【保護者必見】練習しても伸びない子を「運動神経のせい」と思う前に知ってほしいこと

【保護者必見】練習しても伸びない子を「運動神経のせい」と思う前に知ってほしいこと

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

「息子はコツコツと頑張っているのに、なかなか上達しません。チームの中でも、一番下手なんです」

質問サイトに寄せられていた、ある親御さんの相談です。

平日は、キャッチボールやバッティングセンターにも付き合っているそうです。

練習した分だけ、上手くなってほしいですよね。それなのに、練習した通りにできない。試合でも、なかなか結果が出ない。

じつは、うまくいかない時期にも、上達は止まっていないことがあるんです。

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

なぜ、練習を続けているのに、上達が見えない時期があるのか?その時期に、親は何をしてあげればいいのか?

私は、広島東洋カープとボストン・レッドソックスで、トレーニングコーチを務めてきました。

今回は、私の35年以上の研究と指導経験をもとに、運動の上達を調べた研究も交えてお伝えします。

この内容を知れば、思うように上達しないとき、お子さんのどこを見ればいいかがわかります。どう声をかければいいかも、わかります。

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それでは、本編を進めていきましょう。

上達が止まって見える時期に、親にできること

練習を続けているのに、教わった通りにできない。

試合でも、結果が出ない。そんな時期は、親御さんも判断に困ることがあります。お子さんが上達しているのかどうかが、分からないからなんです。

ふだん親御さんが見ているのは、プレーの結果です。

ヒットが出たか、エラーをしなかったか。そこが変わらなければ、上達している気がしません。

ここではまず、そんなときに親御さんが考えがちなことを見ていきます。

次に、うまくいかない時期に、お子さんの体の中で何が起きているのかをお伝えします。

最後に、その時期に親御さんができることを紹介します。

練習しているのに、なぜうまくならないのか

練習すれば、その分だけ、プレーや試合の結果に表れるはず。

そう考えていると、うまくいかない理由は、練習以外のところにあるように思えてきます。

そこで思い浮かぶのが、生まれつきの運動神経です。

質問サイトには、こんな相談も寄せられていました。

「練習から帰ってきても、素振りやバッティング、ランニングと、自主練を欠かさずやっています。それなのに、ほとんど上達しないんです。運動神経の問題なのでしょうか?」

練習は足りているはずなのに、変わらない。それなら、もう生まれつきの差なのかもしれない。そう考え始めると、親にできることは、何も残っていないように思えてきます。

では、練習してもうまくできない時期が、なぜあるのでしょうか?

なお、野球の才能は、どこまで生まれつきで決まるのでしょうか。関連記事では、それを調べた研究をご紹介しています。

関連記事:【野球力は遺伝?】「うちの子、才能ないかも…」そう思った時に見てください!科学が示す最新の事実

上達は、まっすぐではなく段階的に進む

たくさん練習して変わらなければ、運動神経のせいかと思うのも自然です。

子どもが、どんなふうに上手くなっていくのかをお話しします。

できるようになった動きに、新しいことが1つ加わると、子どもは戸惑います。そして一時的に、プレーが乱れます。思うように伸びなくなることもあります。

この時期を、専門的には「停滞期」、または「プラトー」と呼びます。

コーチに言われたことは、頭では分かっています。でも、いざやってみると、体がその通りに動きません。

新しいことを覚えるときは、必ずこの段階を通ります。その新しいことを覚えると、ぐんと次の段階に上がります。

そこへまた新しいことが加わると、また停滞期が来ます。上達は、この繰り返しで、螺旋階段を登るように進んでいくんです。

たとえば、ゴロを捕るのが安定してきた子が、捕ってから素早く一塁へ投げることを教わったとします。すると、しばらくは捕る動きまでぎこちなくなることがあるんです。

では、うまくいかない間、体の中では何も起きていないのでしょうか?

それを確かめた研究があります(Shamshiri, 2025)。

対象は、平均16.2歳の女子生徒84人です。全員、バスケットボールを習ったことがありません。

生徒たちは、3日間で162本、ジャンプシュートを練習しました。練習のしかたは、グループごとに違います。

ここでは、結果がはっきり分かれた2種類の練習を紹介します。

1つは、4m・5m・6mの距離を、1日に1つずつ打ち続ける練習です。たとえば1日目は4mだけを、2日目は5mだけを、くり返し打ちます。

もう1つは、1本ごとに体の使い方を変えて打つ練習です。距離は、5mのまま変えません。

たとえば、利き手と反対の手で打つ、片手で打つ、腰を右にひねってから打つ、といった変え方です。

練習中によく決まっていたのは、1日に1つの距離を打ち続けた生徒たちでした。

3日後に、4m・5m・6mの距離を、ばらばらの順に打つテストをしました。

すると、結果が逆になりました。体の使い方を変えて練習した生徒たちのほうが、正確に決めていたんです。

練習したことのない7mから打つテストもしました。このテストでも、体の使い方を変えた生徒たちのほうが、よく決めていました。

練習中のうまさと、時間がたっても残るうまさは、同じではないのです。

なぜ、結果が逆になったのでしょうか?研究チームは、こう考えています。

「1本ごとに体の使い方を変えると、体はそのたびに、違う動き方を試すことになる。そのうちに、自分に合った打ち方を、体が自分で見つけていった」というのです。

野球で言えば、初めて対戦する投手の球にも、自然と対応できるようになっていたということです。

ちなみに、ティーの高さや打つコースを、毎回変えるバッティング練習があります。関連記事では、この練習を高校生で確かめた研究をご紹介しています。

関連記事:【試合で打てない原因】芯でミートする確率が63%→71%にUPした練習法!4週間で変わった高校球児実例

結果だけで決めつけず、続けるのを支える

では、うまくいかない時期に、お子さんのどこを見ればいいのでしょうか?

目を向けたいのは、お子さんが今、取り組んでいる中身です。そのために、親にできることを2つお伝えします。

先ほどお話ししたように、停滞期は、できるようになった動きに新しいことが加わったときに来ます。

ですから、1つ目は、お子さんが今、新しく何を覚えている途中なのかを知ることです。

練習を見に行っている日は、見ていれば分かることもあります。たとえば、新しいポジションを任されている、といったことです。

練習に行けなかった日は、チーム練習のあとに聞いてみてください。

「今日、コーチに新しく教わったことある?」

たとえば、「打ち方を少し変えるように言われた」といった答えが返ってくるかもしれません。

新しく教わっていることが分かったら、お子さんは今、それを覚えている途中です。うまくいかないとすれば、停滞期にいるからだと考えられます。

2つ目は、取り組んだ中身を言葉にして、声をかけることです。

練習で身につけたことが、試合でそのまま結果に表れるとは限りません。

それを示した研究があります(Burkaitė, 2025)。

対象は、13歳前後のバスケットボール選手37人です。選手たちは2つのグループに分かれて、8週間で16回の練習をしました。

1つのグループは、ふだんどおりの練習です。同じボールで、同じようにシュートをくり返します。

もう1つのグループは、練習のたびに、シュートを打つ条件を変えました。

たとえば、片足で打つ、片目を閉じて打つ、小さなハンドボールで打つ、といった条件です。

練習のあとに、決められた位置からジャンプシュートを打つテストをしました。このテストでは、条件を変えて練習したグループのほうが、大きく伸びました。

その伸びは、2週間後のテストでも保たれていました。

さらに、2週間後には1対1のミニゲームもしました。攻める人と守る人が1人ずつで、5分間に何点取れるかを数えるゲームです。

ところが、このゲームの得点には、2つのグループの差がありませんでした。シュートのテストでは差がついたのに、ゲームの得点では差が見られなかったんです。

研究チームは、練習とゲームの条件が大きく違うことを、理由の一つに挙げています。

野球の試合も、練習とは条件が大きく違います。バッティングでは、相手の投手がいて、打席の緊張感も加わります。

だから、試合の結果だけを見ていると、練習で身についたことが見えにくくなる場合があるんです。

そこで、親御さんに言葉にしてほしいのは、その日に取り組んだ中身です。

たとえば、「今日は、ゴロを捕ってから、すばやく一塁へ投げる練習をしたんだね」と声をかけます。

こう声をかけると、お子さんは、自分が今何を覚えている途中なのかに気づけます。

結果が出なくても、前に進んでいることが分かります。親が結果だけで自分を見ていないことも、伝わります。

それが、停滞期の間も練習を続ける支えになります。

また、試合のあとにかける言葉にも、コツがあります。関連記事では、その声のかけ方をご紹介しています。

関連記事:【逆効果】野球でその褒め方をすると、子どもは伸びない

今回のまとめ

新しいことを覚える途中には、うまくいかない停滞期があります。

その間も、お子さんの体は、自分に合った動き方を探しています。そう知っていれば、結果だけで「上達していない」と決めつけずに、練習を支えてあげられます。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

お子さんが、なかなか上達しないとお悩みでしたら、いつでもご連絡くださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

1. Effect of Contextual Interference and Differential Learning on Motor Skill Development and Motivation in Novice Basketball Players(PMC12481044)

2. Differential shooting training in youth basketball players: an analysis of performance effects(PMC12675199)

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