【初公開】最後の20分で野球技術が定着する!科学が示す“練習の終わり方”とは?

【初公開】最後の20分で野球技術が定着する!科学が示す“練習の終わり方”とは?

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

お子さんの集中力、高い方ですか? それともムラがあるとお悩みですか?

これから、お子さんの集中力と野球のスキルを最大限に高める、効果が実証された方法をお伝えします。

実は、”集中力のムラ”は、お子さんのやる気や気質の問題ではありません。

むしろ、集中力が切れてミスが起きることこそ、お子さんのスキルアップの”唯一”の手がかり。そう言っても過言ではないんです。

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

お子さんの野球の練習を見ていて、こう感じたことはありませんか?

「昨日はあんなに集中してたのに、今日は全然ダメだ…」

小学生によくあるのが…

  • すぐに飽きて周りを見たり
  • 友達とふざけ始めたり

「もっと集中力があれば、この子は絶対にうまくなるのに…」

そんなもどかしさを感じることも少なくないでしょう。

でも、これだけは覚えておいてください!

集中力のムラは、”脳の仕組み”に原因があります。つまり、野球のスキルを学習し記憶する段階で、必ず必要なプロセスなんです。

もちろん、これからお伝えすることは、私の35年以上の研究と指導に基づく確かな内容です。

お子さんの集中力維持と野球の上達に課題がある方は、すぐに実践できます。

ぜひ最後までお付き合いください。

集中力のムラの正体を知り練習を変える!

なぜ、日によってプレーの出来不出来が大きく変わるのでしょうか?

ズバリ!その答えは、”記憶の固定化”(Consolidation)にあります。つまり、学んだ技術が脳にどれだけ深く刻み込まれているか。それがとても重要なんです。

では、記憶を固定化するには、どうしたらいいと思いますか?

正しい戦略で練習の”やりかた”を変える必要があるんです。

そして、その過程で生じる心身の”疲労”も、パフォーマンスのムラに大きく関わっています。

それでは、ひとつずつ具体的に解説していきます。

「意識」から「無意識」への2つの段階

野球スキルの習得には、大きく分けて2つの段階があることが脳科学の研究で分かっています。

  1. 動きを”意識”して行う段階(認知段階)
    これは、野球スキル習得の初期段階です。

    一つひとつの動きを”頭で考えながら実行”するため、前頭前野のような認知機能を司る領域に高い負荷がかかります。

    常に意識的な努力と注意力が必要で、精神的疲労(Mental Fatigue)を起こしやすくなります。これが、集中力が途切れやすい原因です。
  2. 何も”考えず”にできる段階(自動化段階)
    練習を繰り返しスキルが脳に定着すると、動きが自動化されます。

    いちいち頭で考えなくても体が反応する、”無意識の技術”になるのです。ここまで到達すると、脳の負荷が減ります。

    より少ないエネルギーで、高いパフォーマンスを安定して発揮できるようになります。

多くのお子さんは、動きを”意識”して行う段階から、何も”考えず”にできる段階へと、今まさに移行している途中にいるんです。そのため、プレー中は常に脳がフル回転しているわけです。

この状態では、精神的・身体的疲労が蓄積しやすく、集中力が散漫になってしまうのです。

ちなみに、脳科学の別の視点で能力を開発する方法を【初公開】科学的野球指導!小中学生は「脳」を鍛えて、野球センスを劇的に伸ばすべしで解説しています。

脳は「間違い」を待っている?

あなたは、お子さんが練習中にミスをすると…

あ、また失敗した
集中していないからだ

ついそうネガティブにとらえてしまうかもしれません。しかし、脳科学の観点から見ると違います。その”失敗”こそが、上達に欠かせない最強のシグナルなんです。

ミスをすると、脳は「何かがおかしいぞ、修正が必要だ」という警報を受け取ります。

この瞬間、脳内で何が起きるのか?

アセチルコリンやアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質が放出され、注意や集中力が一気に高まります。

これらの化学物質は、まさに今起きている経験を、脳に刻み込むための”マーカー”として機能するんです。

神経の結びつきを変化させて適応しようとする、”神経可塑性”を最も活発にします。

つまり、失敗を経験し、それを乗り越えようと考えることが必要なんです。この瞬間こそ、脳が最も熱心に学ぼうとしているゴールデンタイムなのです。

お子さんがミスを繰り返したとしても、それも成長の過程です。脳の仕組みだと受け入れて、焦らず練習を続けていきましょう。

練習のしかたを変えて記憶を固定化する

これまでの脳科学の知識をもとに、練習で学んだことを脳に定着させる方法を紹介します。

ぜひ、チーム練習の最後に実践してほしいことがあります。実は、脳科学はここが重要だと示しているんです。

おすすめなのが、20分程度の強度の高い運動

では、なぜ練習直後の高強度な運動が、記憶の定着を助けるのでしょうか? 

そのメカニズムには、”BDNF”(Brain-Derived Neurotrophic Factor=脳由来神経栄養因子)という物質が深く関わっています。

BDNFは、神経細胞の成長を促し、神経回路(シナプス)の結びつきを強固にする働きを持っています。そのことから、”脳の肥料”とも呼ばれているんです。

高強度の運動を行うと、体内で乳酸などの物質が生成されます。これがシグナルとなり、脳内でのBDNFの分泌が活発になるのです。

つまり…

  1. 野球の技術練習で、新しい神経回路の「種」がまかれる
  2. 練習直後の高強度な運動で、脳の肥料である「BDNF」が大量に分泌される
  3. 大量のBDNFが、まかれたばかりの神経回路の”種”に栄養を与える

このプロセスによって、その日の練習で学んだことが、”忘れにくい記憶”へと変換されていくのです。

ちなみに、練習の合間の質を高める方法を【知らないと損】”集中”が切れるから野球は上達する!? 脳科学が明かす新事実 で解説しています。

おすすめのエクササイズ

では、科学的効果が実証された、おすすめのエクササイズを紹介します。

これは、思春期前の子ども(平均10.5歳)の運動記憶が向上したという2017年の報告をもとにしています。

ポイントは3つ!

  1. 目的:
    技術練習ではなく心拍数を上げること
  2. 時間:
    20分程度で息が上がるくらいの運動
  3. 楽しさ:
    子どもたちが理屈抜きで楽しめること

楽しさや競争心があることで、ドーパミンの放出を促し、学習効果を高める可能性があることがわかっています。

具体的なエクササイズ例は次の通りです。

  • ベースランニングリレー
    これは、実施しているチームがあると思いますが、定番化しましょう。2チームでの競争形式は、子どもたちを自然と本気にさせ、心拍数を上げます。
  • 鬼ごっこ
    野球に必要なアジリティ(敏捷性)やコーディネーション(協応性)といった動きが自然と取り入れられます。夢中で追いかけ、逃げ回るうちに心拍数は上がります。

その他にも、日本スポーツ協会(JSPO)では、遊びをもとにしたエクササイズがたくさん紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。

ただし、注意点があります。

過度な疲労は、学習効果を著しく損ないます。お子さんがすでに極度に疲れている場合は、高強度な運動は避けてください

クールダウンをして、疲労回復を優先させましょう。
なお、練習のし過ぎはパフォーマンスを低下させることを【緊急提言】子どもの野球は”詰め込み練習”が逆効果!海外の常識はどうなってる?で解説しましたので、併せてチェックしてください。

今回のまとめ

集中力のムラは子どもの気質ではなく、脳の仕組みによる必然的なプロセスです。

失敗は、脳を成長モードに切り替えるシグナルであり、学習のゴールデンタイムです。

練習直後に20分程度の高強度運動を取り入れることで、脳内のBDNFが分泌され記憶が強化されます。

練習方法の少しの工夫が、お子さんの成長を大きく後押しします。ぜひ、参考にしてください。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

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