【要注意】少年野球で「もっと強く振れ」がゴロを増やしているかも

【要注意】少年野球で「もっと強く振れ」がゴロを増やしているかも

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

また今日もセカンドゴロ。

スイングはきれいなのに、なんで前に強い打球が飛ばないんだろう?

グラウンドの隅で、そう首をかしげたことはありませんか。

実は、弱いゴロが続くのは、スイング中の3つの動作が原因かもしれません。

この3つを知っておくと、お子さんのミスの原因が見分けやすくなります。

こんにちは。ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

スイングを一から直さないと…」と焦っている保護者の方に、ぜひお伝えしたいことがあります。

弱いゴロは、いくつかの小さな動きに原因があることが多いんです。それを、私の35年以上の研究と指導経験からひもといていきます。

今回は、スイングを直す前に見ておきたい3つのチェックポイントを整理します。

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それでは、本編を進めていきましょう。

「ゴロばかり」の原因は?

弱いゴロが続くと、つい「スイングを一から直そう」と考えてしまうかもしれません。

でも、それよりも先に、今回お伝えする内容を確認してみてください。

お伝えするのは、体のどこで力が逃げているかを見分ける3つのポイントです。

ただ、その前に知っておくべきことがあります。

小学生・中学生ならではの、体の成長に関わる問題です。

まずは、そちらから見ていきましょう。

スイングはいいと思うのに、なぜ弱いゴロが続くのか?

お子さんのスイングは悪くないように見えるのに、なぜか強い打球が飛んでいかない。

そんなとき、つい「もっと思いっきり振りなさい」と言ってしまうのは、自然な反応ですね。

実は、研究でこんなことがわかっています(Tsutsui, 2023)。

小学生の間は、下半身と上半身を別々に動かす体の機能が、まだ育っている途中なんです。

これは、6〜12歳の選手を3シーズン追いかけた研究結果です。

上半身と腰を別々に使う動きは、10〜11歳ごろから使えるようになると報告されています。スイングのスピードも、年齢が上がるほどアップしていきました。

つまり、お子さんの体は、大人と同じひねりを使う準備が、まだ整っていない時期かもしれません。

フォームはきれいに見えても、そのひねりを、体の中ではまだうまく使いきれていないことがあります。

その点を理解した上で、スイングの指導をしていただければと思います。

なお、この運動連鎖の順番が崩れる仕組みについては、関連記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:【小中学生の打撃改善】この順番を知れば…弱い内野ゴロが強いライナーに変わる!

見るべきは、フォームの良し悪し?

強い打球を打たせたくて、もっと力を入れて振らせようとすることは、間違いではありません。

ただ、先ほどお伝えしたように、体の成長に応じて、できること・できないことがあります。

そして、もう一つ意外な調査結果があります!

力を入れようとするほど、手や腕の関節の動く範囲は狭くなることがあるんです(Mannella, 2022)。

つまり、「強く振れ」と力を込めさせるほど、手や腕に余計な力みが入ります。それが原因で、動きがなめらかでなくなることがあります。

体をひねる動きは、まだ育っている途中です。そこへ力任せの指示を重ねると、動きはさらにぎこちなくなります。

それでは、力が逃げてしまうことにつながりかねません

お子さんに言うことは、「もっと強く振れ」ではありません。「体のどこかで力が逃げていないか」です。

次に、その具体的な3つのポイントをお話しします。

ちなみに、力の入れ方そのものを見直す視点は、試合で体が固まる場面にも共通しています。

関連記事:【要注意】少年野球で「力を抜け!」が打てなくなる原因だった

家でチェックできる3つの動き

必要なのは、大きなフォーム改造ではありません。

次の3つを、素振りや動画で見てあげるだけでいいんです。それぞれ「研究でわかっていること」と「そこから考えられること」を分けてお伝えします。

①グリップの握りが強すぎないか
手首の動きを調べた研究があります(Mannella, 2022)。

この実験では、握る力を4段階に変えて、そのたびに手首の動く範囲を測定しています。

結果は一貫していて、握りが強くなるほど、動く範囲が段階的に狭くなっていました。強く握るほど、手首は固まってしまうんですね。

もし指が白くなるほど握っていたら、少しゆるめて振らせてみてください。

②バットを持つ手が、体より先に前へ出ていないか
まず下半身、次に上半身が回り始めて、その後にバットを持つ手がついてくるのが理想の順番です。

手だけが早く出ると、体の回転で生まれた力がバットに伝わりにくくなります。

研究では、こんな順番も確認されています(Tsutsui, 2023)。

上半身(胸)は、いったんキャッチャー方向を向き、インパクト直前にピッチャー方向へ大きく回転します。

つまり、手が先に動くと、この回転の順番をじゃましてしまうかもしれません。

動画を撮ると、「体が先か、手が先か」が見えてきます。確認してみてください。

③素振りのときに体が傾いていないか
アタックアングルという言葉を聞いたことはありますか?

ボールに当たる瞬間のバットの角度のことですが、素振りだけでも変わります。

バットが下から入ると打球は上がりやすく、上から入りすぎるとゴロになりやすくなります。この点は、12〜14歳の選手と大学生を対象にした研究で確かめられています(Li, 2025)。

この研究では、素振りのときの体の傾き方が、そのあとのアタックアングルに影響することが示されています。

いつもと違う重さのバットで素振りをすることがありますよね。

力任せに振ったりすると、無意識に体が傾いてしまうことがあります。その傾きが、そのままバットの角度に影響してしまうことがあるんです。

姿勢が安定すれば、力もまっすぐボールに伝わりやすくなります

素振りのときの姿勢が、前後左右に極端に傾いていないか、見てあげてください。

また、素振りのときに具体的にどこをチェックすればいいかは、関連記事でさらに詳しくご紹介しています。

関連記事:【チェック必須】バッティングフォームを劇的に改善する正しい素振りのチェック法

今回のまとめ

弱いゴロが続いても、スイングを丸ごと作り直す必要はありません。

大事なのは、全部を一度に直そうとしないこと。

「今日は握りを少しゆるめて振ってみようか」と、一言だけ声をかければ十分です。

お子さんの動きで気になることがあれば、いつでもご相談ください。一緒に、見るべき一点を探していきましょう。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献

1. Longitudinal changes in youth baseball batting based on body rotation and separation(PMC10683358)

2. Impacts of dry swing intervention on bat speed and attack angle: an analysis of core intervention factors(PMC12213483)

3. The effects of isometric hand grip force on wrist kinematics and forearm muscle activity during radial and ulnar wrist joint perturbations(PMC9138088)

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