【打撃上達】変化球をタイミングよく打てる強打者になるための3つのポイント

【打撃上達】変化球をタイミングよく打てる強打者になるための3つのポイント

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

野球のバッティングは、簡単ではないですよね。

今回は、変化球をタイミングよく強打するためのポイントを解説します

バッティングは、一流選手でも10回のうち約7回も失敗してしまいます。

特に変化球の場合、その失敗は、錯視が影響していることを知っていましたか?

ただ、錯視と言われてもよくわからないと思います。それを理解するためには、視覚機能についての理解が必要です。

あなたは今、「視覚機能なんて難しいことを言われてもわからない」と思ったかもしれません。

でも、これからお伝えする内容を理解することで、バッティングでタイミングよく、ボールを強打するためのポイントがわかります。

もちろん、この先の内容を確認しないと、バッティングのレベルアップに必要なポイントは、わからないままになってしまいます。

ということで、今回は、変化球をタイミングよく打つためのポイントを解説していきます。

ただ、学童野球の場合は、カーブなどの変化球を禁止している場合があると思いますが、緩急をつけるチェンジアップは許可されていると思います。

ですから、それも含めて変化球の打ち方ということで解説していきます。

これまで、何となく「こんな感じかな?」という感覚で変化球を打っていた人が多いと思います。

変化球を思うように打てないという場合には、もちろん大切な内容ですし、変化球を打つのはけっこう得意だという場合でも、錯視について知れば、さらにバッティングが向上します。

ですので、ぜひ最後までご覧ください。

それでは、はじめていきましょう。

カーブが曲がって見えるのは目の錯視だった?

変化球をタイミングよく打つためのひとつめのポイント、錯視について解説します。

変化球を上手に捉えるためには、とても大切なポイントがあります。

それは、まず目の機能を理解することです。

専門的には、視覚機能と言いますが、投球されたボールをしっかり見ているつもりでも、これからお伝えする3つの内容を知らなければ、ただ何となくボールを見ているのと変わりはありません。

では、その3つのポイントは何かというと、ひとつは、我々には、ボールがどのように見えているのかということです。そして、ボールの軌道についての錯視を、具体的に知ることと、ボールをどのように見るといいのかということです。

これから解説する内容を取り入れることで、これまでと違ったバッティングができるようになります。

人間の視覚と錯視のメカニズム

私たちの目は、見ているものが全てはっきりと見えている訳ではありません。

実際に見ている中心部と周辺部との間では、解像度の差が非常に大きいのですが、中心部は中心窩(ちゅうしんか)という部分の働きで、周辺部と比較して高い解像度で処理されます。

言い換えると、中心部をとてもはっきりと見ていると言えます

中心部で見えるものは、とてもくっきりとしていますが、その周りのものは、少しボンヤリと見えているのです。ですが、普段はこの違いに気づかずに、すべてがスムーズに見えていると感じています。

でも、ふとした瞬間に、目の中心で捉えていた物が動いて周りのボンヤリとした部分に移ると、私たちの目は一瞬「えっ?」となります

少し専門的に表現すると、「中心視から周辺視野へ移動することで、大きな空間的・時間的な不連続性が現れてしまう」となります。この時に空間や時間のギャップを感じてしまうんです。

例えば、カーブが投げられた時、ボールが近づいてきて手元で急に曲がって見えるのも、実はこの目の仕組みがいたずらしているからなんです。

視野の範囲と中心視の重要性

私たちが正面を見た時に、眼球を動かさないで見える空間の範囲を「視野」といいます。

人間の正常な視野の範囲は、上側60度、下側70度、耳側100度、鼻側60度といわれています。

視野は、左右にそれぞれ100度くらいありますが、視野の中で必要なものの色や形を明確に識別できるのは、注視点から1〜2度の範囲しかありません

そう聞くと、少し驚くかもしれませんね。

もう一度言いますね。
視野の中で必要なものの色や形を明確に識別できるのは、注視点から1〜2度の範囲しかありません。

この1〜2度の範囲を中心視といいます。そして、この最も感度の高い中心視を見る能力を視力といいます

また、中心視の周りで、必要なものを識別できる4度〜20度の範囲を有効視野といいます。

加えて、中心視と有効視野以外の視野の範囲を、周辺視野といいます。

周辺視野は、ぼんやりと見えていても、あまり意識が集中していません。ですから、動くものは認識しやすく、動かないものは認識しにくいという傾向があります。

打席で向かってくるボールを見ている時、ボールが中心視から周辺視野に移動してしまうと、自分ではしっかり見ているつもりでも、ぼんやりとしか見えていないのです。

ですから、ボールが急に曲がったと錯覚をしてしまう訳です。

変化球の軌道の秘密を解明

変化球をタイミングよく打つためのふたつめのポイント、ボールの軌道について解説します。

変化球を上手に捉えるためには、ボールの軌道についての理解も必要です。

実は、カーブボールの軌道は、物理的に計測できる現象です。

カーブをはじめとする変化球は、ボールのスピンの仕方によって力の不均衡が生み出され、真っすぐな線から外れていきます。そして、滑らかな放物線に沿った軌道を移動します。

カーブの物理学をちょっとだけ解説

下の図の青い線は、各点におけるカーブボールの物理的な速度を示しています。

赤い線は、球を回転させる力であるモーメントごとに知覚した速度との差を示します。知覚した速度」というのは、バッターが感じた速度のことです

モーメントという言葉も、難しいと感じるかもしれませんね。モーメントというのは、ある点を中心として、運動を起こす能力の大きさを表す物理量のことですが、よくわからなければ無理に理解する必要はありません。

肝心なのは、次のことです。

ボールが実際には滑らかな放物線を描いているにもかかわらず、打者には手元で大きく曲がって落ちるように見えるということです

それは、ボールのスピンによって生じる力が、真っすぐな線から外れることで錯視が生じるからなのです。

目で見えるのと実際はちょっと違う

また、先ほどの図の結果から判断できるのは、以下の通りです。

ホームベースから20フィート、約6.1 m離れたバットとボールが当たると予想される地点で、バッターの注視点が変化することです。

バットとボールが当たると予想される地点というのは、バッターが「このボールは打てる」と予想することを意味します

バッターが打つことが可能だと思った場合、この結果では、ホームベースから6.1m離れた地点を目印としてスイングをしようとします。

このプロセスは、野球のバッティングにおける重要な判断の一つです。

ただ、この実験の結果では、バットとボールが当たると予想される地点で、バッターの注視点、つまり見たいポイントに変化が起こっています。

このケースでは、バッターはボールがもっと早く動いているように感じている可能性があります。

このような認識のズレが、バッターのタイミングに影響を与えると考えられます。

ボールがホームベースから6.1mメート離れたところに来たとき、バッターは、その後のボールがどこにあるのかしっかり見るために、少し目を動かします。これを「目をシフトさせる」と言います

それは、変化するボールの軌道をしっかり捉えようとしているからです。

その時、ボールがどのような曲がり方をしているかを予測しています。今回のケースでは、曲がり方を示すパラメーター、離心率が10度になっています。

離心率という言葉も難しいので、無理に覚える必要はありませんが、とても簡単に言うと、ボールが地面に向かってどれくらい傾いて飛んでくるかを表していると考えてください。

バッターは、その傾きを見て、「このボールはこう変化するんだな」と予測しているのです。

ただし、その予測は簡単ではないので、バッティングは難しい訳ですね。

変化球を打つための「見る技術」とは

変化球をタイミングよく打つための三つめのポイントは、見る技術です。

ここまでの説明で、我々がものを見るときにはっきり見えている部分は、中心視で見ている部分だということが理解できたと思います。そしてバッターは、向かってくるボールを目で追うために、それぞれの基準で目をシフトさせています。

その時、実際のボールの速度や軌道と、バッターが知覚した速度と軌道に違いが生じます

それが、バッティングを難しくしている原因のひとつだということが理解できたと思います。

では、バッティングを向上させるために必要なことを考えてみましょう。

どう見ているかで、ボールの見え方が変わる?

ピッチャーがボールをリリースした直後は、ボールがまだ遠くにあります。

ですから、バッターはどのようにボールが飛んでくるのかを予想するのが、まだ少し難しいです。

でも、ボールが約6メートル手前あたりに来ると、バッターの目はよりよくボールを追いはじめることができます

このときに、ボールのスピードであったり、どんな角度で傾いているかといった情報に対して、バッターがボールをどのように見ているか、つまり、目の動きが、どのタイミングでどう変わったのかが大きなポイントになります。

下の図の各線は、バッターの視野の移動がいつ起こったかを示しています。

例えば、赤い線はその視野の変化が20フィート、約6.1m先。緑は15フィート、約4.6m先。濃い青は10フィート、約3m先。そして、明るい青は5フィート、約1.5m先を示します。

これらの結果から、より長く中心視でボールを見続けることができたバッターほど、グラフの放物線軌道と認知のズレが小さかったことが分かります

中心視でボールを見続けているバッターは、知覚上の不連続な移行が少なく、ボールがとてもスムーズに動いているように感じます。

これは、一番良く見える中心視でボールをずっと追っているからです。そうすると、ボールの軌道を正確に見ることができるので、どこでバットを振ればいいのか判断が可能になります。

では、中心視でボールをみ続けるためには、どのような方法があるのでしょうか?

最後に、バッティング向上の重要ポイントについてお話をします。

視線の固定で変化を見抜く

野球をしていると、カーブボールが、「手元で大きく曲がった、落ちるように曲がった」というように見えることがありますね。

しかし、それは中心視でボールを捉えられていない「目の錯視」にすぎないのです。

つまり、カーブボールなどの変化球を打つためには、より長く中心視でボールを見続ける「視線の固定」が重要だといえます。

また、バッティングにおける視線の動きは、外部の視覚情報だけで動いているのではなく、体の動きとの関連で決定されます。

ですので、視線の固定をするためには、視覚能力の強化トレーニングと、体の動きを効率化するフィジカルトレーニングをすることがおすすめです。

今回、そのトレーニング方法までお伝えすると、とても長くなってしまうので、それは、また別の機会にお伝えできればと思います。

なお、ホロス・ベースボールクリニックでは、アメリカの実践例を参考にして、打者に必要な視覚能力の強化トレーニング、ビジュアルトレーニングも、パーソナルトレーニング指導に取り入れています。

ご興味のある方は、ぜひお問合せ下さい

今回のまとめ

いかがでしたか?

今回は、変化球をタイミングよく打つためのポイントをお伝えしました。

人間の目は、全てを同じくらいはっきりとは見ておらず、中心視のみが鮮明に見えています。

そのため、ボールが中心視から周辺視野に移動する際に、視覚に空間的・時間的なギャップが生じ、カーブが手元で大きく曲がるように見える錯視が起こります。

実際のカーブの軌道は、物理的な現象に基づいていて、ボールのスピンによって決まった放物線を描いています。

バッターはこの放物線軌道を中心視で見続けることで、知覚上のギャップを減らし、カーブの軌道と認知のズレを小さくすることが可能です。

目をシフトさせるタイミングが早ければ早いほど、ボールの軌道を正確に認識しにくくなります。ですから、ボールを中心視で追い続けることがバッティング向上のカギになります。

そのためのトレーニングについては、またの機会にお伝えしたいと思います。

今回は以上です。

次回もまた、野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

引き続き、野球の上達のために頑張っていきましょう。

それでは、またお会いしましょう。

参考文献

Bahill T, Baldwin DG(2004) The Rising Fastball and Other Perceptual Illusions of Batters.In:Hung G,Pallis J,editors.Biomedical Engineering Principles in Sports.Kluwer Academic.pp.257-287

Transitions between Central and Peripheral Vision Create Spatial/Temporal Distortions: A Hypothesis Concerning the Perceived Break of the Curveball.

Arthur Shapiro1*, Zhong-Lin Lu2, Chang-Bing Huang2, Emily Knight3, Robert Ennis4

1 Department of Psychology, American University, Washington, D. C., United States of America, 2 Department of Psychology, University of Southern California, Los Angeles, California, United States of America, 3 Mayo Clinic, Rochester, Minnesota, United States of America, 4 SUNY College of Optometry, New York, New York, United States of America

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