動体視力トレーニングをして、大谷翔平選手を目指そう

今回お伝えする内容です

大谷翔平選手が行っている動体視力トレーニングとは

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

野球界を代表するスーパースター大谷翔平選手が、動体視力トレーニングを取り入れていると注目を集めています。

それで、私は先日、大谷翔平選手が行っている、動体視力トレーニングについて、雑誌の取材を受けました。

具体的には、野球と動体視力の関係、現在のメジャーリーガーの動体視力トレーニングの現状などです

おそらく、あなたも興味があるテーマだと思い、今回、詳しくお伝えすることにしました。

大谷翔平選手は、今期メジャーでホームラン王のタイトルを、日本人で初めて獲得しましたね。

ですから、言うまでもなく動体視力が優れているのは間違いありません。

ただ、大谷翔平選手が今回行っている動体視力トレーニングは、あくまでも、手術後のリハビリ期間を有効に使うために行っているそうです。

ちなみに、大谷翔平選手の内側側副靱帯損傷については、以前に詳しく解説しました。ご興味のある方は、そちらも併せてご覧ください

いずれにしても、少しでも時間を無駄にせず、自分を高めるために有効なものを取り入れようという姿勢が、超一流の証ですね。
本当に素晴らしいと思います。

野球のパフォーマンスを高める能力アップ

野球選手にとって「見る力」は重要ですね

視力は、大きく静止視力動体視力に分けられます。

静止しているものを見分ける能力が、静止視力です。
小中学生の場合、学校の視力検査で静止視力を測定していると思います。

そして今回のテーマである動体視力とは、動いているものを見分ける能力のことです。

野球の上達のためには、静止視力と動体視力のどちらも必要です。
専門的には、「視覚能力」と言いますが、見る力の向上は、野球のパフォーマンスの向上にも関連します。

ただし、野球のパフォーマンスアップには、動体視力のほかにも備えたい能力がいくつもあります。

バッティングの場合は、まず動いているボールを動体視力でしっかり捉える必要がありますね。
そして、投球されたボールをしっかり目で追って、バットを振り出すときには、タイミングよく反応する能力が必要です。

それは、バッティングに限らず、守備面でも同じことが言えますね。

そのため動体視力トレーニングだけを行っても、野球のパフォーマンスが向上することはありません
仮に、素晴らしい動体視力を持つ選手でも、反応能力が低ければタイミングを取ることが難しいですよね。
そして、筋力が弱ければ、力強くバットを振ることもできません。

ですから、野球の総合的なパフォーマンスアップには、何度もお伝えしているように、運動能力をまず高める必要があります
そして、栄養管理、スポーツ心理学など、複数の分野に渡る適切なサポートが必要となります。

この大前提を踏まえて、野球と動体視力との関係などを解説していきます

アメリカでは動体視力を含めて、アスリートに提供される様々なビジョンケアサービスを「スポーツビジョン」といいます。

具体的には、以下の項目がスポーツビジョンとして考えられています。

しかし、それらアメリカで行われている「スポーツビジョン」については、日本では聞いたことがない項目が多いと思いますので、簡単に解説します。

スポーツによる目の傷害の予防と管理

スポーツのプレーによって生じる目のケガのことを、専門的には「スポーツ眼外傷」と言います。
アメリカでは、スポーツ眼外傷について、統計学的な研究を大規模に行っています。

それにより、スポーツ眼外傷を予防し、減少させる専門的な取組みを継続して行っています。

競技に悪影響を及ぼす可能性のある、視機能の非効率性の評価と改善

少し難しい表現になりましたが、わかりやすく説明したいと思います。

たとえば、野球に必要な「視力」、見る力の評価には、健康な眼球かどうかなど、医学的な検査と評価が必要です。

それは、学校で行うような普通の視力検査だけでは分からないこともあります
そのため、眼科専門医に診断と評価をしてもらい、問題があれば適切な改善を行っています。

スポーツにおける専門的なコンタクトレンズサービス・アイウェアサービス

視力が悪い場合でも、適切に矯正をすれば野球のパフォーマンスには問題はありません
最近は、視力の矯正と目の保護のための技術が大きく進化しています。

野球選手の適切な矯正方法として、メガネやコンタクトレンズ、屈折矯正手術などがあります。
それらの中から、専門的で合理的な選択肢が提供されています。

スポーツに関連する視覚能力の評価

スポーツをする時には、目の動きや見え方が大切です。

たとえば、ボールをしっかり見る力や、目を動かす速さ近くや遠くをはっきり見る力などが必要です。
また、左右の目がうまく連携することも大切です。

これらの目の動きや見え方をきちんと調べることで、野球のパフォーマンスが適切に評価されています。

特定の競技において必要と考えられる、視覚能力の強化トレーニング

アメリカでさえ、野球に必要な目の動きをトレーニングできるかどうか、わかっていません。
そして、見る力が向上することで、野球が上手くなるかも、はっきりわかっていません。

つまり、確かなエビデンスがほとんどありません

でも、見る力をトレーニングすることで、野球が上手くなる可能性があることに、みんながとても関心を持っています。
ですから、それらの研究がもっと進められることが期待されています。

スポーツパフォーマンスに関連する視覚的要因と戦略に関するコンサルティング

お話をしたように、野球のパフォーマンスを高めるために、目の動きや反応の速さなど、目に関する力を測定することが大切です。

また、野球の守備を例にすると、打球判断をするときに、「奥行き」をとらえる能力も必要になります。
それらの測定結果によって、どの目の力をどう鍛えればいいのかがわかってきます。

見る力を計画的に強化することで、野球のパフォーマンス向上につながるようにサポートが受けられます

このように、スポーツビジョンの全ての分野に、大きな成長の可能性があります。

でも、大切な課題もいくつかあります。
たとえば、見る力を測定する時は、実際の試合と同じような条件で評価することが求められます。
測定が正確でなければ、訓練の効果が本当にあるのかわかりません。

ですから、スポーツビジョンは、これからも科学的な測定方法を研究して、正しく効果を評価することが大切なのです。

アメリカでは、眼科医が中心となって、この課題に取り組んでいます。

こうしたアメリカのスポーツビジョンの歴史を、簡単に解説しておきます

スポーツビジョンの歴史は、1978年にスタートしました。
アメリカ眼科医会(AOA:American Optometric Association)のスポーツビジョン部門が設立されたのが始まりです。

これにより実務家による研究や教育の場ができました。
そして、研究の結果をスポーツビジョンガイドブックなどの情報として、会員へ提供するようになりました。

また、米国オリンピック委員会をはじめ、他組織とのコミュニケーションも積極的に行っていました。

2016年からスポーツビジョン部門は、スポーツ&パフォーマンスビジョン委員会として継続的に活動が行われています。

アメリカ以外でも、スポーツビジョン専門組織が設立されています

1987年にはカナダで、1989年にはイタリア、1992年にはオーストラリアでも専門組織が設立されました。
さらに、イギリスでも1993年にスポーツビジョンの専門組織がつくられました。

これらの組織は、それぞれの地域でAOAスポーツビジョン部門と同様の機能を果たしています。
そして、世界的にスポーツビジョンの発展に貢献しています。

野球とスポーツビジョンに関する研究

野球とスポーツビジョンに関する研究は、アメリカで1980年代から行われてきました。
1980年代には、スポーツのパフォーマンス向上のための、視覚能力のトレーニングや、その基礎について検討されている文献が目立ちます。

また、視覚トレーニングが、運動能力の向上であったり、スポーツパフォーマンスの向上につながると考えられ研究が行われました。
しかし、まだ研究の実験デザインが不十分でした。

2010年代になると、野球のパフォーマンスとビジョントレーニングの研究報告が、アメリカで多くみられるようになります。

たとえば、アメリカの大学野球の研究で、ビジョントレーニングは、野球のバッティングを向上させることができるという報告があります。
そのトレーニングは、昔からある方法論と、新しいコンピューターを使った訓練を組み合わせたものです。

また、ある研究では、野球選手は左右に目を動かす速さがとても速いことがわかりました。
この速い目の動きは、普段の野球の練習を通して鍛えられたものだと考えられます。
バッティングでは、水平方向に目を動かしてボールを追っていますね。
その練習の繰り返しによって、目の動きも速くなるのです。

野球選手が、水平方向の目の動きが優れているというのは、何となくイメージできますか?

アメリカでは、スポーツ眼外傷を減少させることも、スポーツビジョンの分野として考えられています

2016年にアメリカで、スポーツ眼外傷の大規模な疫学調査の結果が報告されています。
目的は、アメリカにおけるスポーツ関連眼外傷の救急部負担を調査することでした。

この調査は、「後ろ向きコホート研究」と言って、ある条件を満たした集団(コホート)に対して、診療記録などから、過去の出来事を調査する研究手法です。

2010年1月1日から2013年12月31日の期間に行われました。
アメリカの900以上の病院から、年間3000万件の救急部受診データを調査し、スポーツ関連眼外傷に関連する因子を明らかにしました。

その結果、アメリカでは年間約3万人がスポーツ関連の眼外傷で救急外来を受診しています。
そして、スポーツ関連の眼外傷の中で、野球またはソフトボールは、14.3%でした

2020年代に入ると野球やソフトボールの「デジタルビジョントレーニング」の報告がみられるようになります。

それらのデジタルビジョントレーニングは、データサイエンスに応用できる可能性を秘めています。

たとえば、ある研究報告では、新しく開発された、デジタルビジョントレーニングプログラムの有効性を裏付けるエビデンスを検証しています。

実験的トレーニング群とプラセボ群との間に、有意な改善差は認められませんでしたが、立体視、コントラスト感度、奥行き知覚は、臨床的な妥当性を最低限達成しています。

そして、近年の急速なDX化(デジタルトランスフォーメーション)に伴い、膨大なデジタルデータの分析や解析が可能になりました。
その結果から、エビデンスのある有益な情報が、アメリカではスポーツ現場にフィードバックされています。

すでにアメリカでは、数万人のトップアスリートの測定データがあり、そのベースラインができています
そのベースラインは、様々な競技別にあります。
そして、個人別にフィードバックが可能になっています。
こうしたシステムを、メジャーリーグの複数の球団も取り入れています。

アメリカでは、この40年間で専門家によるスポーツビジョンサービスの提供が増加しています。
特に北米のプロスポーツや多くの大学の運動部でサービスの利用者が増えています。

チームには、眼の専門家が一般的なスタッフ構成に含まれています。
そして、専門家によって、次のようなサポートが行われています。

・視力検査プログラム
・コンタクトレンズによる視力矯正
・眼の保護に関する相談
・眼のケガの管理
・視覚能力向上トレーニングプログラム

以上、お話したように、こうしたエビデンスに基づくスポーツビジョンケアは、人間の可能性を高めることに貢献できるでしょう。

最後に、日本のスポーツビジョンについて

日本におけるスポーツビジョンケアの最先端としては、スポーツ眼科が設置されている大学病院があります。
そこでは、眼科医による医学的なスポーツビジョンケアと、スポーツビジョン研究が行われています。

また体育、スポーツ系の大学で、私のようにスポーツと視覚に関する研究を行っている研究者や教育者もいます。

日本にも、真摯にスポーツビジョンに向き合っている医師、研究者、教育者などの専門家がいます。
これから、ますます日本のトップアスリートのスポーツビジョンに関する医科学的なエビデンスが構築されていきます。

そして、多くのスポーツ現場にフィードバックされていくことでしょう。


いかがでしょうか?

スポーツ医学、スポーツ科学、そして今回お話をしたスポーツビジョンは、日々進化しています。
そして、日本のスポーツビジョンについても、近い将来AOAスポーツビジョン部門をはじめ、世界の組織と連携できる日が来ることを願っています。

さらには、それほど遠くない未来に、自宅でも簡単にスポーツビジョントレーニングができるように、我々も研究を続けていきます。

参考文献:

Sporta Vision Vision Care for the Enhancement of Sports Performance SECOND EDITION.(Graham B.Erickson)

Vision and sports:a review of the literrature( Stine CD, Arterburn MR, Stern NS.)

High-performance vision training improves batting statistics for University of Cincinnati baseball players( Clark JF, Ellis JK, Bench J, Khoury J, Graman P.)

Dynamic Visual acuity in baseball players is due to superior tracking abilities( Uchida Y, Kudoh D, Higuchi T, Honda M, Kanosue K.)

Epidemiology of Sports-Related Eye Injuries in the United States. ( Haring RS, Sheffield ID, Canner JK, Schneider EB.)

Efficacy of a Digital Sports Vision Training Program for Improving Visual Abilities in Collegiate Baseball and Softball Athletes. (Shekar SU, Erickson GB, Horn F, Hayes JR, Cooper S.)

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