あなたは【運動神経】について、勘違いしていませんか?
今回お伝えする内容です
運動神経が「良い、悪い」と、よく聞きますが・・・
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
私が子どもたちを指導していると、よく耳にするのが「運動神経」という言葉です。そして、運動神経は、遺伝で決まっていると思っている人が、かなりいるようです。
実際に、私自身がよく耳にするのですが、野球経験者のお父さんから、こんなことをよく聞かされます。
「うちは、妻の運動神経が悪いんで・・・」
これは、我が子の野球の上達スピードに不満を感じている時に、つい出てしまうお父さんの愚痴です。
そして、同じような愚痴を複数のお父さんから聞かされました。
おそらく、ご自身は運動神経に自信があるのでしょう。
自分が子どもの頃にできていたことが、我が子にはできない。
そんなストレスから、つい口にしてしまうようです。
あなたは、運動神経と聞いて、パッと思いつくことは何でしょうか?
運動神経と言うと
- 走るのが速い
- 身のこなしが上手
- 反応が素早い
- 新しいスキルをすぐに身につけられる
- 持久力がある
ほかにも思い浮かんだことがあるかも知れません。
いずれにしても、運動神経が良ければ、速く走れて、ヒットやホームランをたくさん打てて、速いボールが投げられて、フライもゴロも上手に捕れるはず。
だけど、我が子の運動神経は悪いから、なかなか野球が上達しない・・・。
「どうしたら、運動神経がよくなるんだろう?」
お子様の運動神経について、そう考えたことはないでしょうか?
そして、運動神経に遺伝が影響するのであれば、諦めるしかないのでしょうか??
もちろん、遺伝的要素はありますが・・
たとえば、両親ともに身長が高い場合、その子どもも身長が高いことが多いといった、遺伝的要素があります。
そして、髪や皮膚、目の色などは遺伝的要素によって決まります。
両親と顔が似ているのも遺伝的要素ですね。
あと、血液型もそうです。
このように親から受け継ぐ遺伝的要素はあります。
ですから、骨格や筋肉も遺伝的に受け継いでいる可能性は高いです。
お父さん、お母さんの身長が、それほど高いほうでなければ、もしかしたら、お子様の身長は期待通りに伸びないかも知れません。
ですが、筋力はトレーニングをすれば高められます。
バランスよく筋肉を鍛えることができれば、いずれ速く走ることができます。
ボールを遠くに飛ばす筋力も付けることは可能です。
つまり、これまで何度も説明をした「運動能力」は、本人の努力で高めることができるのです。
では、運動能力について、簡単におさらいしておきましょう
運動能力とは、野球をはじめスポーツをするときに必要な「基礎体力」のことを言います。
それには、「バランス能力」「柔軟性」「筋力」「有酸素性能力」の4つの要素があります。
お気づきかも知れませんが、どの能力も遺伝には関係なく、トレーニングやコンディショニングを適切に行えば高めることができます。
バランス能力とは、体の姿勢を保つ能力です。言い換えると「ふらつかないこと」です。
野球の場合、投げる、打つ、捕る、走るといった全ての動きで、ふらつかないバランス能力が必要です。
もちろん、バランス能力は、トレーニングによって誰でも高めることができます。
柔軟性は、わかりやすいですね。
筋肉や関節の柔らかさのことです。
専門的に言うと「関節可動域内でその関節を動かす」ことを言います。
適切な可動域内で、スムーズに関節を動かせれば、良いプレーにつながります。
また、柔軟性があるということは、ケガの予防にもなります。
やはり、柔軟性も遺伝に関係なく高めることができます。
筋力は、瞬間的に発揮する筋肉の力のことです。
また、野球には筋持久力といって、疲れずに十分な時間筋肉を働かせる能力も必要です。
バッティングで瞬間的な力を発揮できれば、飛距離を伸ばすことができます。
筋力もまた、遺伝に関係なくトレーニングで強くすることができますね。
そして、有酸素性能力。
有酸素性能力は、酸素を効率的に使って筋肉を動かす能力です。
筋肉を動かすためには、酸素がエネルギーのひとつとして必要です。
野球は、マラソンのように長距離を速く走る競技ではないですが、一定の時間内で酸素を体にたくさん取り込める「心肺機能」を高めることで、疲れにくくなります。
もうおわかりだと思いますが、有酸素性能力もまた、遺伝に関係なく高められる能力です。
このように、野球をするために必要な基礎体力、つまり運動能力の各要素は、どれもトレーニングによって高めることができます。
だから、運動神経という言葉の意味を勘違いしているのです
お子様の野球が、なかなかうまくならない理由が、運動神経のせいだと思っているとしたら、運動神経という言葉の意味を勘違いしているのかも知れません。
野球を上達させるためには、まずベースとなる運動能力、基礎体力を高める必要があります。
そして、野球を上達させるためには、もうひとつ必要な要素があります。
それは、「運動センス」です。
運動センスというのは、動きを調整する能力だと思ってください。
それは、敏捷性(びんしょうせい)、巧緻性(こうちせい)、平衡性(へいこうせい)の3つです。
ここでは、運動能力と運動センスの両方が高まることで、野球の上達が効率よくできるということを理解しましょう。
そして、運動能力を一定レベルに上げることで、もうひとつの要素「運動センス」を高めることができるということを理解してください。
敏捷性とは、正確に素早く動く能力です。
野球の全ての動きで、素早く正確に動く敏捷性が必要だと、あなたもイメージできると思います。
もしかしたら、敏捷性と瞬発力を混同している人がいるかも知れません。
敏捷性は、単純な移動速度ではなく、動作の方向を正確に素早く変更する能力です。
一方、瞬発力は、非常に短い時間に大きな力を発揮する能力になります。
その点は、混同しないようにしてください。
巧緻性は、動作の器用さや巧みさです。
バットコントロールやグラブさばきなど、巧緻性もまた野球の上達のために高めたい能力ですね。
そして、平衡性。
平衡性とは、崩れた動作を回復する修正能力のことをいいます。
たとえば、投手のバント処理をイメージしてください。
投球後に素早くダッシュして、急ブレーキで止まって捕球して、姿勢をすぐに送球方向に修正していますね。
運動センスの3要素について、おわかりいただけたでしょうか?
そして、運動能力がベースにあることで、運動センスを高められるということが、イメージできるでしょうか?
運動センスもまた、トレーニングを繰り返すことで高めることができます。
その点は、理解できたと思いますが、いかがですか?
私の想像ですが、「運動神経」の意味を、運動能力と運動センスを合わせた総合的な能力のことだとイメージしている人が多いように思います。
運動神経が「良い悪い」は間違いです
ここまでお話を進めてきて、野球の上達に必要な要素が7つあることはお分かりいただけたと思います。
運動能力の4要素、バランス能力、柔軟性、筋力、有酸素性能力。
運動センスの3要素、敏捷性、巧緻性、平衡性。
これらは全て、適切なトレーニングをすることで高められる能力です。
では、運動神経が、運動能力と運動センスに、どうかかわっているのでしょうか?
もちろん、運動神経の役割は重要です。
しかし、運動神経が良い悪いと考えるのは、今日までにしましょう。
ここからの説明は、ちょっと難しく感じるかも知れませんが、できる限り簡単にお伝えします。
私たちが体を動かせるのは、大まかに言うと感覚神経と運動神経が働いてくれるからです。
・脳や脊髄にむけて情報を伝えるのが感覚神経
・脳や脊髄から筋肉に情報を伝えるのが運動神経
たとえば、目で見た情報を脳に伝達するのが感覚神経で、その情報を脳から筋肉に伝えるのが運動神経です。
ですから、運動神経が悪いと言う表現では、情報を伝える神経自体が悪いということになります。
そのため生理学的には、運動神経が悪い、という表現は間違っていて、運動神経支配が悪いということになります。
このあたりの難しい部分は、無理に覚える必要はありませんが、今日からは、認識を変えて、お子様の野球の上達のための、運動能力と運動センスを高める、適切なトレーニングメニューをつくっていきましょう。
運動神経というのは、簡単に言うと「指令の通り道」です。
我々が体を動かせるのは、筋肉を動かせるからです。
筋肉を動かせるのは、脳から筋肉を動かすように指令が出るからです。
あなたも、おそらく「シナプス」という言葉を聞いたことがあると思います。
脳からの指令は、そのシナプスという特別な線のようなものを通って筋肉に伝わります。
つまり、通り道がうまくつながっていないと、筋肉を指令通りに動かせません。
ですから、まずは指令の通り道をつくることです。そして、指令をスムーズに筋肉に伝える仕組みをつくることに焦点を当てましょう。
ボールが上手に捕れなかったり、上手にボールをミートできないのは、まだ指令の通り道が整備されていないだけです。
ですから、もしもあなたが、お子様の野球の上達が遅いと感じているとしても、それは通り道がうまくつながっていないだけです。
その通り道をつくって指令をスムーズに通す方法については、またの機会にお話したいと思います。
いかがでしょうか?
今回は、運動神経について考えてみました。
運動神経を「良い悪い」で判断するのは、正しくありません。
神経の通り道を適切に整備することで、お子様の野球は上達します。
今回は、そのことを理解しましょう。
それでは、次回もあなたの役に立つ情報をお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
今回は以上です。
それでは、またお会いしましょう。
ぜひ、あなたの感想を聞かせてください
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または、「こんなことが知りたい」ということがあれば、どんなことでも大丈夫です。
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