【試合で打てない原因】芯でミートする確率が63%→71%にUPした練習法!4週間で変わった高校球児実例

今回お伝えする内容です
【試合で打てない原因】芯でミートする確率が63%→71%にUPした練習法!4週間で変わった高校球児実例
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
お子さんの野球、伸び悩んでいると感じていますか?
そうだとしたら、練習を根本的に見直す必要があるかもしれません。でも、その方法は、あなたにとってきっと意外な内容です。
練習は嘘をつかない! そう信じて、毎日100回の素振り。それを続けている努力は、本当に素晴らしいことです。
しかし、この単調な繰り返しには「ある重要なこと」が欠けています。
確かに、単調な素振りでも「振る力」はつくと思います。でも、正確にボールをミートすることにつながる練習になっているか?
そこが問題ですよね。
実は、単に繰り返す練習は、脳の働きを鈍らせます。研究からも成長を妨げることがわかってきました。つまり、単調ではない練習を工夫する必要があるのです。
そこで今回は、次の内容をわかりやすく解説していきます。
- 単調な素振りでは上達しない理由
- 野球脳に複数の刺激が必要なワケ
- 試合になると打てない根本原因
- 結果が変わるバッティング練習のコツ
これらの内容は、私の35年以上の研究と指導により実証されたものです。最新の研究事例も含めて詳しくお話ししていきます。
「我が子の努力を“成果”につなげたい!」
そんなあなたには、きっと初めて聞くとても貴重な情報です。
ぜひ、最後までお付き合いください。
ただ反復練習するだけでは上達は頭打ち?
毎日コツコツ頑張っているのに、思うように野球が上達しない…。
そんな悩みを抱える親子は少なくありません。
実は「ただ繰り返すだけ」の練習には、脳の働き方から見た“限界”があるのです。
これから、その理由を脳科学の視点で詳しく解説します。 そして、お子さんの上達を加速させる、効果的な練習法も紹介します。
毎日100回のスイングでうまくなる?
いきなりこんなことを言うと、驚くかもしれません。
毎日同じ素振りを続けても、バッティングの上達には限界があります。単純な反復練習には、実は大きな落とし穴があるのです。
子どもに家での練習内容を聞くと、「素振りを毎日100回しています」という子が多いです。この100スイングは、基準値なのかもしれません。
よく野球では、「練習量をこなす」などと言いますね。でも、単純に量を増やすだけでは上達しない。これが新常識です。
どんな練習も、始めたばかりの頃は効果が出やすいです。しかし、同じ動作をただ繰り返すだけでは、いずれ上達は停滞してしまいます。
これは「プラトー(停滞期)」とも呼ばれる状態です。
お子さんの脳は、新しい技術や難しい課題に挑戦するとき、フル回転で働きます。それは、新しい脳の回路をつくったり、今ある回路を強くしたりするためです。
ところが、工夫のない同じ練習ばかり続けていると、脳はその動作に慣れてしまうのです。
「あ、またこの動きね。じゃあ、頑張らなくていいな」と、脳がサボり始めます。つまり、「脳への多様な刺激」が不足している状態です。
だからこそ、お子さんの脳に「お、今日はちょっと違うぞ!」とか「この状況ではどうすればいいんだ?」と感じさせることが重要なのです。

量より新しさ
量だけに目を向けるのではなく、常に新しい課題に挑戦させることが大切です。
どんな意識で体を動かすか。どのように体を動かすか。そして、そこから何を感じ取れたか?
このような「変化のある質の高い練習」を取り入れることが、野球の上達にはものすごく大切なのです。
もしも今、「うちの子、練習は頑張っているのに伸び悩んでいる…」
そう感じているとしたら、それは脳が違う刺激を求めているサインかもしれません。練習方法を変えることで、お子さんの脳が再び活発に働き出す可能性があります。
それが、今の壁を乗り越えるきっかけになるはずです。
なお、脳科学を活かした野球上達のアプローチについて「科学的野球指導!小中学生は「脳」を鍛えて、野球センスを劇的に伸ばすべし」でも詳しく解説しています。
野球脳に複数の刺激が必要な理由
なぜ同じ練習の繰り返しでは限界があるのか?
それは、野球は1球ごとに状況が変わるスポーツだからです。全く同じ状況が繰り返されることは、まずありません。
打席では、ボールのスピードや軌道、変化量など、全く同じボールが続くことはないです。守備についていてもそうですね。
だからこそ、お子さんの脳にも毎回違う刺激を与える必要があるわけです。
これを専門的には、「オープンスキル」と言います。簡単に言うと、周りの状況や環境が常に変わる中で行う運動のことです。
バッターにとっての「周りの状況」とは、ピッチャーが投げるボールです。
ピッチャーが投げる球は、ストレートだけではありません。カーブやスライダーなど、いろんな種類のボールを投げてきます。しかも、球速も違えば高低も違います。内角外角のどこに来るかも毎回変わります。
つまりバッターは、一球ごとに瞬時に判断して、タイミングを合わせて打つ必要があるのです。
ということは、ただ同じ動きを繰り返すだけの素振りでは、対応できない可能性が高いと言えるわけですね。
でも、誤解しないでください!
ここで言いたいのは、『単純な同じ動きの繰り返し』が問題だということです。むしろ、やり方次第で素振りは素晴らしい練習になります。
素振りについて、プロ野球界で名伯楽として知られる内田順三さんは、著書の中でこう言っています。
素振りというのはいい練習になる。(中略)ボールを使わない。ボールに合わせる必要がないので好きなスイングができる。(中略)心を落ち着けて自分のスイングを取り戻せる。課題に取り組める
「内田順三著、二流が一流を育てる ダメと言わないコーチング」
このように、お子さんの素振りも、スイングごとに意識を変えながら行えば、とても良い練習になるのです。
なお、バッティング力を伸ばす素振りの仕方については、「バッティングフォームを劇的に改善する正しい素振りのチエック法」で解説をしましたので、確認してみてください。

試合になると打てない根本原因
練習と試合では、脳の働き方が根本的に違います。
これが、「練習では打てるのに、試合では打てない…」というお悩みの原因です。
練習と試合では、違いがたくさんあります。その最大の違いは、試合では予測が難しいことです。
ピッチャーは毎回違う球種、違うコース、違うスピードの球を投げ込んできます。打席ごとに状況も変わりますよね。これに対応するために、お子さんの脳はフル回転します。
ピッチャーの動きから球種を読んだり、飛んでくるボールの軌道や速度を瞬時に判断します。たくさんの認知機能が、体の動きと連動して働くのです。
それだけでも、お子さんの脳は精一杯ですが、試合本番ではプレッシャーがかかります。このとき、緊張や不安を感じさせ「失敗したくない」という気持ちが強くなります。
この心の状態が、脳の情報処理を邪魔することがあるのです。
具体的に何が起こるのでしょうか?
練習で無意識にできていたスムーズな動きでも、試合になるとぎこちなくなったりします。これが俗にいう「本番に弱い」という状態です。
単調な反復練習は、脳を「予測可能で変化のない状況」に慣らしてしまいます。これでは、さまざまな状況に対応できる「柔軟な脳の回路」を十分に育てることが困難だと言えます。
実際、プレッシャーに強い人は、脳の思考と運動に関わる部分の連携がうまく機能しているという研究報告があります。しかし、単調な練習だけでは、この連携が育ちにくいと考えられます。
だからこそ、試合と同じような複雑な状況に慣れる練習が必要です。変化のある練習が、効率的に上達し試合で力を発揮するために非常に重要になるのです。

高校球児11名の実験で見えたこと
変化のあるバッティング練習は、本当に効果があるのでしょうか?
実は、高校球児11名を対象にした、バッティングに関する興味深い研究があります。
この研究では、11名を二つのグループに分けて練習方法を変えました。
Aグループ:固定練習
ティーの高さを自分で決めて固定してバッティング。インコース10球、真ん中10球、アウトコース10球という具合に、合計30球のバッティング。
Bグループ:ランダム練習
ティーの高さと打つコースを毎回ランダムに変更。同じく合計30球のバッティング。
この練習は、どちらも週2回、4週間続けました。
4週間後の、「バットの芯でとらえた打球の割合」と「狙った方向に打ち返す正確さ」の変化を比較したのです。
結果は、驚くべきものでした。
バットの芯でとらえた打球の割合は、練習前はどちらのグループも63%台でした。ところが、ランダムに練習したグループだけが、71.4%とはっきり向上したのです。

狙った方向に打ち返す正確さについては、ランダムに練習したグループの向上率は11.7%でした。それに対し、固定して練習したグループはわずか0.9%にとどまりました。

この研究結果から、同じ動きを繰り返すバッティング練習よりも、毎回違う状況に対応する練習の方が効果的だと言えますね。
お子さんが、自宅で素振りやティースタンドを使った練習をするときは、一球ごとに状況を変えてみてください。
このような工夫で、お子さんの野球脳への刺激は大きく変わります。
科学的根拠のある練習をすることで、お子さんの可能性はまだまだ大きく広がるはずです。
今回のまとめ
単調な練習は脳を慣れさせ、成長を妨げる恐れがあります。
野球は、一球ごとに変化があるため、脳にも多様な刺激が必要です。
練習でも毎回違う刺激を与え、試合に強い脳を育てましょう。
練習の「質」は、工夫次第で大きく変わります。ランダムな練習でお子さんの可能性を広げてください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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