【知らないと損】重いバットvs軽いバット｜強いライナーを打つ子が選んだのはどっち？
今回お伝えする内容です
【知らないと損】重いバットvs軽いバット
強いライナーを打つ子が選んだのはどっち？
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ
お子さんのバッティングのその悩み、技術や努力不足のせいではないとしたら？
実は、これからお話しすることは、あなたの常識を覆すかもしれません。
あなたは、今使っているバットを、どんな基準で選びましたか？
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
「強いライナーを打ってほしいのに弱い内野ゴロばかり…」
「練習はしているのに、なかなか強い打球が打てない…」
やはり、親としては、強いライナーを高い確率でヒットゾーンへ打ち返してほしいですよね。そのためには、勢いのある打球、つまり速い打球を打つ必要があります。
打球速度を決める要素は、この２つ。
- ボールをバットの芯でとらえる”インパクトの正確さ”
- ボールに当たる直前の”バットのスイング速度”
「子供の打撃パフォーマンスを最大に高める最適なバットの慣性モーメントと把持（はじ）条件」という研究があります。
この研究が、バット選びに関する重要な事実を明らかにしました。
つまり、お子さんのバットを変えることが、強いライナーを打つことにつながる可能性があるということなんです。
どんなバットを選ぶと効果的なのか？
それを今から、詳しく解説していきます。
さらに、私の35年以上の研究と、指導の現場で実証された情報を加えて、わかりやすくお伝えしていきます。
小中学生のお子さんのバッティングについては、「強い打球が打てない」というご相談を本当にたくさんいただいています。
今回の内容を最後まで確認することで、お子さんが強いライナーを打ち返す具体的な方法を知ることができます。
ぜひ、最後までお付き合いください。
練習する前のバット選びで結果が変わる！
今回、あなたにもっとも知ってほしいことがあります。
それは、お子さんの打撃の悩みを解決する最初のカギは、練習量ではないということです。
今使っているバットが、お子さん自身のスイングスピードとパワーを最大限に引き出す一本なのか？
それを確認することが、最初の一歩です。
バットは、軽いほうがいいのか、重いほうがいいのか？
あなたは、どう思いますか？
軽いバットか重いバットか？
先ほどの研究では、興味深い結果が示されました。
調査対象となった全選手は、軟式少年野球の小学生選手32名と中学軟式野球選手25名の計57名です。
選手たちは、どのバットを選択したと思いますか？
なんと、68%が”慣性モーメント”の最も小さなバット、つまり最も軽いバットが最適だと選択したのです。
慣性モーメントとは、バットの”振りにくさ”や”回しにくさ”を示す指標だと考えてください。この数値が小さいバットほど、スイングの回転スピードが上がりやすい傾向があります。
簡単に言えば、軽くて短いバットが、特に小学生には向いている可能性が高いということなんです。
野球の打撃での慣性モーメントは、バットの重さや長さ、重心の位置といった物理的な特性が関係します。
”軽く感じるバット”ほど、お子さんはバットを速く振り切ることができ、スイング時間も短くなります。
軽いバットを使うことが、多くの小学生や一部の中学生には効果的です。バッティングの総合的なパフォーマンスを高めることが、研究で示されているのです。
なお、お子さんのパワー不足を解消する【4週間で変化あり】パワー不足でも大丈夫！体の成長が遅い子の野球が上達する科学的アプローチも確認してみてください。
重いバットのメリットデメリット
多くの指導者や保護者は、スイング力をつけるために、より重いバットを振るべきだと考えがちです。
そして、重いバットのほうが、よりボールに力を伝えやすいとも思われています。
これは一見、理にかなっているように思えますね。
たしかに、大人のように体ができ上がり筋力が伴えば、重いバットで打球の勢いを高めることができます。
しかし、小中学生については、意外なことが研究でわかりました。
実は、お子さんの体が大きくなれば、必ず重いバットが合うというわけではないんです。特に、小中学生のように筋力が発達途上の選手にとっては、大切なポイントです！
重すぎるバットは、致命的なデメリットを生む可能性があるんです。
本来のスイングスピードが発揮できないだけでなく、重さに負けてフォームが崩れます。ボールに力を正しく伝えられなくなります。
これは、重いバットに”振らされている”状態と言えますね。
小中学生の体は、運動の連鎖（キネティックチェーン）が未完成です。まだ下半身から体幹、そして腕へと力をスムーズに伝えることがうまくできません。
そのため、重いバットの質量を活かす前に、スイングそのものが崩れてしまうんです。
この状態では、どれだけ練習を重ねても、鋭い打球を生み出すことは困難です。
では、どうすればいいのでしょうか？
打球初速を上げるための2つの具体策
「重いバットより軽いバットのほうがいいのはわかったけど…」
「じゃあ、どれが最適なバットかチェックする方法は？」
そんな疑問があるでしょうか？
その場合は、次のステップで最適なバットを見つけてください。
アクション1：まず”最も軽いバット”を試してみる
研究が示す最も重要なポイントがあります！
それは、「市販されている中で最も軽いバットが、打球速度と総合的なパフォーマンスの両方を最大化する可能性がある」という事実です。
つまり、操作がしやすいバットを選ぶこと。これは、多くの小学生選手に当てはまります。
自宅やチームにある”一番軽いバット”でスイングしてみましょう。
そのとき…
- そのバットでスイングスピードが上がった
- 振りやすそうにしている
その場合、それが最適な一本である可能性が高いです。
これは、主に小学生選手に当てはまる傾向です。まずは「軽すぎるかも」という先入観を捨てることをおすすめします。
お子さんの振りやすさを最優先に考えてみてください。
アクション2：感覚ではなく「数値」で判断する
これまで見てきたように、バットの最適重量は見た目の体格だけでは判断できません。
感覚だけに頼らず、客観的なデータで判断することが、最適なバット選びへの近道です。
可能であれば、市販のバットスイングセンサーなどを活用してみましょう。そして、どのバットを使った時にスイングスピードが最も速くなるか？
それを実際に計測してみることをおすすめします。
複数のスイングを計測し、その平均値を見比べましょう。すると、より客観的な判断が可能になります。
この方法を試して、お子さんの打撃パフォーマンスを最大に高める最適なバットを選んでください。
また、ヘッドを“走らせる”仕組みと割れ・トップの作り方を【飛距離アップ】一流のプロを育てた飛距離を生み出すスイングの原理で解説しています。チェックしてみてください。
バットを短く持つのはいいことか？
少年野球では、「バットを短く持て！」と指導されることがありますね。
バットを短く持つことは、”スイングスピード”をアップする方法として、多くの指導者が推奨しています。
しかし、実はその効果は、慎重に見極める必要があるんです。
バットを短く持つメリット：
これは、あくまで大人の選手を対象とした研究です。
バットを短く持つことで、スイング時間が短縮されました。そして、バットの芯でボールをとらえる正確性が向上する可能性があることも記されています。
バットを短く持つデメリット：
一方で、短く持つことは、インパクト時の”ヘッドスピードが低下する”という結果が示されています。
ヘッドスピードが低下するんですね。これは、意外に思うかもしれません。
ヘッド速度の低下は、打球速度の低下につながります。つまり、”強いライナーを打つ”可能性が低くなるとも言えます。
このように、バットを短く持つことは、大人であってもメリットとデメリットがあるわけです。
特に小中学生の場合、握力や手の大きさが発達途上です。そのため、バットを短く持つことは、逆に握りが不安定になる可能性があるんです。
スイングで起こる遠心力で、バットは体から遠ざかろうとします。
握力が弱いと、握ったグリップを維持することが難しくなります。
でも、グリップエンドいっぱいに持つことで、遠心力を利用したスイングができるわけです。
ただ、現時点では、小中学生対象の評価研究が不足しているため、実験的な取り組みが必要です。
もし、短く持たせたい場合は、お子さんが握りやすいかを確認してください。スイングに違和感がないかも丁寧にチェックしましょう。
そのとき、スイングスピードの違いも確認してくださいね。
結論として、ホロス・ベースボールクリニックは、”ワンサイズ短い軽いバット”で打席に入ることをおすすめします。
グリップいっぱいに持って、力強いスイングでライナーを打ちましょう！
なお、道具選びだけでなく“体力設計と専門体力”の土台づくりも大切です。【必見!】野球の４大スキルを高める基礎知識で一度整理しておきましょう。
今回のまとめ
「なぜうちの子だけ打てないのだろう…」
これまで抱えていたその不安な気持ちは、今日で終わりにしましょう。
原因が技術的な問題だけでなく、”バットとの相性”にあると分かれば、解決策は驚くほどシンプルです。
特別な練習や難しい理論は必要ありませんね。お子さんに本当に合ったバットを見つけることからはじめてみましょう。
すると、今までと同じスイングでも、打球の鋭さが劇的に変わるかもしれません。
弱いゴロが、内野の間を抜ける痛烈なライナーに変わる日は、すぐそこまで来ています。
まずはできることから一つずつ、試していきましょう。
わからないことがあれば、いつでもご連絡ください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献：
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Morishita, Yoshitaka & Katsumata, Yoichi & Jinji, Tsutomu. (2019). The effect of changes in hitting location on bat-swing parameters in baseball batting空間上の打撃ポイントの違いがバットのスイング特性に及ぼす影響. Taiikugaku kenkyu (Japan Journal of Physical Education Health and Sport Sciences). 64. 10.5432/jjpehss.18058.
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