【間違った野球指導】叱る前に見て!「うちの子何度言っても覚えない…」その理由、脳科学が暴きました

今回お伝えする内容です
【間違った野球指導】叱る前に見て!
「うちの子何度言っても覚えない…」
その理由、脳科学が暴きました
「昨日、あれほど時間をかけて教えたことを、今日の練習できれいに忘れている…」
お子さんが小中学生なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?
「なんで昨日のことを忘れるんだ!」とやきもきし、時には才能を疑ってしまうこともあるかもしれません。
でも、その原因が、お子さんの才能ややる気ではないとしたら?
科学的な理由があるとしたら、知りたくないですか?
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
実は、最新のスポーツ科学研究では、お子さんの野球のパフォーマンスに脳の機能が深く関わっていることが明らかになっています。
練習中に学んだことを忘れてしまうのは、脳の”記憶を固定する仕組み”と深く関わっているんです。
そこで今回は、お子さんが昨日の練習を忘れてしまう秘密を、脳科学の最新の情報をもとに解説します。
お伝えする内容は、私の35年以上の研究と指導で検証した実例です。このメカニズムを知れば、お子さんの成長を安心して見守れるようになるでしょう。
今日から実践できる具体的なアプローチもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
何度言っても忘れるのは、脳が整理中だから
「うちの子は集中力がないのかな?」
「もしかして、真剣に話を聞いていないんじゃないか…」
そんな風に感じて、つい強い口調で叱ってしまう。そんなことはありませんか?
そんなときは、自分に自己嫌悪を感じるかもしれませんね。
でも、安心してください!
お子さんが“何度言っても覚えない”のは、脳が記憶を整理している真っ最中だからなんです。
どういうことか?
その科学的根拠を、これからひも解いていきましょう。
子どもの脳で起きている2つの真実
お子さんが覚えたはずなのに、すぐ忘れてしまうというストレス。
それは、お子さんの脳内で起きていることがわかれば解消できます!
では、その2つの「なるほど!」をご紹介します。
①:脳の“作業メモ帳”が大人より小さい
お子さんの脳で思考や判断を司る「前頭前野(ぜんとうぜんや)」は、まだ発達の真っ最中です。
この部分は、情報を一時的に書き留めておく脳の“メモ帳”。つまりワーキングメモリとして機能します。
パソコンのメモリのようなものですが、その容量は大人に比べずっと小さいんです。そのため、新しい情報や複雑な指示を同時に処理しようとすると、この脳の”メモ帳”に負荷がかかってしまいます。
結果として、覚えたばかりの動きをすぐに忘れてしまうのは、脳の構造的な特性が原因なんです。

②:「意識して動く」から「無意識に動ける」への長い道のり
バッティングやピッチングのような複雑な運動スキルは、一朝一夕には身につきません。
スキルの習得には、大きく分けて2つの段階があります。
- 意識して考える段階(初期学習)
頭で一つ一つの動きを言葉にして考えながら、「ヒジはこう、足はこう…」と意識して体を動かす段階。
脳の司令塔である前頭前野が中心となって、フル回転で働いています。 - 無意識に動く段階(自動化)
反復練習によって初期学習が進んだ後の段階。動きが体に染みつき、何も考えなくても自然に体が動くようになる。
脳の「司令塔」への依存度が下がり、動作の負荷が軽くなります。
ただ、この「意識」から「無意識」への移行には、膨大な量の反復練習が必要なんです。
そして、自動化への道のりには、重要なポイントが潜んでいます。
なお、“脳の処理”から見た打撃の仕組みを【打撃新時代】バッティングは”脳”が9割!ミート力を覚醒させる視覚トレーニング実践法で解説しています。

自動化への重要ポイント
お子さんが野球の動きを効率よく自動化するには、どうしたらいいでしょうか?
あなたのストレスを軽減するためにも、こう考えてみてください。
お子さんは「何度言っても忘れる」のではなく、「何度も思い出す練習をしている」最中。だからこそ、あなたの”適切な指摘”が必要なんです。
その都度、「昨日練習したこと忘れてるよ」などと声かけをしてください。
実は、これは単なる“注意”ではありません。脳に記憶を思い出させる非常に重要な役割を果たしているんです。
あなたが忘れていることを指摘すると、お子さんの脳は「現状に問題がある」と認識します。すると脳は、記憶を定着させる準備をはじめます。
この繰り返しこそが、スキルを無意識のレベルまで定着させるために不可欠なプロセスなんです。
ただ、意識して考える段階には集中力がたくさん必要。お子さんの脳には、覚えるために大きな負荷がかかります。精神的な負担を感じることもあります。
そのとき、強く叱ってしまうとどうなるか?
お子さんのストレスが過剰になると、逆効果の可能性が高くなります。それは、前頭前野がシャットダウンし、明確な思考や意思決定ができなくなる可能性があるからです。
では、具体的にどのようなサポートをしたらいいのでしょうか?
ちなみに、練習は意図的に行うことが重要です。それを【練習は質が9割】驚くほど上達!親子で始める「意図的な練習」3つの極意で解説しています。

すぐ実践できる、脳科学に基づいた3つのアプローチ
ここまでの話で、お子さんの見方が少し変わりましたか?
ここからは、その理解を具体的な行動に変えるための3つの科学的アプローチをご紹介します。
アプローチ①:声かけは”一度にひとつ”に絞る
自動化のためには、お子さんの小さな“作業用メモ帳”をパンクさせないことが重要です。そのために、声かけは徹底してシンプルにしましょう。
悪い例:
「ヒジを上げて、腰を回して、ボールをよく見て!」
良い例:
「今日の練習は“ボールを最後まで見る”ことだけを意識しよう!」
このように、課題を一つに絞りましょう。すると、お子さんの脳はその一つに集中して取り組むことができます。
一つのことができたら、次の練習で新しい課題を与える。この積み重ねが、着実な成長に繋がります。

アプローチ②:練習後の時間をゴールデンタイムにする
スキルを高めるには、覚えたことを記憶として定着させる必要があります。
驚くかもしれませんが、動きの記憶は練習している最中ではなく、練習が終わった後に完成します。
そのために、良い睡眠をとるようにしましょう。
練習で得た情報を整理し、新しいスキルとして体に染み込ませる作業は、主に睡眠中に活発に行われます。
睡眠は、スキル練習の記憶をしっかり定着させるだけではないんです。
新しいことを覚えるとき、古い記憶が乱されるのですが、その干渉を防ぐ役割も果たしているんです。

アプローチ③:「疲れたら休む」が上達への最短ルートだと知る
「気合いだ!根性だ!」「もっと練習しないと上手くならない」。
この考えは、脳科学的に見ると間違っている可能性があります。
疲れ切った状態で練習を続けるのは、その時のパフォーマンスが下がるだけではありません。その後に学ぶスキルの習得そのものに、悪い影響を与える可能性があることがわかってきました。
この悪影響は、脳の中枢を介して引き起こされると考えられています。
疲れていては、集中力と判断力が低下します。
「もっと練習させないと」という焦りが、実はお子さんの成長を妨げているかもしれません。
勇気を持って「今日は休む」という選択をすることが、上達への一番の近道なんです。
ちなみに、長時間練習が逆効果になる科学的理由は、【最新研究が証明】野球がうまくなるはずの長時間練習は逆効果! それ知らないと危険ですで確認できます。

今回のまとめ
お子さんが同じことを何度言っても忘れてしまうのは、決して能力の問題ではありません。
それは、お子さんの脳が新しいスキルを自分のものにしようと一生懸命に働き、成長している何よりの証拠なのです。
お子さんへの根気強い声かけが、上達を早めます。
焦らず、お子さんの脳の成長を信じて、サポートしてあげてください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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