【要注意】反抗期の子どもと野球…“燃え尽きる子”と“伸びる子”を分ける親の関わり方

【要注意】反抗期の子どもと野球…“燃え尽きる子”と“伸びる子”を分ける親の関わり方

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「ついこの前まで、あんなに野球の話をしていたのに…」

何か言うとすぐに不機嫌になる
批判されたと感じて心を閉ざす
反抗的な言動をする

思春期のお子さんの、こうした敏感な反応にどう接していいか分からず、戸惑っていませんか?

でも、ご安心ください。これから、その対応策を詳しくお伝えします。

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

思春期の子どもは、急に親を避けたり不機嫌になったりすることがあります。

実はこれ、脳が成長する過程で起きているんです。

親の言葉にとても敏感になって、これまでよりも「強い刺激」として受け取ってしまうのです。

そこで今回は、スポーツ心理学の最新研究と、私の35年以上の指導を踏まえて、反抗期の脳で何が起きているのかを解説します。

親として、お子さんの反抗期とどう関わればいいのかを、具体的にご紹介します。

この内容を知ることで、これまでとは違う”新しい親子の信頼関係”が待っています。

ぜひ、最後までご覧ください。

反抗期は「自立」への脳内アップデート

思春期のアスリートが見せる反抗的な態度は、脳が自立に向けて急成長している証拠です。

単に性格が変わったわけでも、育て方が間違っていたわけでもありません。

この時期の脳は、「自立したい」というアクセルが全開です。なのに、感情をコントロールする「ブレーキ役」の抑制機能が工事中なんです。

どういうことか、詳しく見ていきましょう。

感情を押さえ込もうとすると…

思春期の反抗的な態度は、単なるわがままではありません。

本人も感情の扱い方に戸惑い、うまく表現できずに”反抗”という形になってしまうんです。

もちろん、これは親御さんへの攻撃ではありません。一人の選手として自律しようとする、脳の健全な成長のサインだと知ってください。

最新の研究で、若いアスリートの「感情の整理のしかた」が心の健康にどう影響するかが明らかになりました(Regborn et al., 2025)。


まず、感情を表に出さず、無理に押し殺す選手ほど、メンタルに不調を感じやすいことがわかりました(感情抑制)。

一方、「これも良い経験だ」と前向きに感情を整理できる選手ほど、心が安定しやすい状態に保たれていました(認知的再評価)。

たとえば、マウンドで崩れた時に感情をただ抑え込むだけでは、脳に大きな負担がかかってしまいます。

結果として野球のパフォーマンスが落ちたり、燃え尽きてしまったりするリスクがあります。 お子さんが口を閉ざすのは、今まさに「脳が感情の扱い方を学んでいる最中」だからです。

親としてこの仕組みを知っておくだけでも、お子さんとの関わり方が変わってくるはずです。

また、反抗が起きる脳の仕組みを【思春期の野球指導】なぜ急にアドバイスを嫌がる?子どもの脳で起きている科学的反応の秘密で整理しています。

”心の成長サイクル”を回すサポートとは

最新のスポーツ科学で、大人の関わり方が、子どもの心の成長にどう影響を与えるのかが示されました(Zhang et al., 2025; Gao et al., 2024)。

お子さんの自立をサポートする「心の成長サイクル」という考え方があります。

これは、親やコーチが「ああしろ、こうしろ」と命令するのではなく、「あなたならどうする?」と任せることからすべてが始まります。

たとえば、お子さんが試合の守備でエラーをして、落ち込んでいる場面を想像してみてください。

  1. 自律性サポート
    親やコーチは「なんであんな捕り方したんだ!」と怒るのではなく、「次はどうすれば捕れると思う?」とお子さんに考えさせ、信じて答えを待ちます。
  2. 精神的回復
    自主性を持たせると、お子さんは「信頼されている」と感じます。それが、「次はこうやってみよう」と自分で作戦を立てる気持ちにつながります。
  3. 楽観性
    自分で考えた作戦があるから、次の打球への挑戦意欲が湧きます。「よし、自分の所に飛んでこい!今度は捕れるぞ」という気持ちになります。
  4. 成長
    その前向きな気持ちで練習するので、本当に守備が上手くなります。

目に見える「技術」や「結果」を急いでつくろうとしなくて大丈夫です。まず目に見えない「心の土台=意欲や自信」をしっかり育ててあげましょう

このサイクルを回すカギは、大人が「少し我慢して、子どもにバトンを渡すこと」です。

ちなみに、子どもの野球の上達に感じる親のストレスと対処法も参考になるはずですので、確認してみてください。

自律性をサポートするには

お子さんには、”自律性”のある行動をしてほしいと思っているはずです。

しかし、本人の自律性に任せるだけでは不安で、つい口を出してしまう親御さんは多いかもしれません。

ただ、「自律性=無法地帯」ではありません。

「自律性のサポート」とは、しっかりとしたルールの中で、自由にプレーさせることなんです。

放任(ほったらかし):
ルールを無視して「好きにやっていいよ」と言われても野球になりません。

野球に限らず、生活の中にはルールがあります。それを放任するのはタブーです。

支配(過干渉):
たとえば、バッターボックスに立っている子どもに、親がバックネット裏から一球ごとに指示を出すことなどは過干渉です。

「次はカーブが来るぞ!」「バットを短く持て!」これでは子どもが成長できません。「自分で狙い球を決める」という一番面白い部分が奪われてしまいます。

自律性のサポート:
ストライクゾーンやアウト・セーフなどの判断をする審判がいる状態です。

ルールを守っている限り、どのボールを振るか、どこに投げるか自分で決めていい。でも、あくまでもルールの範囲内でプレーするんだよ」とラインを引いてあげるのが大人の役目です。

心の成長サイクルを効果的に回すために、自律性サポートを上手に活用してください。

次に、そのために必要な”線引き”を説明します。

なお、子どもの自律性をサポートする別の視点を【大谷翔平の野球ノートに学ぶ】野球が伸びる子の共通点 _ 親が無意識にしている間違いで解説しています。

自律性の科学的な線引きのポイント

お子さんが自律性を持って野球に取り組むためには、親御さんの関わり方に一定のルールが必要です。

最新のスポーツ心理学の知見を応用した、効果的な線引きのポイントを3つご紹介します(Lopes et al., 2024; Gunderson et al., 2018; Regborn et al., 2025など)。

① 注意するのは「エラー」ではなく「マナー」
親御さんが厳しく見るべきなのは、試合の結果やエラーではありません。

過度な技術的指導は、かえってプレッシャーになることがわかっています。 その代わり、以下のような”振る舞い”には、親として毅然と注意を与えましょう。

  • 審判の判定に不満をあらわにする
  • 失敗したときに道具にあたる
  • 挨拶をおこたる

野球選手以前に人として守るべき最低限のルールがあります。それらが守れない場合は、親として「イエローカード」を出すことを、あらかじめお子さんと共有しておきましょう。

② 注意は「性格」にではなく「プレー」に対して行う
たとえば、お子さんが三振して、ふてくされた態度をとったとします。 

ダメな叱り方は、「そんな態度だから三振するんだ!」と人格(性格)を否定することです。これはやる気を最も削ぐ叱り方です。

そうではなく、行動(プロセス)に着目した声かけをしましょう。 

あのときの態度は、チームの仲間にどう見えたかな次は悔しさをどうやってパワーに変える?」

人格ではなく、”周りへの配慮が欠けた行動”だけを修正するように促しましょう。そうすれば、お子さんは傷つかずに改善点を見つけられます。

③ 気持ちを整える「5秒ルール」
お子さんがだらしないプレーをしたら、カッとなって怒鳴りたくなることもあるはずです。 

そんな時は、心の中で5秒数えてみてください。 

ただ我慢するのではなく、その間に「あの子も必死なんだ」「わざとエラーしたわけじゃない」と、頭の中の実況中継を変えてみてください。 

これは「認知的再評価」と呼ばれる、科学的に証明されたメンタルコントロール術です。

ミスをしても、お子さんの価値は変わらない。親がその姿勢を見せることが、最強の応援になります。

ちなみに、感情が荒れたときほど、声かけが逆効果になることがあります。それを【要注意】野球で「切り替えろ!」が逆効果になる脳の仕組み|ミスをひきづる本当の理由で解説しましたので、チェックしてみてください。

今回のまとめ

お子さんの心の葛藤は、自分の足で未来へ歩き出そうとしている揺るぎない証拠です。

親としてできる最大のサポートは、今はまだ不器用な自立を信じて待つことです。

あなたは、お子さんの感情を整理できる「安全な存在」であり続けてください。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

あなたからのご連絡をお待ちしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献:

van Houtum LAEM, Will GJ, Wever MCM, Janssen LHC, van Schie CC, Tollenaar MS, Elzinga BM. Adolescents’ affective and neural responses to parental praise and criticism. Dev Cogn Neurosci. 2022 Apr;54:101099. doi: 10.1016/j.dcn.2022.101099. Epub 2022 Mar 15. PMID: 35306466; PMCID: PMC8933824.

Holmqvist Larsson K, Zetterqvist M. An emotion regulation skills training for adolescents and parents: perceptions and acceptability of methodological aspects. Front Psychiatry. 2024 Dec 10;15:1448529. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1448529. PMID: 39822387; PMCID: PMC11735939.

Regborn FF, Holmström S, Svensson M, Sjögren M. Emotion Regulation and Mental Health in Young Elite Athletes. Sports (Basel). 2025 Aug 22;13(9):284. doi: 10.3390/sports13090284. PMID: 41003590; PMCID: PMC12473469.

Zhong Z, Jiang H, Wang H. The association of mindfulness with athletes’ fear of failure: the mediating roles of perfectionism and ego-depletion. Front Public Health. 2025 Sep 23;13:1643131. doi: 10.3389/fpubh.2025.1643131. PMID: 41063962; PMCID: PMC12500422.

Zhang N, Du G, Tao T. Empowering young athletes: the influence of autonomy-supportive coaching on resilience, optimism, and development. Front Psychol. 2025 Jan 8;15:1433171. doi: 10.3389/fpsyg.2024.1433171. PMID: 39845556; PMCID: PMC11750835.

Gao Z, Chee CS, Norjali Wazir MRW, Wang J, Zheng X, Wang T. The role of parents in the motivation of young athletes: a systematic review. Front Psychol. 2024 Jan 8;14:1291711. doi: 10.3389/fpsyg.2023.1291711. PMID: 38259527; PMCID: PMC10800670.

Kim SK, Choi H. Effects of coaches’ autonomy support on athletes’ aggressive behavior and athlete burnout: verification of the mediating effects of coach-athlete relationship and team efficacy. Front Psychol. 2024 Jul 30;15:1388185. doi: 10.3389/fpsyg.2024.1388185. PMID: 39139597; PMCID: PMC11320840.

Chen Z, Peng L. Associations Between Parental Expectations and Competitive State Anxiety in Adolescent Tennis Players: Mediation by Basic Psychological Needs. Children (Basel). 2025 Dec 18;12(12):1714. doi: 10.3390/children12121714. PMID: 41462854; PMCID: PMC12732109.

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