【初公開】野球で成功する選手がやっている体力測定&トレーニング戦略

【初公開】野球で成功する選手がやっている体力測定&トレーニング戦略

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

今回のテーマは「野球の能力を科学的に伸ばす体力測定」についてです。

その内容を知ることで、あなたは次のことができるようになります。

  • お子さんの野球の能力を正確に把握する方法
  • 目標に合った測定項目の選び方
  • 測定結果を実践的な練習に活かすコツ
  • 効果的な能力開発の進め方

あなたは今、

「うちの子、もっと野球が上手くなれるはず」
「練習は頑張っているのに、なかなか結果が出なくて…」

そんな思いを抱えていませんか?

ある海外の研究では、幼少期の体力測定の結果が高い選手ほど、将来トップレベルで活躍する傾向があることがわかっています。

そうだとしたら、早い段階でお子さんの運動能力を高めたいですよね。でも、その具体的な方法を知らなければ、お子さんの可能性を十分に伸ばすことはできません。

ただ持久力をつければいい、筋トレをすればいいというわけではないのです。では、お子さんの野球の能力を正しく把握し伸ばすにはどうすればよいのでしょうか?

そこで今回は、「効果的な体力測定の方法」と「その結果の活用法」について詳しく解説します。

これらの内容は、私の35年以上の研究と指導経験、そしてプロ野球選手の分析から得られた実践的なノウハウです。さらに、海外の最新情報も交えてお伝えしていきます。

お子さんの野球能力を確実に伸ばしたい方、効率的なトレーニング方法を知りたい方に、必ず役立つ内容です。

ぜひ、最後までお付き合いください。

野球の能力を高める体力測定の考え方

お子さんの野球の能力を高めるためにお勧めなのは、体力測定です。

ただ、闇雲に測定するのではなく、お子さんが目指したい目標を決めておくことが肝心です。その目標に合わせた項目を選んでいきましょう。

その具体的な内容については、この後で順番にお話ししていきます。

野球選手に必要な体力要素は、「基礎体力」と「専門体力」の2つ。

お子さんが、速いボールを投げたいのか、バッティングで飛距離を伸ばしたいのか。そのような目標と現状に応じて、体力測定の方法と鍛えるべき部分は変わってきます

体力測定は、お子さんの今の状態を知るためのスタート地点です。

単に「強い」「弱い」を判断するのではなく、具体的な改善方法を見つけるために活用してみましょう。

個々の選手で違う体力測定の考え方

体力測定と聞くと、お子さんが学校で行っている測定を思い浮かべるのではないでしょうか。

学校での体力測定は、文部科学省の実施要項に沿って行われていて、次のような種目があります。

  • 握力
  • 上体起こし
  • 長座体前屈
  • 反復横とび
  • 持久走またはシャトルラン
  • 立ち幅とび
  • ハンドボール投げ

これらの測定で、お子さんの基本的な運動能力がわかります。でも、数字の良し悪しを判断する必要はありません。

具体的な改善策を考えるためのヒントとして活用してください。

小学生のお子さんなら、まずは基礎体力づくりから考えましょう。野球に必要な専門体力は、段階的に高めていけばOKです。

中学生なら、野球の専門体力を意識したトレーニングも行いましょう。

ここで大切なのは、ポジションごとの特性を考えることです。たとえば、ピッチャーと野手では、必要な体力要素が違います。また、キャッチャーならではの体力要素もありますね。

実は、お子さんに合わせた、「さらに細かな体力測定のやり方」があります。どのような方法なのか、次にそれを具体的にお話しします。

なお、基礎体力と専門体力について、より詳しい内容は「野球のスキルを科学的に伸ばすICT活用例」を確認してみてください。

野球選手のための体力測定

お子さんは、学校で体力測定を受けていますね。実は、学校で行う体力測定には限界があります。

学校では、文部科学省が決めた種目だけを測定します。そのため、野球に本当に必要な能力を測れないことがあります。

たとえば、ハンドボール投げの測定結果は、野球の投球能力と完全には直結しません。

また、野球選手とバレーボール選手、バスケットボール選手、サッカー選手など。種目が違えば動きも違いますね。

では、どうすれば良いのでしょうか?

理想は、学校の測定とは別に競技別の体力測定を行うことです。その中でも、ポジション別に比較していくことが大切なのです。

そこで私たちが活用しているのが「特性要因図」です。これは、お子さんの目標達成に必要な要素を整理できる便利な方法です。

具体的な例をご紹介します。

たとえば、お子さんに「球速を10キロ速くしたい」という目標があるとします。

まず、この目標を図の右端に書きます。次に、「だったらこういうことが必要なんじゃないか」という仮説を立てます。それを目標達成に必要な要素として考えて、上下の4つの枠に書いていきます。

たとえば、球速を10キロアップするために必要な要素は何があるでしょうか?

  • 筋力
  • バランス
  • 巧緻性
  • 柔軟性

といった要素を考えたとします。ちなみに、巧緻性というのは、動作を調整する「たくみさ」のことです。

そして、それぞれの要素をさらに具体的に考えます。

球速アップのためには、

  • どの部分の筋力を高める必要があるのか
  • どんなバランス能力が必要なのか
  • 投球時の腕の使い方や足の踏み込みはどうか
  • どの筋肉や関節の柔軟性が必要か

このように目的を細かく設定することで、具体的な行動計画が見えてきますね。しかし、選手によって課題が違ってきます。

ですから、お子さんに合った方法を見つけることが大切なのです。

もっとも、このような分析には専門的な知識が求められます。また、測定結果を比較するための基準データも欠かせません。

その点については、ぜひご相談ください。専門的な立場から、お子さんに合ったアドバイスをさせていただきます。

測定結果を野球の結果につなげる方法

お子さんの目標が決まり、強化する要素が決まったら、実行あるのみです。

日々の練習の効果をより高めるためには、「定期的な振り返り」が重要になります。それには、リトリーバル学習法がオススメです。

リトリーバル学習法は、学んだことを自分の頭で思い出すことで、より深く理解できる学習法なのです。

たとえば、学校の勉強であれば、教科書を読んだり先生の説明を聞くだけでは十分ではありません。

授業後に「今日は何を学んだか?」と自分で問いかけたり、教科書を見ずに内容を思い出そうとすることが基本です。

この効果は、アメリカの研究でも証明されています。

ある講義動画を見た後、2つのグループでテストを行いました。リトリーバル(振り返り)を行ったグループは、行わなかったグループより良い成績を収めたのです。

では、この方法を野球の上達にも活用してみましょう。

お子さんがピッチャーとして「コントロールを高めたい」という目標を持っているとします。たとえば、コーチからシャドーピッチングをするときの注意点を教えてもらったら、リトリーバルの実践です。

コーチの指導を受けた後に、「今聞いたことは何か」をコーチに伝えます。もし間違って解釈していても、その場で修正ができますね。

練習後には、お子さんに「今日の練習で何を一番学んだか?」と声をかけてみてください。その答えから、お子さんが何を重要だと感じているのかも見えてきます。

日々の練習では、学んだことを意識的に思い出すようにします。このシンプルな行動が、野球の上達を大きく後押しします。

ぜひ、実践してみてください。

今回のまとめ

いかがでしたか?

今回は、野球の能力向上に役立つ体力測定の考え方と、その活用方法についてお話ししました。

ポイントを整理しましょう。

  1. 体力測定は目標達成のための手段です。お子さんの目標に合わせて、測定項目を選んでいきましょう。
  2. 特性要因図を使えば、お子さんに必要な要素が見えてきます。そこから具体的な課題を明確にできます。
  3. 定期的な測定で、お子さんの成長や変化が把握できます。
  4. さらに、リトリーバル学習法で振り返ることで、確実な上達につながります。

ぜひ、チームの指導者とも測定結果を共有してみてください。より効果的な改善方法が見えてくるはずです。

データに基づく客観的な評価は、お子さんの可能性を大きく広げます。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

石橋秀幸著、レベルアップする!野球 科学・技術・練習、西東社

石橋秀幸著、野球体をつくる、西東社

石橋秀幸著、マー君をめざす最新トレーニング、廣済堂出版

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新体力テスト実施要項(6歳~11歳対象)
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/stamina/05030101/001.pdf

新体力テスト実施要項(12歳~19歳対象)
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/stamina/05030101/002.pdf

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