【誰も教えてくれない】スイングを速くしても打てない!?小中学生のバッティングを変える脳科学の答え

【誰も教えてくれない】スイングを速くしても打てない!?小中学生のバッティングを変える脳科学の答え

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「試合になると空振りや振り遅れが目立つ…」 
「速いボールについていけない」

そんなお子さんを見て「もっと速く振りなさい!」と、つい口にしていませんか?

実は、お子さんが打てない最大の原因は、スイングの遅さではないんです。”ボールが来てから反応”している。これが本当の原因です。

人間の反応速度には限界があります。ボールを見てから動いたのでは、物理的に間に合いません。これは、科学的に証明されているんです。

では、どうしたらいいんでしょうか?

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

選手がプレー中に処理する情報の80%以上は、視覚から得ています。これが、スポーツ科学の定説です。

つまり、打撃は”目”の使い方に大きく左右されるんです。

そこで今回は、脳科学に基づいた「見る力」の重要性をわかりやすく解説します。お伝えする内容は、私の35年以上の研究と指導現場で実証した、科学的根拠のある事実です。

ご家庭でも実践できる、具体的なトレーニングのヒントもお伝えします。

ぜひ、最後までお付き合いください。

なぜ「速く振れ」では打てないのか?

多くの指導者や保護者が、「振り遅れているから、もっと速く振れ」とアドバイスします。

しかし、これは問題の根本的な解決にはなりません。

野球のバッティングは、一瞬で結果が決まります。

おそらく、ほとんどの方が「目で見てから脳が判断し体を動かす」と思っているはずです。でも、その“反応のプロセス”では、どうしてもコンマ数秒の遅れが出てしまいます。

時速120kmのボールを例にします。ボールが投手の手を離れてからキャッチャーミットに届くまで、わずか0.5秒。その間に脳が「知覚→意思決定→実行」のプロセスを完了させるのは至難の業です。

実は、バッティングのプロセスには、これまでに知られていない秘密があります。

コンマ1秒でこれだけ違う

時速120キロのボールの場合、コンマ1秒の遅れはボール約3.3mの距離に相当します。

これは、バットの芯でとらえるか、空振りするかの決定的な差になります。

人間の脳の情報処理は、「知覚→意思決定→実行」と進みます。

  1. 知覚
    目でボールの軌道や速さといった情報を捉える
  2. 意思決定
    スイングするか見送るか、どう打つかを判断する
  3. 実行
    脳が筋肉に指令を出しスイングする

打撃がうまくいかないお子さんの多くは、最初の”知覚”の段階でつまずいている可能性が高いんです。ボールが来てから知覚していては、その後の意思決定と実行が間に合いません。

では、一流選手は何が違うのでしょうか? 

一流の選手は、初心者よりも優れた「知覚認知スキル」を持っています。特に優れているのが予測能力」と「意思決定能力。これは、Chen(チェン)らの研究(2021年)など、複数の研究者によって科学的に証明されています。

一流選手は、投手がボールをリリースする前の、フォームのわずかな特徴を見逃しません。そして、ボールの回転といった手がかりから、瞬時にボールのコースや球種を予測しています。

ズバリ、お子さんに本当に必要なのは、ボールの行方を読む”予測能力”なんです。
ちなみに、脳が一瞬で判断する仕組みは【最新事実】打てない・守れないなら必見!「見て一瞬で反応する脳」で野球を変える科学的秘密とは?で解説しています。

脳を科学的に鍛える!「予測能力トレーニング」の世界

「予測能力なんて、どうやって鍛えればいいの?」そう思われるかもしれませんね。 

その答えが、近年スポーツ科学の世界で注目されている「知覚認知トレーニング」です。一般的には、スポーツビジョントレーニングと呼ばれています

これは、脳の見る力や判断する力を直接鍛えるための専門的なアプローチです。

その中でも、注目されているトレーニング法の一つに、「ストロボスコピック・トレーニング」があります。2025年11月に発表された最新の研究で、その効果が改めて証明されました。

これは、点滅する特殊なゴーグルをかけて練習する方法で、 視界が断続的に遮断されます。すると、ボールの軌道、スピード、そして到達点を、限られた視覚情報から推測せざるを得ない状況に置かれます。

このとき、脳は見えない間の情報を補おうと必死に働きます。このプロセスを繰り返すことで、脳は自然と予測する能力を鍛え上げるわけです。

このトレーニングの効果は、科学的にも裏付けられています。 ただ、日本ではまだ普及していません。

今後も情報を追って、最新の動向がわかり次第お伝えしたいと思います。

なお、打撃で“脳が何を処理しているか”と、視覚トレーニングについては、【打撃新時代】バッティングは”脳”が9割!ミート力を覚醒させる視覚トレーニング実践法を参考にしてください。

家庭で実践!予測能力を伸ばす3つのヒント

「専門的なトレーニングは難しそう…」と感じるかもしれません。

実は、工夫次第でトレーニングはいくつもつくれます。今回は、その中から3つのヒントをお伝えします。

ご家庭でも応用できるシンプルな方法です。

ヒント1:トレーニングは「時間」がカギ
脳の神経回路を変化させるには、適切な期間と頻度が必要です。やみくもに長時間やっても効果は薄いことがわかっています。

継続することが何よりも重要です。 

2025年のストロボスコピック・トレーニングに関するメタ分析研究で、効果が高まる目安が次のように示されました。

期間:6週間から10週間
頻度:週に2〜3回
時間:1回あたり10分から20分

ちなみに、別の研究では、1回あたりの時間が5〜10分だと、効果が薄いことが示されています。また、4週間以上のトレーニングで、効果が劇的に高まるというデータもあります。

短期間で諦めず、コツコツと続けることが、脳を成長させるための最大の秘訣なんです。

ヒント2:練習をより”試合”に近づける工夫
トレーニングの効果を最大限に引き出す秘訣は、いかに「試合の状況に近づけるかです。

ただ目で見るだけでなく、実際のプレーに近い動きを伴うことで、脳は学んだことを実践的なスキルとして定着させます。

ある研究では、実際の動きを伴う練習は、そうでない練習の2倍以上の効果があると報告されています。これは、脳の「知覚→意思決定→実行」のサイクル全体を鍛えるためだと考えられます。

たとえば、ティーバッティングを考えてみましょう。

お父さんやお母さんがスマートフォンの画面で投手が投げる瞬間の映像を流す。お子さんは、そのタイミングに合わせてスイングする。

もっとシンプルに、お父さんやお母さんがピッチャーの真似をする。その動きにタイミングを合わせるという練習も同様の効果が期待できます。

重要なのは、視覚的な「きっかけ」に身体を連動させることです。

ヒント3:結果を焦らず、脳の成長を信じる
このトレーニングの真の目的は、「脳の神経回路を強化すること」です。

しかし、神経回路の成長には時間が必要です。ですから、お子さんがすぐに結果を出せなくても、決して諦めないでください。

仮に、上達が遅いと感じても、「なんでできないんだ!」というような言葉は避けましょう。それでは、お子さんの挑戦する意欲を削いでしまいます。

トレーニングをしているお子さんの脳は、新しい情報処理の方法を必死に学んでいます。目先の試合の結果ではなく、長期的なプロセスを見るようにしましょう。

また、“試合に強い脳”を作る練習の組み立て方は、【試合で打てない原因】芯でミートする確率が63%→71%にUPした練習法!4週間で変わった高校球児実例の事例解説もあわせて確認してみてください。

今回のまとめ

これまでの「もっと速く振れ!」といった声かけが、「もっと速く予測しろ!」と変わる日が来ます。

お子さんの脳は、効果的なトレーニングで着実に変化が起きます。それは、目に見えないところで起きていて、すぐには効果が見えないかもしれません。

お子さんの挑戦を温かく見守り、励ましてあげてください。

ビジョントレーニングについて、もっと詳しく知りたい場合は、ぜひメールでお知らせください。info@holosbc.com

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

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