alexe CI, Curițianu IM. Self-Esteem, Individual versus Team Sports. Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 7;18(24):12915. doi: 10.3390/ijerph182412915. PMID: 34948525; PMCID: PMC8701405.

H Han D, H Kim J, S Lee Y, Joeng Bae S, Jin Bae S, J Kim H, Y Sim M, H Sung Y, Kyoon Lyoo I. Influence of temperament and anxiety on athletic performance. J Sports Sci Med. 2006 Sep 1;5(3):381-9. PMID: 24353455; PMCID: PMC3842138.

Kang KD, Han DH, Hannon JC, Hall MS, Choi JW. Temperamental Predictive Factors for Success in Korean Professional Baseball Players. Psychiatry Investig. 2015 Oct;12(4):459-65. doi: 10.4306/pi.2015.12.4.459. Epub 2015 Sep 30. PMID: 26508956; PMCID: PMC4620302.

オンラインレッスンをご用意しています

強いメンタルを備えたトップレベルを目指す選手へ

野球初心者のお子様と、一緒に楽しく学べるオンラインレッスンです。

野球初心者の上達には、こちらのオンラインレッスンがお勧めです。

ぜひ、あなたの感想を聞かせてください

今回の内容について、あなたの感想を聞かせてください。
または、「こんなことが知りたい」ということがあれば、どんなことでも大丈夫です。

野球をしていて「?」があった時には、すぐに私に質問をしてください。

小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生など、野球をしているすべてのプレーヤーの質問にお答えします

info@holosbc.com

こちらのアンケートでも受付しています。

そして、今回の情報が、あなたのお知り合いにとっても有益だとしたら、どうかお知り合いに情報をシェアしてください。

公式メルマガで、最新情報を入手してください

ブログの更新情報を、Holos Baseball Clinic 公式メールマガジンでお送りします。

野球に必要な

  • 運動能力向上の方法
  • 運動センス向上の方法
  • トレーニングやコンディショニングのこと
  • ケガ(スポーツ障害)や成長痛の予防
  • クラムジー対策

など、エビデンスに基づいた情報を選りすぐり、週1〜2回お届けします。

下のボタンから、今すぐ登録してください。

ほかにも、

  • お子様の運動能力と運動センスを高める方法
  • 体の成長のための栄養管理について
  • トップレベルの野球選手が行なっているセルフケア(コンディショニング)
  • 成長痛やスポーツ障害について

などなど、今お困りで情報をお探しでしたら、ホロス・ベースボールクリニックが制作したオンラインコースがお役に立つかもしれません。

今すぐ、個別指導が必要ですか?

お子様の成長痛、肩やヒジのケガで、思うように野球の練習に取り組めていないなど、お困りのことはありませんか?

成長痛やケガからの回復については、あなたのお子様の状況を判断しながら、オリジナルのサポートが必要になります。

石橋が直接状況を確認して、トレーニングの指導を行っています。

そして、現在の体の状態や特徴(長所と短所)を知ることで、ストレングポイントがわかるコンディショニングチェックのサービスも開始しました。

コンディショニングチェックについては、こちらで詳しくわかります。

コンディショニングチェックについても、個別のトレーニング指導についても、小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生も対象に行なっています。

ライバルに差をつけたい。
レギュラーを確保したい。
もっと上手くなりたい。

そういった思いがある選手は、ぜひ、ホロス・ベースボールクリニック事務局までご連絡ください。

info@holosbc.com

好評発売中です

ホロス・ベースボールクリニックがお届けするkindleブックが、大好評です。

小学生の野球が、なかなか上達しない理由

「子どもが野球をはじめたが、なかなか思うように上達しない」
「野球をはじめて1年経ったけど、思うように上達していない」

そのようなお悩みの声が寄せられています。そこで、どうして小学生の多くが、野球が上達しないのかについてまとめたガイドブックを作りました。

小学生の場合、上達しないのには理由があります。そして効果的に上達する方法があります。

また、今回は「一流選手になるための心の習慣」についても触れています。

野球の上達にお悩みでしたら、ぜひご一読ください。

強い体をつくり、野球のパフォーマンス向上に必要な情報がオールインワンのガイドブック

野球をする子どもにとって必要な、運動能力のこと、運動センスのこと、強くて大きな体をつくる方法、トレーニングやコンディショニングのことetc…

知っているようで、じつは間違った認識を持っていることがたくさんあるはずです。

あなたのお子様が健康的に成長でき、野球の能力やセンスを高めるために、ぜひご一読ください。

お子様の強い気持ち(メンタル)を養いたい方へ

野球は、気持ちで結果が大きく左右するスポーツです。
身体能力以上に、気持ち(メンタル)のトレーニングが必要かも知れませんね。

野球をする小中学生に必要で具体的な、メンタル強化の方法を60のアプローチにまとめました。
でも、一つ一つのアプローチはとても簡単です。

親子で一緒にメンタル強化してみませんか?