【バッティングの誤解】コンパクトに振れば鋭いスイングになると思っている方は必見!

【バッティングの誤解】コンパクトに振れば鋭いスイングになると思っている方は必見!
お子さんの打球が、思っていたほど強くならない。
小学4年生の親御さんは、メールに次のように書いていました。
「ヒットになっても、弱い打球が多いのが悩みです」
別の小学4年生の親御さんは、無料相談のお申し込みでこう書いていました。
「息子がチームの指導で『強く振る』ことを意識するようになってから、だんだん大振りになってきました」
そして、「強く振る」ことと「コンパクトに振る」ことの考え方について、アドバイスがほしいというご要望でした。
強く振ろうとすると大振りになる一方で、コンパクトに振ろうとする場合にも問題があります。
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
私は、広島東洋カープとボストン・レッドソックスで、トレーニングコーチを務めました。
当たっても打球が弱いとき、お子さんにどんな振り方を目指してもらえばいいのか?そして、コンパクトにスイングしようとするときに起こる弊害とは何か?
それを今回は、私の35年以上の研究と指導経験をもとにお伝えします。
読み終えるころには、次のティー打撃で、お子さんにかける一言が決まっているはずです。
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それでは、本編を進めていきましょう。

打球を強くしたいとき、スイングのどこを変えればいい?
「強く振る」ことと「コンパクトに振る」こと。この2つの考え方を、3つの順に見ていきます。
まずは、大振りを直せば打球が強くなるのかを考えます。
次に、メジャーリーグの打者が追い込まれたとき、スイングがどう変わっていたのかを見ていきます。
最後に、練習のときの声かけと、スイングの確かめ方をお伝えします。
大振りを直せば、打球は強くなる?
打球が強くならないのは、大振りになっているからだと考える親御さんもいらっしゃいます。
なぜなら、「ドアスイング」のような、よくない振り方になると考えているからです。
冒頭でお伝えしたように、「強く振る」ことを意識すると、大振りになることがあります。
大振りになってしまう選手には、「コンパクトに振ろう」「最短距離でバットを出そう」と指導することがよくありますね。
コンパクトに振れば、まずはしっかり当たるようになる。当たれば、打球にも勢いがつく。そう考えているのかもしれません。
お子さんに、強い打球を打たせてあげたい。その気持ちは、よく分かります。
では、コンパクトに振らせることは、強い打球を打つことにつながるのでしょうか?
なお、「もっと強く振れ」と声をかけると、かえって動きがぎこちなくなることがあります。関連記事では、体のどこで力が逃げているのかを、家で確かめる方法をご紹介しています。
関連記事:【要注意】少年野球で「もっと強く振れ」がゴロを増やしているかも

追い込まれたメジャーリーグの打者は、振りをどう変えていた?
そこで、メジャーリーグの打者のデータを見てみましょう。
じつは、追い込まれたメジャーの打者も、振りを小さくして当てにいっていました。
ところが、平均するとスイングスピードまで落ちていたんです。そして、そのスピードをより落とす打者ほど、当たる確率は少し高くなっていました。
けれども、打球は弱かったんです。
これを確かめたのが、2024年シーズンのメジャーリーグの打者を調べた研究です(Powers, 2026)。
研究チームが使ったのは、メジャーリーグが1球ごとに測っている、次の2つの数字でした。
- ボールに当たった瞬間に、バットの芯が動いていた速さ(振る速さ)
- 振り始めてからボールに当たるまでに、バットヘッドが動いた距離
そのうえで、追い込まれたケースを打者ごとに比べました。それぞれの打ち方が、どれだけ得点につながるかも計算しています。
その計算で、いちばん得点につながったのは、スイングスピードを落とさずに、バットヘッドが動く距離だけを短くする打ち方でした。
強く振ろうとすると、トップの位置から振り出すとき、バットが体から離れてしまうケースがあります。すると、バットは大きな輪を描くように回ることがあります。
その結果、ボールに当たるまでに、バットヘッドが動く距離が長くなります。グリップが体の近くを通ってボールに向かえば、動く距離は短くて済みます。
しっかり当てることは、もちろん大切です。ただ、コンパクトに振るとは、スイングスピードを落とすことではないんです。
速さはそのままで、バットヘッドが動く距離を短くする。
同じスイングスピードの場合、コンパクトに振る方が、ボールを引きつけることができるわけです。
ちなみに、関連記事では、グリップを体の近くで回す理由を、フィギュアスケートのスピンにたとえてご紹介しています。
関連記事:【徹底解説】打撃フォーム!弱いスイングを強いスイングに変える3つのカギ

「コンパクトに」の代わりに、何と声をかける?
次のティー打撃では、お子さんへの声かけを変えてみてください。
見てほしいのは、振り始めてからボールに当たるまでの時間です。
先ほどお話ししたとおり、スイングスピードを落とすと、メジャーリーグの打者でも打球が弱くなっていました。
ホロス・ベースボールクリニックでは、少年野球をしているお子さんでも、同じことが言えると考えています。
また、軟式野球をしている小学生と中学生、あわせて57人のスイングを調べた研究もあります(城所, 2018)。
そこには、振り始めてからボールに当たるまでの時間が短いスイングほど、バットヘッドが速い傾向がありました。一方で、バットを大きく回したスイングは、バットヘッドが速いとは限りませんでした。
たとえば、「コンパクトに」「最短距離で振って」の代わりに、こう声をかけてみてください。
「スイングスピードはそのまま、グリップを体の近くで振り抜こう」
声をかける前に、スイングをスマホで撮影しておきましょう。声かけのあとも撮影し、スロー動画で見比べてください。
撮影のときのポイントは、同じ角度から撮ることです。
そして、見るところは、次の2つです。
- バットが始動した最初のコマから、ミートポイントまでのスイング軌道が小さくなったか?
- 当てたところでバットを止めずに、最後まで振り抜けているか?
ただし、スイング軌道が小さくなっても、スイングスピードを保てたとは限りません。
コンパクトに振ろうと意識すると、スイングが弱くなることがあります。それは、お話ししたとおりです。
そのとき、インパクトでバットの動きが一瞬だけ止まって見えることがあります。ですから、「最後まで振り抜けているか」をチェックするのは大切です。
スロー動画を見比べるときは、「トップからインパクトまでの時間が短縮できているか」を手がかりにしてください。
日を空けて撮り直すときは、1週間から1か月くらいの間隔を空けて比べてください。
また、良かれと思ってたくさん声をかけると、子どもの動きが止まってしまうことがあります。関連記事では、その理由と、声かけを1つに絞る考え方をご紹介しています。
関連記事:【脳科学が警告】「考えて打て」は間違いだった!? 子どもの動きを止めるNG指導の正体とは

今回のまとめ
当たっても打球が弱いときに、大振りになっていると感じるときにかける言葉は、もう見つかりましたね。
そして、改善のポイントも知ることができました。
次の練習から、この声かけを試してみてください。
お子さんがスイングスピードを保てているか、遠回りしているかなどを見分けたいときは、ご相談ください。
動作分析をすると、はっきりわかります。
https://sub.holosbc.com/p/AkxjNNGwajh4?ftid=UgOIaJbaqDe6
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
そのほか、お子さんの野球でお困り・お悩みでしたら、いつでもご連絡くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
1. Swinging, Fast and Slow: Interpreting Variation in Baseball Swing Tracking Metrics(DOI: 10.1080/00031305.2026.2633338)
2. 子供の打撃パフォーマンスを最大に高める最適なバットの慣性モーメントと把持条件(DOI: 10.32226/jjbse.22_2018_002)
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