【知っていますか?】野球がうまくならない本当の理由…野球の練習“だけ”が危険なワケ

【知っていますか?】野球がうまくならない本当の理由…野球の練習“だけ”が危険なワケ

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「うちの子、練習は頑張っているのに、試合で活躍できない…」 「他の子に比べて足が遅いし、動きがぎこちない…」

その悩み、才能のせいではありません。

もしも今、お子さんの野球が伸びていないように感じていても、心配いりません。

「しかし、そう言われても…」と思われる気持ちも、よくわかります。お子さんを見ると、「もっと練習させなきゃ」と考えてしまいますよね。

実は、そこに落とし穴があります!

野球の技術練習だけでは、伸び悩んでしまうんです。

こんにちは、ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

大切なのは、「ゴールデンエイジの時期に、どう能力を伸ばすのか?」という視点です。これからお伝えするのは、私の35年以上の指導実績と研究によって実証された具体的な内容です。

お子さんの能力が、一気に伸びる”今”を最大限に活かしたい方には、必見の内容です。

野球センスを爆発的に伸ばす秘訣をお伝えします。

ぜひ、最後までお付き合いください。

技術練習だけすると”成長の壁”をつくる

「練習しているのに上手にならない…」

そう感じる方から、ご相談をいただくケースは少なくありません。

しかし、ほとんどのお子さんが、”野球の技術練習だけ”をしているんです。

実は、最新の脳科学や運動学習の研究で、衝撃的なことがわかってきました。

なんと、”技術練習だけ”を繰り返すことが、成長の壁をつくってしまうと言うんです。

なぜ、技術練習だけでは不十分なのか?

その理由を、最新の研究をもとにくわしく解説します。

まずは野球の動きの土台をつくる

「野球が上手くなるには、野球の練習だけをすればいい」

そう考えがちですが、実はこれが大きな盲点なんです。

最新の研究では、幼少期の”外で遊ぶ時間”や”複数のスポーツ経験”が、将来の伸びしろを決めると指摘しています。

事実、フィンランドの研究(2025年)では、いろいろな運動経験をした子ほど、3年後の運動能力が高まると科学的に証明されました。

いろいろなスポーツや遊びを経験すると、脳の中に”動きのパターン”が豊富に蓄えられます。この基礎となるスキルのことをFMS(Fundamental movement skills)と言います。

この”動きの引き出し”をたくさんつくっておくことが大切なんです。これが、後に野球のセンスを爆発させる絶対的な土台になるからです。

しかし日本では、小さい頃から一つの競技だけを続けるお子さんが多いですね。これを「早期専門化」と言いますが、長期的にはマイナスになると海外の多くの研究が指摘しています。

早くから野球だけに絞ってしまうと、将来トップレベルの選手になれる確率を下げてしまう可能性さえあるんです。

なぜでしょうか?

一つのスポーツだけでは、脳が覚える動きのパターンが偏ってしまいます。その結果、複雑な動きに対応できる”運動能力のレパートリー”が乏しくなってしまうわけです。

だからこそ、お子さんには野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなど、いろいろなスポーツを経験させてあげましょう。

走る」、「跳ぶ」、「投げる」、「かわす」、「バランスを取る」といった多様な運動スキルが養われます。

結果として、野球に必要な敏捷性や身のこなし、予期せぬプレーへの対応力を生み出す最強の武器になります。

ちなみに、成長期の練習量と質の関係について詳しくは、【まだ信じますか?】たくさん練習すれば野球が上手くなる!それは成長期には通用しませんで解説しています。

早期専門化の本当のリスク

「野球はやるべきことが多いから、他のスポーツは無理」

そう考えているかもしれません。

確かに野球には、バッティングや守備などと、いくつもの能力が求められます。しかし、その考え方が、お子さんを危険にさらしているかもしれません。

世界中のスポーツ医学界が注目している、2つの重要な研究結果をご紹介します。

専門化はケガのリスクを跳ね上げる
早期専門化のグループは、複数のスポーツを経験しているグループに比べて、ケガのリスクが30%以上も高いことがわかりました。

専門化の度合いが高まるとリスクが急上昇
1,544名の10代のアスリートを調査した大規模な研究で、次のことが明らかになりました。

スポーツ医学の研究では、専門化の程度を3つの基準で判断しています(McGuineら、2017年など)。

  1. 年間8ヶ月以上、その競技のトレーニングを行っているか
  2. 一つの競技を「メインのスポーツ」として選んでいるか
  3. 他のスポーツをすべてやめ、その競技だけに集中しているか

この3つのうち、当てはまるものが多いほど専門化度合いが高いと判定されます。

  • 当てはまる数が1つなら「低度」
  • 2つなら「中程度」
  • 3つすべてなら「高度」な専門化

たとえば、「野球メインで年間8ヶ月以上練習しているが、他のスポーツも少しはやっている子」は中程度の専門化です。

結果はどうだったでしょうか?

中程度の場合、低度に比べてケガの発生率が50%増します。高度の専門化では、なんと85%も増加していました。

この数字を見て、あなたはどう感じますか?

なお、練習後の効果的な技術定着のポイントを【初公開】最後の20分で野球技術が定着する!科学が示す“練習の終わり方”とは?で解説しています。

なぜ野球だけだとケガをしやすいのか?

早期専門化がケガのリスクを増加させる理由、それは「動きの偏り」です。

早くから野球の動きだけに限定すると、特定の筋肉や関節ばかりに負担が集中します。

すると、次のような問題が起こるんです。

ひとつは、「全身の筋力バランス」が崩れること。
そして、同じ部位を使いすぎ「オーバーユース」が起こること。

さらに深刻なのは、「脳が体を思い通りに操る力」が育ちにくくなる点です。

本来、今のお子さんの体は「脳と体の連携能力」を発達させる時期です。ところが、限られた動きしか経験しないと、この神経系の発達が妨げられてしまいます。

運動に必要な基本的な動作は、合計で36個あると言われています。その動きの偏りが大きくなるほど、不自然な動きになるわけです。

この不自然な動きが積み重なり、衝撃に耐えられなくなると、ケガにつながってしまうのです。

研究では、深刻なケガを防ぐための具体的なガイドラインも示されています。

次の2点に注意してください。

  1.  自分の年齢の時間を超えない
    一週間の練習時間は、お子さんの年齢の数字を超えないように調整しましょう。たとえば、10歳なら週10時間までです。
  2.  遊びの時間を大切に
    チームなどの組織練習が、公園などで自由に遊ぶ時間の”2倍”を超えないようにしてください。

この”安全ライン”を守りながら、野球以外の動きをたくさん経験させてあげることが大切です。

それが、医学的にも最も正しい選択なんです。

ちなみに、基礎的運動能力(FMS)については、【あなたは知ってた?】野球の”伸びしろ”は数値化できる!子どもの未来を変えるFMS評価とはをチェックしてみてください。

今回のまとめ

日頃の練習に、サッカーやバスケットボールなどの動きを取り入れましょう。

鬼ごっこや缶けりなど、昔ながらの遊びも効果的です。

予測できない状況で瞬時に判断し、体を動かす経験が、お子さんの運動センスを引き出します。

小中学生の今、大切なのは目先の試合結果ではありません。

長期的な視点で「動きの引き出し」を増やすことに、本当の価値があります。

練習そのものを楽しくできれば、野球の能力は必ず高まります。

3年後、5年後のお子さんの成長を信じてサポートしていきましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

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幼少年期に身につけておくべき基本運動(基礎的動き)に関する研究,第1報,財団法人日本体育協会,スポーツ医・科学専門委員会

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