【大谷翔平の野球ノートに学ぶ】野球が伸びる子の共通点 _ 親が無意識にしている間違い

【大谷翔平の野球ノートに学ぶ】野球が伸びる子の共通点 _ 親が無意識にしている間違い

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

お子さんの野球、「今よりもっと上手にするには、どうしたらいいんだろう?」そうお考えですか?

そうだとすると、「もっと細かく具体的に教えないと」と思うかもしれませんね。

でも、この「教える」という行為が、お子さんの野球の上達を遅らせる可能性があるとしたら…

気になりませんか?

もちろん、子どもに教えることは必要です。でも、その教え方によっては、「自分では考えない子」「指示がないと動けない子」になってしまう可能性もあるのです。

一方で、「自ら考え行動できる子」に育てることもできます。

さて、その違いは何だと思いますか?

そこで今回は、次の3つを具体的に解説します。

  • 子どもの「考える力」を育てる親の関わり方
  • お子さんの「内発的やる気」に火をつけるコツ
  • 野球ノートに書くべき3つのこと

特に野球ノートに関しては、大谷翔平選手が小学生の時に書いていた3つのことを紹介します。

私の、これまでの35年あまりの研究と指導実績から導き出した上達のヒントも盛りだくさんです。

ぜひ最後までお付き合いください。

教えすぎないことが成長のカギ!

子どもの能力を伸ばす上で、コーチングとティーチングの違いがよく指摘されますね。

私たち大人は、これまでにたくさんの経験をしてきたので、答えをたくさん持っています。ですから、お子さんが何かの答えが出せないと、ついつい「答え」を与えたくなりますよね。

それは、野球の技術習得に限らずです。

私自身も我が子を見ていると、「こうすれば正解なんだけど」と日常的に思ってしまいます。あなたはどうですか?

ただ、ここで答えを与えてしまうか、グッと我慢して子ども自身に答えを考えさせるか…

これが、この先の成長を大きく変える要因です。

ここからは、お子さんが「自主的に伸びる」ための実践的なポイントをわかりやすく説明していきます。

教えすぎが子どもの上達を妨げる理由とは?

多くの子どもは、自分で考えて答えを出すことに慣れていません。

大人は、その答えを持っていることがほとんどです。そのため、じれったくて、子どもが答えを出すまで待てないことが多いですよね。

その気持ち、本当によくわかります。でも、そこはじっとこらえたいところです。

誰しも親として、子どもを正しく導きたいものです。ですから、無意識のうちに、つい答えを与えてしまうことがありますね。でも、それでは子どもが「自主的に考え行動する機会」を奪ってしまうのです。

子どもの生活は、未経験の連続です。バッティングなど、野球のスキル習得についてもそうですね。日々変化する心身の成長の中で、挑戦を繰り返しています。

では、子どもにすぐに答えを与える習慣があると、どうなるでしょうか?

子どもの脳は、「自分で考えなくても教えてもらえるからいいや」と学習してしまいます。

これは、アスリートの脳機能に関する最近の研究でも示唆されていることなのです。

細かく動きを指示され、一方的に「こう動け」と教えられるだけでは、自分で感じ、判断して調整する力が育ちにくいのです。

さらに、注意したいことがあります!

上達につながる自己肯定感の育て方

仮に、指導者や親から言われた通りにやって、その時はうまくいったとしても、野球の上達に直結しないこともあるのです。

それは、「自分の力で解決した」という実感につながりにくいためです。つまり、自己肯定感」が育ちにくくなってしまうのです。

しかし、自分で考えるチャンスが多くなると、試行錯誤する機会が増えます。これは、「どうすればできるだろう?」と自己判断する力を育てることになります。

同時に、「よし、自分でやってみよう!」という挑戦意欲も育ちやすくなるのです。

ここでワンポイントアドバイスです!

実は、自己肯定感に関する研究でわかったことがあります。それは、結果や成功体験ばかりを強調して「すごいね!」「上手いね!」と褒めるだけでは、かえって危険だと言うのです。

子どもが自分自身の力で考え、困難を乗り越えた経験や、挑戦したプロセスそのものを認めることが大切です。その結果に関わらずです。

たとえば、「今日の試合、結果は残念だったけど、最後まで諦めなかったね。その粘りは本当にすごいと思うよ!」というように伝えましょう。

すると、本当の意味での自己肯定感を育むことにつながるのです。

伸びる子には自分で考える習慣がある

子ども自身に考えさせる。実はこれ、親として忍耐が必要ですね。

子どもは、数秒で答えを出せることがあるかもしれませんが、何十分も時間が必要なこともあります。

では、どうすれば子どもが本来持っている「野球の能力」を引き出すことができるのでしょうか?

たとえば、練習や試合でうまくいかなかった時、すぐに「ここがダメだよ」と間違いを指摘してしまいがちです。でも、グッとこらえて少し間を置いてみましょう。

そして、どうしたらもっとよくなると思う?」のように質問し、子ども自身に考えさせることを習慣にしていきましょう

最初はうまく答えられなくても大丈夫です。自分で考えようとすることで、脳は活性化し、解決策を見つけ出す力が育まれます。

また、「結果」ではなく「行動やプロセス」に焦点を当てて褒めることで、子どもは勇気を得られます。すると、失敗を恐れずに次の挑戦へ向かうことができます。

野球は、単に技術を覚えるだけでは上達しません。自分で考え、判断し、調整する。この脳の機能の発達が欠かせないのです。

さらに、お子さんの「野球でこうなりたい」という内発的な気持ちを育てることが重要なポイントです。

そのためには、「教える」から「引き出す」関わりにシフトしていくことが大切です。それができれば、子どもたちの可能性はグンと広がるのです。

ちなみに、自分で考えて答えを出すという点で、「野球で成功する選手がやっている体力測定&トレーニング戦略」も参考になると思います。

練習後5分!振り返りで成長サイクルを回す

練習後のたった5分で、お子さんの野球の上達スピードが大きく変わります。

おそらく、ほとんどの子どもが「野球ノート」をつくっていると思います。でも、自主的に野球ノートをつくって、日々の振り返りをしている子どもとなると、どうでしょう? かなり減ってしまうのではないかと思います。

あなたのお子さんは、どうですか?

実は、最近の研究でわかったことがあります。

野球は失敗の多いスポーツですね。そのため、「どんな風に自分と向き合うか」というアプローチで、子どもの可能性を大きく広げられるのです。

メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手も、小学生の時から野球ノートを書いていたのは有名な話です。
「今でも覚えている」大谷翔平の「野球ノート」に父が記した3つの教え

注目したいのは、その日の振り返りをしっかりしている点です。

大谷翔平選手が実践した野球ノートの書き方

では、大谷翔平選手は、何を振り返っていたのでしょうか? それは、次の3つのポイントを順番に考えることです。

  1. 今日うまくいったこと
  2. 今日難しかったことや課題だと感じたこと
  3. 次の練習で意識して取り組むこと

練習が終わった後は、ちょっと疲れているかもしれませんね。でも、この3つを書く時間は5分程度あれば十分です。

ここで今日の練習を振り返ることで、学んだことを定着させやすくなり、次に活かす力が高まります。

まず、「うまくいったこと」に目を向けるのは、お子さん自身が「できた!」と感じる有能感を育むために、とても大切です。

この「できた!」という感覚は、お子さんが「もっとやりたい!」という内発的なやる気を引き出す燃料になります。

「難しかったこと」や「課題」については、つい目を背けたくなりますね。でも、これらにしっかり向き合うことが、心の成長には欠かせないのです。

ここであえて「難しかったこと」を言葉にすることで、お子さん自身が課題を明確に認識できるようになります

そして最後に「次にやってみること」を決めましょう。

じゃあ、明日はこれを意識してみよう!」と、お子さん自身の「こうなりたい」という自発性を育む重要なポイントです。

また、次に意識するポイントを具体的に設定することは、闇雲にバッティングやピッチングを練習するよりも、効率的な成長につながるはずです。

ぜひお子さんと一緒に、この振り返りを対話しながらやってみてください。

ただ、その時にとても大切な3つのポイントがあります!

振り返りの質を高める親の3つの関わり方

それは…

  • 評価しない
  • じっくり待つ
  • 受け止めて認める

という親の態度です。

たった5分間のこの振り返りが、お子さんの「伸びしろ」を最大限に引き出します。

なお、練習後の効果的なフィードバックについては、「【練習は質が9割】驚くほど上達!親子で始める「意図的な練習」3つの極意」も参考にしてください。

今回のまとめ

お子さんの野球の上達には、時に忍耐が必要です。

すぐに答えを与えるのではなく、自分で考える機会をつくることが成長のカギになります。

結果よりも努力や挑戦のプロセスを認めることで、お子さんの自己肯定感が育ちます。

練習後の「5分間の振り返り」が、内発的なやる気と継続的な上達を後押しします。

お子さんの「自分で伸びる力」を大切にしてサポートしていきましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

柏野牧夫2019アスリートの脳機能を解明し鍛える,人工知能,34,4,525–530,2019,一般社団法人 人工知能学会

JAPAN SOCIETY OF ENGLISH LANGUAGE EDUCATION
Trends and Current Issues in English Language Education in Japan: Integrating eory and Practice

2017運動イメージと運動パフォーマンス,
水口暢章 and 彼末一之、計測と制御、56、8、568–572、2017
公益社団法人 計測自動制御学会

「今でも覚えている」大谷翔平の「野球ノート」に父が記した3つの教え、扶桑社

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