【逆効果】野球でその褒め方をすると、子どもは伸びない

【逆効果】野球でその褒め方をすると、子どもは伸びない

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

週末の試合。

チャンスに三振した我が子に、帰りの車でどう声をかけるか?

お子さんへの試合後の第一声は、次に向かう気持ちを左右します。ですから今日は、声かけの3つのポイントをお伝えします。

お子さんが自分で考え、自ら前に進めるようにサポートしてあげてください。

こんにちは。

ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

「なぜあそこで振らなかったんだ」
「ちゃんと練習したはずだろ」

結果より過程が大事」とわかっているつもりでも、結果につい一喜一憂してしまう。そんな保護者の方に、ぜひお伝えしたいことがあります。

お子さんの気持ちは、親の声かけで大きく変わります。その積み重ねが、練習への向き合い方にも関わってきます。

そこで今回は、私の35年以上の研究と指導の中で見つけた具体例をわかりやすく説明します。

今回の内容を知れば、試合後の最初の声かけが変わります。

ぜひ、最後までお付き合いください。

「結果より過程」が大切とわかっていても…

いざ試合となると、「ヒットか凡打か」という、お子さんの結果に目が向いてしまいますよね。

気をつけたいのは、お子さんにかける声の内容です。言葉の違いで「やる気を奪う」こともあれば「やる気が高まる」こともあります。

声かけで子どもの受け止め方が変わることは、すでに感じている方も多いと思います。ただ、具体的な言葉のかけ方に迷うことがあるかもしれません。

ですから、今すぐ使える「3つの声かけ」を紹介します。

なぜ、やる気がしぼむのか?

「もっと頑張ってほしい」

その気持ちから、つい厳しい言葉が出てしまうのは、痛いほどわかります。期待しているからこそ、ですよね。

でも、その第一声が、お子さんにとって「批判」として届くと、やる気はしぼみやすくなります。

心理学では、人は自分で決めて動けると感じるときに、やる気が続くという考え方があります(自己決定理論)。

親が「ヒットを打ったか」「勝ったか」という結果ばかりを追い求めると、どうなるでしょうか?

子どもの中で、野球が「自分がやりたいこと」から「親の顔色を見ながら続けるもの」へ変わってしまうことがあります。

すると、「自分で選んでやっていることだ」という感覚が薄れていく。その結果、子どもの「自分で考えて動く感覚(自律性)」が育ちにくくなることがあります(De La Cruz, 2021)。

さらに、こんな研究もあります。

能力や結果そのものを褒められた子どもほど、うまくいかなかったときに強い不安を感じます。そして、次の挑戦を避けやすくなるというのです(Xing, 2018)。

親が「結果」という物差しで期待をかけ続けると、野球は「楽しい」から「結果を出すための義務」になってしまいます。

最悪のケースとして、野球をやめたくなる気持ちにつながる可能性も指摘されています(De La Cruz, 2021)。

なお、試合後の会話が子どもの積極性にどう影響するかについては、関連記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:【落とし穴】少年野球で「もっと積極的に!」が逆効果になる2つの本当の理由

「過程を褒める」は正しいけど…

「結果ではなく、過程を褒めよう」。

この考え方は、まったく正しいです。でも、「過程の事実」を見つける視点は見落としがちかもしれません。

たとえば、「ヒットか凡打か」という結果に向いている限り、凡打した瞬間に褒める材料が見つけにくくなります。

「過程を褒めたくても、褒めるところが見つからない」。そう思うことはありませんか?

でも、「見る場所」を変えればどうでしょう。「グラウンド上の具体的な事実」を探す。そんな目を持つと、かける言葉が変わってきます。

事実、三振の中にも褒められることが見つかる場合があります。大切なのは、「事実を見つける視点」、ただそれだけなんです。

次は、その具体例を見ていきましょう。

ちなみに、子どもの成長のどこに目を向けるべきかについては、関連記事でも取り上げています。

関連記事:野球をする子どもの成長と上達にどのように焦点を当てるべきか?

試合後のひと言を「過程の事実」に変える3つの視点

必要なのは、才能や結果ではなく、お子さんの「工夫や準備」という事実を認めることです。

この「事実を認める声かけ」が、失敗から立ち直る力を支え、次の挑戦に向かいやすくします。

では、今日から試合後に使える声かけを、3つの視点で紹介します。

①自分で試した工夫に対して
「低めのボールを捨てて、高めを待つ工夫をしてたね」

②準備・観察の事実に対して
「ベンチにいるときも、相手投手を見てタイミングを合わせていたね」

③失敗後の切り替え
「エラーの後、すぐに次のプレーに備えて声を出し直したね」

じつは、褒めるときにも注意が必要なんです。たとえば、ヒットを打ったという結果そのものを褒められた子どもが、次の試合でノーヒットだったとします。

結果だけを基準に見られていると、ノーヒットだったときに「自分には能力がないからだ」と受け止めやすくなります。すると不安が強まり、次の課題に取り組む時間が短くなり、実際の伸びも小さくなりました(Xing, 2018)。

一方で、工夫や準備といった「事実」を認められた子どもは、どうだったでしょうか?

工夫や準備に目を向ける声かけなら、失敗を能力だけの問題にせず、次の行動へ気持ちを切り替えるきっかけになります。

「あの三振は、新しい打ち方を試した結果だね」

親がこうやって事実を言葉にしてあげる。それだけで、お子さんが、次に向かいやすくなります。

さらに、試合後の具体的な声かけ例については、関連記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:【大谷翔平の野球ノートに学ぶ】野球が伸びる子の共通点 _ 親が無意識にしている間違い

今回のまとめ

「期待の中身」を、結果から過程の事実へ変えてあげましょう。

それは、野球への向き合い方を整えるだけでなく、お子さんの表情や反応が少し変わるかもしれません。

まずは、お子さんが「自分で決めて実行した工夫」を1つ見つけて、ほめてみてください。

きっと、お子さんの顔が変わるはずです。

お子さんの野球のことで、何かお困りのことがあれば、いつでもご相談ください。笑顔で成長できるよう全力でサポートします。

それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。

次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡くださいね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


参考文献

1. The Father in Youth Baseball: A Self-Determination Theory Approach (PMC8123654)

2. Effects of Ability and Effort Praise on Children’s Failure Attribution, Self-Handicapping, and Performance (PMC6176062)

3. A systematic review and meta-analysis of motivational climate and youth sport outcomes: examining a hierarchical effects model (PMC12823993)

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