【野球上達の秘密】伝説の「王シフト」と「大谷シフト」から学ぶ野球のスキルアップ戦略

【野球上達の秘密】伝説の「王シフト」と「大谷シフト」から学ぶ野球のスキルアップ戦略

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

今回は、野球において科学的データと選手の直感をバランス良く組み合わせることが大切だというお話をします。

例えば、あなたが監督としてチームを指揮しているとしますね。そして、大谷翔平選手と対戦するとします。

その時に、あなたならどのような方法で、大谷翔平選手を打ち取ろうと考えるでしょうか?

大谷翔平選手に限らず、強打者を打ち取ろうとする時には、いくつかの戦略が必要です。

そのうちの一つに、今回解説をする野手のポジショニングがあります。

野球選手であれば、ポジショニングについては知っていると思いますが、もしも、ポジショニングという言葉を初めて聞く場合でも、この後で説明しますので、ご安心ください。

ポジショニングの代表的な例としては、伝説の「王シフト」があります。

あなたは、王シフトがどうして誕生したのか知っていますか?

王シフトというのは、一本足打法で有名な世界のホームラン王、王貞治選手を打ち取るために考えられました。

40代以下の方の場合、王貞治選手の現役時代を知らない人が多いと思います。ですが、868本のホームラン世界記録を達成した、努力の人であることは知っている人が多いと思います。

仮に王シフトを知らなくても、「大谷シフト」は目にしたことがあるかもしれません。

メジャーリーグ中継を観ていると、極端なシフトを取っている野手を見たことがあると思います。

今回は、まずそのような極端な「王シフト」や「大谷シフト」が生まれた背景について解説します。

そして、極端なシフトが、その後の野球界をどのように変化させたのかについても触れていきます。

おそらくあなたは、大谷シフトのような極端な守備体系が、メジャーリーグのルール改正に繋がったことは知らないかもしれませんね。

そのルール改正は、野球をより楽しめる方向にシフトチェンジできたと思います。

その具体的な内容についても、この後で説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

伝説の「王シフト」と「大谷シフト」

王シフトにしても大谷シフトにしても、強打者を打ち取るために考えられたことは、お話をした通りです。

例えば、高校野球をテレビで観ていると、「守っている仲間を信じて、打たせて取ることを心がけました」といったコメントを勝利投手から聞くことがありますね。

その背景には、守っているナインが、投手の配球に合わせた根拠のあるポジショニングを取っていることが挙げられます。

状況に合わせて守備配置をシフトすることで、打者を打ち取る確率が高められます

あなたもご存知だと思いますが、プロ野球では、それぞれの打者の打球方向のデータを持っていますから、より極端なシフトが取れるわけです。

その打球方向の傾向が、伝説の王シフトのきっかけになりましたが、実はそれ以外にも、王シフトが考えられた理由があるようです。

それは、何だと思いますか?

その理由については、次にお話をします。

極端な守備位置で打たせて取る「王シフト」

強打者を打ち取るために、極端なシフトが考え出されたというのは、お話をした通りです。

そして、その代表例として「王シフト」が挙げられます。

それは、1964年頃のことです。

王貞治選手が、読売ジャイアンツでホームラン王として活躍していた時代です。

その王貞治選手の生涯成績は、次の通りです。

通算9250打数、2786安打、868本塁打、2170打点、打率.301です。(公益財団法人野球殿堂博物館より)

対戦チームは、およそ10打席に一本のホームランを放つ、王貞治選手の驚異的な長打率に対抗する必要がありました。

そこで、対戦チームは王貞治選手が打席に立ったとき、特殊な守備配置をとりました。 

それが、王シフトと呼ばれ、現在にも語り継がれています。

その守備配置とは、一塁手を一塁線へ、二塁手をより一塁側へ、遊撃手はセカンドベース後方へ、そして、三塁手は遊撃手の守備位置へとシフトしました。また、外野手はそれぞれ右方向へシフトさせました。

その結果、フィールドの右半分に野手が5人という、極端なシフトとなったのです。

先ほど、王シフトを取る理由が打球方向の傾向だけでなく、そのほかの狙いがあったとお話をしましたね。

実は、この王シフトには2つの大きな目的がありました。

1つは、右方向への長打を防ぐことです

そして、もう1つの大きな理由は、がら空きのレフトに流し打ちを誘うことにあったそうです

王貞治選手でさえ、左への流し打ちでは、根本的に長打は少なくなると考えたのでしょう。

さらに、流し打ちを繰り返しさせることで、やがて一本足打法も崩れてくるのではないかという狙いがあったようです。

それは、長期的に見て打たせて取るという、チームとしての作戦です。

王選手は、こうした「王シフト」に対しても、自分のバッティングスタイル、一本足打法を変えることはありませんでした。もちろん、流し打ちをすることもなく、真正面から投手と対戦していきました。

だからこそ、ホームランの世界記録という偉業を達成できたのでしょう。

さらに極端な大谷シフト

アメリカ・メジャーリーグで大活躍を続けている、大谷翔平選手にも伝説の「大谷シフト」がありました。

大谷選手が打席に立ったとき、メジャーの各チームはとても特殊な守備配置をとりました

その配置は、一塁手を一塁線ギリギリへ、二塁手を一塁側に寄せ、なんと、遊撃手はセカンドベースを超えて二遊間へシフトさせました。そして、三塁手は遊撃手の守備位置よりもセンター寄りに配置し、外野の右翼手を右方向へ移動させました。

これは、大谷翔平選手の打球方向のデータを分析して取られた作戦ですが、それにしても極端な守備体系ですね。

それでも、大谷翔平選手もまた王貞治選手同様に、自分のバッティングスタイルを変えることはありませんでした。

そして2022年には、自身のメジャーでのキャリアハイとなる、シーズン160安打を記録しています。

データ野球で変わったこと

実際に、日本の小中学生の野球でも、ポジショニングを重視している指導者は多いと思います。

しかし、対戦相手の分析データを持っているチームは少ないでしょう。ですから、一般的には打者のタイプを見てポジショニングを変えるということが行われています。

例えば、引っ張る傾向のバッターなのか、おっつける傾向のバッターなのかといったことや、ピッチャーとのタイミングが合っているのか、振り遅れ気味なのかといったことを見るようにと、選手を指導しています。

高校野球では、大会前に対戦相手のデータを分析しているチームが大半だと思います。

このように、プロ野球でなくても、対戦相手を研究し分析するということが行われるようになってきました。

プロ野球やメジャーリーグであれば、専門スタッフが情報分析をしているので、大谷シフトのように極端なシフトをデータに基づいて取っているわけです。

では、その変様を見ていきたいと思います。
メジャーリーグで、大谷シフトのような極端な守備体系を取るようになったのは、いつ頃からなのでしょうか?

メジャーリーグで変化するデータ野球

では、2015年のデータを見てみましょう。

メジャーリーグでは、2015年の守備シフト使用率は、全体のわずか9.6%でした。しかし、その後あらゆるデータを分析して、特殊な守備シフトを使用するケースが増えていきます。

例えば、メジャーのあるチームでは、三遊間にゴロが転がる割合と、三塁線をゴロが抜けていく割合のどちらが多いかを調べました。

あなたは、どちらが多いと思いますか?

実際は、三遊間にゴロが転がる割合の方が圧倒的に多いことが分かりました。ですから、三塁手を少し遊撃手側に移動させ、その狭くなった三遊間へ打たせて取るという戦術を使っていました。

こういったデータを元に、特殊な守備シフトを使用する割合は、年々増えていきます。

2022年になると、守備シフト使用率はなんと34.6%にもなっています。そして、打者ごとに特殊な守備シフトを取ることで、グランド内に飛んだ打球が、ヒットになる確率が低下していきました。

データ野球がもたらしたフライ革命?

各チームが、データ分析をもとに極端な守備シフトを取ることで、ゴロで内野の間を抜くヒットが少なくなりました。

すると、フライボール革命が起こります

フライボール革命というのは、打球が内野の頭を超えるようにフライを打つ打撃法です。それが、メジャー選手の中で重用視されていきます。

実際に、フライボール革命によって、ホームラン数が増えました。しかし、同時に三振数も増えました

つまり、三振かホームランか、といった大味な野球になってしまったのです。

日本でもメジャーリーグの影響を受け、一時期フライボール革命について、野球専門誌でも取り上げられました。

そのためか、少年野球でも、「外野の頭を超えるフライを打とう」という指導が多くなりました。

ホロス・ベースボールクリニックとして、その賛否を問うつもりはありません。しかし、フライボールを打つためにバレルスイングを身につけるということは、小中学生にはおすすめしていません。

今回は、守備シフトについてのお話ですから、その点には触れませんが、いずれかのタイミングでバットスイングについて解説しますので、よろしければメール登録しておいてください。

では、話を戻しましょう。

大味な野球への変化によるルール改正

打者を打ち取る確率を高めるために、極端なシフトをとるケースが増えました。

そして、それに対してフライボール革命が起こりました。

ホームランは野球の醍醐味ですから、野球ファンにとって楽しみが増えます。しかし、その一方で三振の数も増えるという大味な野球へと変化していきました。

こうした大味の野球を危惧したメジャーリーグでは、2023年にルール改定が行われ、守備シフトが禁止されました。

これにより、「大谷シフト」は無くなったのです。

ちなみに、2023年にルール改定された内容は次の通りです。

【守備シフト禁止】

  • 内野手は、2塁ベースを境に左右に2人ずつに分かれなければならない。
  • 試合中にその位置を変更することはできない。
  • 内野手は、内野のダート部分に両足を置かなくてはいけない。

【違反の場合】

  • 打者が出塁しない限り、1ボールが与えられる。
  • 打者が犠牲フライまたはバントを成功させると、攻撃側の監督は打者が1ボールを得て打席に戻るか、犠打成立のまま試合を続行するかを選択することができる。

大谷翔平選手は、メジャーリーグの特殊な守備シフトや、更にはルール改定などにも動じることなく、自分のバッティングをさらに進化させました。

そして、2023年にはメジャーリーグで日本人初となるホームラン王に輝きました。

素晴らしいですね。

今回のまとめ

いかがでしたか?

今回は、伝説の「王シフト」と「大谷シフト」をもとに、変化してきた野球のスタイルについて解説をしました。

時代は違いますが、王貞治選手も大谷翔平選手も、特殊な守備シフトに対して、真正面から対戦していきました。

野球において、科学的なデータを重んじることは、とても重要なことです。ですから、「王シフト」や「大谷シフト」が考え出されたのも必然と言えるのかもしれません。

いずれにしても、「王シフト」も「大谷シフト」も伝説として語り継がれていくことでしょう。

ただし、自分の信念を貫いてデータに打ち勝った2人の姿勢こそが、伝説として語り継がれるべきものだと思います。

「直感なき科学は、真実にあらず」。

科学は、データを集めたり、様々な実験をしたりして、事実を確かめていく大切な作業です。しかし、人と人が対戦する野球で最も大切なことは、選手の感覚です。

ですから、まずは選手の意見を取り入れることが必要だと考えます。その上でデータを収集分析し、選手のプレーに役立つために科学的なデータとして活用されていくことが重要だと思います。

ホロス・ベースボールクリニックでは、投球動作・打撃動作、ランニング動作など、あらゆる動作の分析とフィードバック、そして分析結果を活かすためのトレーニング指導も行っています。

オンラインでも対応していますので、ご興味のある方はお問合せください。

今回は以上です。

次回もまた、野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

引き続き、野球の上達のために頑張っていきましょう。

それでは、またお会いしましょう。

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