【目標設定だけじゃダメ】野球の上達に必要な新たな視点”〇〇”の重要性

今回お伝えする内容です
【目標設定だけじゃダメ】野球の上達に必要な新たな視点”〇〇”の重要性
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
今回は、お子さんの野球の才能を最大限に引き出すための、新しい評価方法をお伝えします。
「毎日、素振りやトレーニングして、目標も立てているのに…」
そんなもどかしさを感じているお父さん、お母さんは多いようです。
そこで、今回お伝えするのは次の内容です。
- 目標を立てても結果が出ない本当の理由
- 一般的な目標設定だけでは不十分なワケ
- パフォーマンスを引き上げる新しい手法
- 能力アップを実現するパフォーマンス評価
実は、多くのお父さん、お母さんが、お子さんの伸び悩みを感じています。
でも、ご安心ください。
今回の内容を最後まで確認すると、お子さんの今のコンディションを正しく把握し、パフォーマンスを向上させる方法がわかります。
それらの情報は、私の35年の研究と指導実績に加え、1000名を超えるプロ野球選手のデータ分析に基づいたものです。さらに、海外の最新情報も含めて解説していきます。
野球に打ち込む小学生、中学生のお子さんの可能性を、最大限に引き出すヒントが見つかるはずです。
ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目標立てて練習しても上達しない本当の理由
お子さんは、野球での「目標」を立てていると思います。
たとえば、「打率3割をキープする」。そのために「毎日素振りを50回する」というように決めているかもしれません。
このように、目標設定をするときには、「結果目標」と「行動目標」を考えることが多いのではないでしょうか。
さらに、「どんなことを意識して素振りをするか?」という「状態目標」を設定することもあるかもしれませんね。

きっと、お子さんは目標に向かって、一生懸命に頑張っていることでしょう。
でも、ふと気になりませんか?
このように目標を立てて練習を重ねても、なかなか結果が出ない時期がありますよね。
実は、目標を設定しても、誰もが高いモチベーションを維持して結果につなげられるわけではありません。むしろ、多くのお父さん、お母さんが、お子さんの伸び悩みを感じているのです。
なぜ、そうなってしまうのでしょうか?その理由を、これから詳しく説明します。
新しい目標設定の考え方が、お子さんの野球の上達をきっと後押しするはずです。
目標設定は野球上達のカギだけど…
野球で結果を出すために、目標設定はとても大切です。
実現可能な価値ある目標を設定し、日々行動することは、成功のセオリーと言えます。
大谷翔平選手が実践して話題になった「マンダラチャート」をご存知ですか?マンダラチャートは、9×9のマス目を使って、アイデアを整理できるツールです。
頭の中にあるものを見える形にして、「やるべきこと」を具体的な行動に変えられます。関連するアイデアをつなげながら整理できるのも魅力ですね。
マンダラチャートは81マスあるので、思いつくことを全部書き出せます。ただし、各マスは「キーワード」のような短い単語になるため、さらに具体的な行動目標が必要になってきます。

その目標をつくる時、「SMARTの法則」という便利な考え方を使ってみましょう。
- 具体的に(Specific)
例)「バッティングが上手くなりたい」ではなく「ミートポイントを意識した素振り50回」 - 測定できる(Measurable)
例)「たくさん練習する」ではなく「毎日30分」 - 達成可能な(Achievable)
例)いきなり「打率4割」ではなく、まずは「2割5分から3割へ」 - 目標に関連している(Relevant)
例)打率アップなら、「ミート力向上」に焦点を当てる - 期限を決める(Time-bound)
例)「いつか」ではなく「3ヶ月後の大会までに」
このように、具体的な数字と期限を決めることで、目標への近づき方が見えやすくなるはずです。これで、目標と行動がはっきりします。お子さんも高いモチベーションで野球に取り組めそうですね。
しかし、一見完璧に思える目標でも、「結果を出す」という視点では、まだ50点です。
では、ここにどのような視点を加える必要があるのでしょうか?
なぜ一般的な目標設定だけでは不十分なのか
結果目標と行動目標を具体的に決めても、誰もが結果を出せるわけではありません。
なぜでしょうか?
実は、多くの選手が「今の自分の状態」を客観的なデータと比べずに目標を立てています。
たとえば、小中学生の選手の体力を知るために、指導者はこんな測定をしていると思います。
- 1500m走
- 50m走
- 遠投
シャトルランやベースランニングのタイムを計ることもありますよね。
これらの測定で、お子さんの体力レベルを把握できます。ただし大切なのは、それがお子さんが目指している目標と直結した指標かどうか?
一般的には、学校の体力測定のように、すべての項目を測って今の状態を評価していると思います。確かに、1500m走のタイムを速くすれば、基礎体力の有酸素性能力は高まります。
しかし、「打率3割をキープする」という目標に直結しているでしょうか?
目標が、「打率3割をキープする」なら、それを可能にする具体的な指標が必要です。これには「素振りを毎日50回する」という行動目標だけではない視点が求められます。
前回、「成功する選手がやっている体力測定&トレーニング戦略」で「特性要因図」を紹介しました。今回は、それをより深掘りして解説します。

特性要因図は、お子さんの野球の上達に必要な要素を「見える化」する方法です。
右端の枠に「結果目標」を置き、そこに向かって太い矢印を引きます。その上下に2つずつ、計4つの枠を置いて「大項目」とします。そこから魚の骨のように矢印を引き、各項目の達成に「必要な要素」を書き出します。
この方法で「こうなりたいからこれが必要かも」という仮説を立て、結果を計測します。
体力測定は、データを目標達成に活用できる方法で行うことが大切です。そのために特性要因図を使うと、とても効率的に考えられるのです。
では次に、具体例を見ていきましょう。
特性要因図の活用事例
特性要因図は、課題を明確にするための便利なツールです。
これを使えば、あなたのお子さんの体力測定やコンディショニングチェックを、目標に合わせて効率的に行えます。
それでは、「打率3割をキープする」という目標について、具体的に見ていきます。

まず、バッティングに必要な要素を考えてみましょう。
- バットを強く振るための「筋力」
- スイング中にフラつかない「バランス」
- バットコントロールに関わる「巧緻性」
- 基礎体力の要素である「柔軟性」

このように大項目を考えたら、次は筋力やバランスなどを細かく掘り下げます。
◾️ 筋力
・下肢の筋力(脚の筋力)
・体幹の筋力として腹筋と背筋
・骨盤の動きを支える腸腰筋

◾️ バランス
・テイクバックのバランス
・振り出し後のバランス
・静的バランス
・動的バランス

◾️ 巧緻性
・上肢(腕・手)の使い方
・下肢の使い方
・トップの形
・振り出しの仕方

◾️ 柔軟性
・股関節
・体幹
・ヒザ関節
・足関節

誰もが、筋力が強ければ鋭いスイングができると思いますよね。でも実は、体のさまざまな部分の筋力バランスが必要なのです。
バランスは、簡単に言うとフラつかないことです。構えからフィニッシュまでの安定した動きが求められます。
巧緻性は体の使い方のことで、ボールを正確にミートするために欠かせない要素です。
膝や股関節などの柔らかさも、再現性の高いスイングの重要な要素ですね。
このように、バッティングやピッチングなど、野球のパフォーマンスに関わる要素が何かを考え、測定することが大切です。
私がプロ野球のトレーニングコーチになった当時、このような考え方はありませんでした。そこで、1000名を超えるプロ野球選手から、さまざまなデータを収集し、分析を重ねました。その結果、スイング力を高める要素にも、しっかりとした根拠があることがわかってきたのです。
たとえば、たくさんホームランを打っている選手は、どういう足の使い方をしているかということなどがわかっています。
現在は、野球のパフォーマンス評価に関する14項目を選定し、選手のコンディショニングチェックを行っています。
これらの測定結果を基準値と比較することで、個々の選手の状態が明確になります。
それが、パフォーマンス向上への近道になるわけです。

これからの常識は個別性の原則
野球のパフォーマンスに関わる測定をすることで、体のコンディションが数値としてはっきりわかるようになりました。
この測定を、私たちホロス・ベースボールクリニックでは「フィジカル・コンディショニングチェック」と呼んでいます。

この測定でわかる筋力や柔軟性は、バランスや巧緻性など、野球の総合的なパフォーマンスにつながっています。そして、今の体のコンディションが、バットスイングや投球フォームの個性をつくり出しています。
この個性は、「クセ」とも言えますね。
良いクセなら問題ありません。でも特に悪いクセは厄介です。体に染み付いてしまうと、直すのがとても大変です。そうなると、将来の野球人生に大きく影響するかもしれません。
つまり、早い段階で自分の動作のクセを理解して、良い動きをしっかり教わることが重要になります。

でも、クセは選手によって違います。同じフォームを教えても、一人ひとりの体の特徴によって、上手くできる選手とそうでない選手がいるのです。
だからこそ、これからの野球界で注目したいのは「個別性」という考え方です。
でも、選手一人ひとりに合わせたトレーニング指導ができるチームは、まだ少ないのが現状です。だから私たちは、お子さんの体の状態と使い方をしっかりチェックしています。
そして、結果がでたら、「ここはこうなっているね」と親子で一緒に確認してください。お子さん自身が「自分の体の特徴はこうなんだ」と理解できることが重要です。
さらに、お子さんに「じゃあどうしていくのが良いと思う?」と問いかけてみてください。すると、お子さん自身で考え、次の行動をイメージできるようにサポートできます。
このように、親子で納得してトレーニングを進めることで、お子さんのやる気も高まっていくはずです。
私は長年、プロ野球選手の動作分析データも集めてきました。その結果、一流選手の体の使い方や、動きの共通点がわかっています。

このプロ野球選手の体の動きを参考にすれば、お子さんのパフォーマンスアップはもちろん、ケガの予防にもつながります。
今や高校野球を見ていると、すごいパワーヒッターや150kmを超える球を投げるピッチャーがいますね。まさに、個別性の時代です。
野球は集団スポーツですが、お子さんには、大谷翔平選手や佐々木朗希投手のような飛び抜けた選手を目指してほしいと思います。
今では、多くの日本人選手がメジャーで活躍をしています。世界で戦うためには、技術も体力も心も、すべてを高いレベルにする必要がありますね。だからこそ、世界で活躍するトップアスリートは、体のチェックと動きの分析を行っています。
これからは、アマチュア選手にも当たり前になっていくでしょう。
おそらく、あなたのお子さんの中にも、プロ野球選手と同じような素晴らしい動きが隠れているはずです。それを発見することも、フィジカル・コンディショニングチェックと動作分析で可能です。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。私たちが丁寧にサポートさせていただきます。
今回のまとめ
いかがでしたか?
今回は、野球の才能開花と目標達成をサポートする、パフォーマンス測定の考え方についてお伝えしました。
目標設定は、とても大切です。しかし、結果目標と行動目標だけでは不十分だということを説明しました。
これからは、個々の選手の状態を把握し、適切なトレーニングを行う「個別性」の考え方が重要です。
そのために、特性要因図を用いた方法をお伝えしました。また、現状の把握には、フィジカルコンディショニングチェックと動作分析が重要なポイントになります。
野球の上達には時間がかかりますが、今はお子さんの個性に合わせた練習方法をつくることが可能です。
お子さんの才能を最大限に引き出せるように、一緒にサポートしていきましょう。
参考文献:
石橋秀幸著、レベルアップする!野球 科学・技術・練習、西東社
石橋秀幸著、野球体をつくる、西東社
石橋秀幸著、マー君をめざす最新トレーニング、廣済堂出版
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