【野球の新常識】打撃成績の70%以上は「視覚」で決まる|少年野球をする子を持つ親が知るべき事実

【野球の新常識】打撃成績の70%以上は「視覚」で決まる|少年野球をする子を持つ親が知るべき事実

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

練習ではいい当たりを飛ばすのに、試合になるとファールやボテボテのゴロばかり。

そんなお子さんの姿を見て、技術不足だと嘆いてはいませんか?

もしかすると、原因はバットの振り方ではないかもしれません。

こんにちは。ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

最新のスポーツ科学で、打率を左右する意外な真実が明らかになりました。

この事実を知らないまま練習を続けても、芯でボールをとらえる感覚は身につきません。

じつは、バッティング向上のカギは「目の使い方」にあります。

これは、私の35年以上の研究と指導の中で、辿り着いた一つの結論です。

今日から家でできるチェックポイントも、わかりやすく解説します。

ほんの少し「目の使い方」を直すだけで、お子さんのバッティングが激変するはずです。

ぜひ、最後までお付き合いください。

打率が上がらない原因は「目の使い方」

「もっとよくボールを見ろ」
「最後までボールを見ろ」

少年野球の打席で、何度も耳にする声かけです。

ボールを見る意識は、もちろん必要です。しかし、お子さんの「頭の向き」がバッティング成績を左右することは、あまり知られていません。

これからお伝えするのは、最新のスポーツ科学が突き止めた「目の使い方」の真実です。

一つずつ確認していきましょう。

打てない原因はフォームじゃなかった

「当たってはいるんですけど、弱い当たりばかりなんです」

一生懸命お子さんの練習に付き合っているお父さんから、こうした悩みをよく聞きます。

素振りのフォームはきれいで、スイング自体は悪くない。それなのに、どうしても芯で捉えきれない。

その悔しさや焦り、痛いほどよくわかります。

そんなとき、つい「スイングの軌道が悪いのでは」「下半身が使えていないのでは」などと、フォームに原因があると考えがちです。

しかし、本当の原因は別のところにありました。

10年以上の経験を持つ、熟練選手たちの打撃成績を比較した研究があります。その差の70%以上が「目でボールを追う力」によって説明できたのです(Chen et al., 2021)。

つまり、経験を積んだ選手同士でさえ、打撃成績の差を決める最大の要因が「視覚」にあったんです。

その真の原因は、脳に届く情報の精度が低いことなんです。

なお、ミート力と視覚の関係について、関連記事でさらに詳しくご紹介しています。

関連記事:【打撃新時代】バッティングは”脳”が9割!ミート力を覚醒させる視覚トレーニング実践法

「よく見なさい」は正しいが…

「ちゃんと最後までボールを見なさい!」

この指導、決して間違っていません。

問題は、お子さんの「見る意識」が足りないことではありません。むしろ逆なんです。

「ボールをじっと見よう」「強く打とう」と力むと、頭がホームベース側に傾いてしまうお子さんがいます。その結果、無意識のうちに「片目打ち」になってしまうんです。

つまり、「よく見る」こと以上に、大切なポイントがあります。

それは、「頭をまっすぐに保ったまま両目を使って見る」ことなんです。これこそが、ミート力を上げる絶対条件です。

頭ごと正しい位置に向ける」という動きへ、認識をアップデートしてみましょう?

また、「よく見ろ」だけでは足りない理由について、関連記事で具体的にご説明しています。

関連記事:【打撃指導の盲点】「球をよく見ろ」は正解。でもそれだけじゃ打てない!プロはどうしてる?

頭が傾くと距離感が狂うメカニズム

では、なぜ頭が傾くといけないのでしょうか?

私たちは両目で物を見ることで、正確な距離感や奥行きを把握しています(立体視)。

プロ野球では、150キロを超えるボールを打ち返す能力が必要です。それには、立体視による奥行きの知覚は絶対に欠かせません。

しかし、ステップの際に頭が極端に傾くとどうなるでしょうか? ピッチャー側の目だけでボールを追う「片目打ち(単眼視)」の状態になりやすいんです。

研究によると、片目打ちになることで、ボールとの正確な距離感が失われてしまうのです(Devi et al., 2024)。

お子さんのバッティングを、ぜひ横から見てみてください。構えからスイングにかけて、頭がキャッチャー側やピッチャー側に傾いていませんか?

その場合、こんなことが起こります。

ボールはしっかり見えているつもりなのに、いざ振ると数ミリのズレが生じる」ことになってしまいます。

さらに、距離感のズレが弱い打球につながる仕組みについて、関連記事でも解説しています。

関連記事:【小中学生球児へ】なぜそのスイングだと弱いゴロになるのか?|プロが重視しているのは…

一軍と二軍、打者の違いは?

プロ野球(NPB)の一軍選手と二軍選手のバッティング中の「頭と眼球運動」を比較した研究があります。

そこで、衝撃的な事実が明らかになりました。

一軍の一流打者は「頭の回転をボールの軌道に完全に連動させている」のです。

ヘルメットについているライトに例えて説明しますね。

一流打者は、首の回転を使ってボールを追います。頭についているライトの光が、常にボールの正面に当たり続けるイメージです。

これにより、ボールが常に自分に対して同じ角度(自分の正面)に維持されます。

さらに、一軍のトップ選手と二軍選手には「目と頭の使い方」に決定的な違いがあります。

実は、どちらの選手も頭を動かしてボールを追います。そして、打つ前に視線をパッと先回りさせています。

しかし、その「」が全く違うのです。

▪️二軍選手:
頭を動かしてボールを追うが、早い段階で視線をパッと先回りさせてしまう

インパクトの位置を「頭の向き」と「目の動き」の両方でとらえようとする

そのため、脳の処理に誤差が出やすくなる

▪️一軍のトップ選手:
ギリギリまで視線の先回りを我慢し、より長くボールを見続ける

インパクトの位置は「頭の向き」だけで把握する

そのため、脳の処理負担が劇的に軽減される

スポーツ科学の世界では、こんな事実が明らかになっています。

どんなにすごいプロ野球選手でも、インパクトの瞬間まではボールを見ることができません

しかしトップ選手は、この「視線の先回り」と「頭の動き」を組み合わせます。それによって、ボールが見えなくなるギリギリまで、最も正確な軌道と距離感を脳にインプットしているのです。

だからこそ、見えないインパクトの瞬間でも、バットの芯で正確にボールを捉えることができるんです。

ちなみに、プロ選手が実際に”頭”と”目”をどう使っているかについて、関連記事でさらに詳しくご紹介しています。

関連記事:【プロでも頭は動く】「頭をブラすな」は間違い!?プロは”頭”と”目”をどう動かしている?

必要なのは「両目を水平に保つ」

では、今日からの練習で確認できるポイントをお伝えします。

必要なのは、たった1つ

お子さんが素振りやバッティングをしているとき、次の点を見てあげてください。

頭が極端に傾いていないか

両目が地面と水平になっているでしょうか?

もし傾いていれば、声をかけるだけで大丈夫です。

頭をまっすぐにして構えてみて
構えからスイングまで、鼻の頭がボールを追いかけているかな?」

この「鼻の頭」という具体的な目印を意識させるだけで、お子さんの視覚情報はぐっとクリアになります。

なお、「見えていないのになぜ打てるのか」という仕組みについて、脳科学の視点から関連記事で説明しています。

関連記事:【誰も教えてくれない】スイングを速くしても打てない!?小中学生のバッティングを変える脳科学の答え

今回のまとめ

「ボールをよく見ろ」という曖昧な言葉を、今日からは具体的な指示に変えてみてください。

頭の向きをボールに連動させ、視線を先回りさせる。

これは決して、簡単な技術ではありませんが、今日お伝えしたことを意識して練習を続けてください。

継続すれば、お子さんのミート力は高まります。

視覚スキルやビジョントレーニングについて気になることがあれば、お気軽にホロス・ベースボールクリニックにご相談ください。

お子さんのスイングが、肩からスッと力が抜けた良いスイングになるはずです。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参照文献

Chen T, Liu GR, Tsai CL (2021). Visuomotor predictors of batting performance in baseball players. Front. Psychol. 12:604061. doi: 10.3389/fpsyg.2021.604061

Kishita Y, Ueda H, Kashino M (2020). Eye and Head Movements of Elite Baseball Players in Real Batting. (※doi確認要)

Mann DL, Abernethy B, Farrow D (2010). Action specificity increases anticipatory performance and the expert advantage in natural interceptive tasks. Acta Psychologica 135: 17–23.

Mann DL, Spratford W, Abernethy B (2013). The Head Tracks and Gaze Predicts: How the World’s Best Batters Hit a Ball. PLoS ONE 8(3): e58289. doi: 10.1371/journal.pone.0058289

Devi S, et al. (2024). Monocular and binocular vision in interceptive sport performance. (※FC済みファイル記載の研究・詳細doi確認要)

Uchida Y, Kudoh D, Higuchi T, Honda M, Kanosue AK. (2013). Dynamic visual acuity in baseball players is due to superior tracking abilities. Med Sci Sports Exerc. 45: 319–325. doi: 10.1249/MSS.0b013e31826fec97

Land MF, McLeod P. (2000). From eye movements to actions: how batsmen hit the ball. Nature Neurosci. 3: 1340–1345. doi: 10.1038/81887

Bahill AT, LaRitz T. (1984). Why can’t batters keep their eyes on the ball? Am Sci. 72: 249–253.

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