【4週間で変化あり】パワー不足でも大丈夫!体の成長が遅い子の野球が上達する科学的アプローチ

今回お伝えする内容です
【4週間で変化あり】パワー不足でも大丈夫!体の成長が遅い子の野球が上達する科学的アプローチ
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
今回は、「野球のスキルアップに体格は関係ない」というお話をします。
しかし、「そう言われても、うちの子は…」そう思われたかもしれませんね。事実、体の大きい同級生と比べると…
「うちの子と打球速度も飛距離も全然違う」
「肩の強さも比較にならない」
でも、諦める必要は全くありません。体格差を埋めるエビデンスのある方法があるのです。
興味深いことに、運動能力が低いと感じているお子さんほど、大きな変化が現れるという研究結果があるんです。
これから、その方法について詳しく説明していきます。
これらは、私の35年以上の研究と指導実績が実証している内容です。
今回の内容を最後まで確認すれば、「うちの子も必ず野球がうまくなる」と確信が持てることでしょう。
ぜひ、最後までお付き合いください。
体の成長が遅くてもスキルアップできる!
「体がなかなか大きくならない…」
「同級生との体力差が埋まらない…」
お子さんを見て、そう感じたことはありませんか?
でも、大丈夫です。
なぜかと言うと、野球の上達に必要なのは、「脳と筋肉をつなぐ神経の通り道」をつくることだからです。その通り道づくりに「体の大きさ」は関係ありません!
これから、脳と筋肉の連携を効率的に鍛える方法について解説します。
成長スピードが遅くてもスキルアップは可能
小中学生の野球では、チームの中心選手は「体の成長が早い」お子さんが多いですよね。
「うちの子は体が小さくて力が弱く、出場の機会が少なくて…」
このようなご相談をたくさんいただきます。確かに、体の成長には個人差があります。試合の出場機会が少ないと、経験値も増えません。親としては、お子さんの成長が気掛かりなのは当然ですね。
でも、ここで朗報があります!
体が小さいから、力が弱いからと心配する必要はありません。お子さんの体の成長スピードが遅くても、野球のスキルアップは十分に可能なんです。
実は、科学的な方法で、お子さんの野球スキルが伸びる可能性があります。
そのカギとなるのが、統合神経筋トレーニング(INT: Integrated Neuromuscular Training)です。
これは、神経系と筋系の機能を向上させるトレーニング方法です。お子さんの身体のバランス能力、協調性、反応速度などを高めます。
成長期のアスリートのパフォーマンス向上や、ケガの予防にも効果があるとされているのです。
では、どのようなトレーニングか、具体的に見ていきましょう。

統合神経筋トレーニングとは
INTトレーニングは、神経系と筋系のつながりを最適にします。お子さんにとって効率的で、正確な動きを引き出すトレーニングです。
まず、神経系のトレーニングは、脳からの指令を筋肉に伝える通り道を強化します。
筋系のトレーニングは、筋肉の出力・持久力・柔軟性などを向上させます。
そして、協調運動のトレーニングは、複数の筋肉を同時に正確に動かす能力を鍛えます。反応速度も高まるのです。
さらに、バランス能力のトレーニングは、身体のバランスを維持する能力を向上させます。
感覚入力のトレーニングは、体の内外からの感覚情報を正しく認識させ、適切な動きにつなげます。
野球のスキルアップは、練習の質や方法、そして何より脳の機能を鍛えることで大きく変わります。ですから、お子さんの体の成長スピードが遅くても、長期的な視点を持つことが大切なのです。
INTトレーニングは、日常生活でも行うような基本的な動きが取り入れられ、数多くのトレーニングメニューがあります。
野球のスキルアップを考えた場合の、ほんの一例をあげると以下のようなメニューがあります。
- ランジ
- スクワット
- 片足で跳ねる「ワンレッグホップ」
- 全身を使って体を動かす「スパイダーマン」
- ジグザグシャッフル
これらの運動は、お子さんの体力や成長に合わせて、無理なく始められるのが良い点です。
そのほか、野球にとって効果が期待できるのは、ショートダッシュ。10mほどのショートダッシュが、スイング速度の改善につながるという研究結果があるんです。
意外でしたか?
また、 反復横跳びは、少年野球選手の投球速度向上に有効だとされています。
正しいトレーニングを続ければ、お子さんの野球スキルは着実に向上していくのです。
なお、トレーニングは意図的に取り組むと効果が高まります。それについては、【練習は質が9割】驚くほど上達!親子で始める「意図的な練習」3つの極意をご確認ください。
しかし、トレーニングは、現実的に課題が多いようです。

ただ、闇雲にトレーニングをしても…
「子どもにどんなトレーニングをさせればいいですか?」
トレーニングは、専門的な知識がないと、何をどれくらいすればいいのかがわからないですよね。
闇雲にトレーニングをしても、本来鍛えるべき部分を鍛えられない可能性も高まります。
「少年野球選手の投球速度およびバットスイング速度に関わる体力要因」という論文では、こんな指摘があるんです。
少年野球の指導現場では、指導者が体力トレーニング方法や体力向上方法について知識不足であり、過不足によるスポーツ障害の発症に関する不安を抱えている。
トレーニングは、お子さんの現状の体の状態を知ってから、行うのが正しい手順。その上で、何をどれくらい行うか?
それを判断するには、専門家の視点が必要です。
これはむしろ、これから野球の動きを体に覚えさせる成長期の子どもにこそ必要な視点です。
お子さんの可能性を最大限に引き出すためにも、ぜひ専門家の意見を取り入れるようにしてください。
ちなみに、トレーニングの効果を高めるには、休息とのバランスが大切です。それについては、【野球センスを意図的に作る】”5分ボーっ”で脳の配線工事!最強の反復&休息法で解説しています。

INTトレーニングの事例紹介
適切なトレーニングに取り組めば、野球のスキルは伸びるのです。
脳と筋肉の連携を効率良くすれば、体を思い通りに動かすことができるようになります。
その点で、INTトレーニングは「脳を育てる」トレーニングと言えますね。これは、体の成長スピードに関係なく鍛えることができるのです!
たとえば、スペインの学校で行われたある研究があります。11~12歳と15~16歳の生徒を対象に、1回20分間のINTを週2回、体育の授業に取り入れました。
すると、わずか4週間で、下半身・上半身のパワー、腹筋の持久力、そしてスプリント能力が大きく向上したのです。特に、元々運動能力が平均より低かったお子さんたちほど、その効果が顕著でした。
これは、子どもたちの神経系が持つ「ゴールデンエイジ」のおかげだと考えられます。
あと、トレーニングの効果を高めるには、適切な食事管理が必要ですね。それについては、【食事で差がつく】子どもの野球がもっと上手くなる!親が知るべき3つのポイントをチェックしてみてください。

長期的視点が重要!
今は、体が小さいとか、運動能力が低いと焦る必要はありません。
INTトレーニングのように、神経系に働きかけるトレーニングに目を向けてみてください。
そうすれば、野球のスキルはもちろん、運動能力全体の土台がしっかり築かれます。お子さんの眠っている可能性を、グンと引き出してあげましょう。
実は、野球の上達には、もうひとつ大切なことがあります。
トップレベルの野球選手は、筋力や心肺機能だけでなく、「認知的側面」が非常に優れているのです。
試合状況の把握、瞬時の意思決定、相手の予測などがあげられます。また、プレーの中での動きの調整、プレッシャー下での実力発揮なども重要な要素です。
これらもまた、脳の高度な情報処理なしには実現できません。でも、これらも体の大きさに関係なく伸ばせる能力なんです。
詳しくお伝えしたいところですが、これについては、またいずれ特集したいと思います。

今回のまとめ
体の成長スピードに関わらず、「統合神経筋トレーニング(INT)」という神経と筋肉の連携を鍛える方法で、野球のスキルアップが可能です。
ショートダッシュや反復横跳びといった身近な練習も、スイングや投球速度の改善に有効です。
ただし、やみくもなトレーニングは非効率なため、専門家の視点を取り入れて、お子さんに合った方法で行うことが大切です。
肝心なことは、お子さんの進歩をしっかり把握しながらサポートすることです。
わからないことがあれば、いつでもご相談ください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
Castillo, D., Marqués-Jiménez, D., Bertollo, M. et al. A systematic review and meta-analysis of various injury prevention programs in youth soccer players. BMC Sports Sci Med Rehabil 17, 190 (2025). https://doi.org/10.1186/s13102-025-01246-8
Xu, F., Xu, J., Zhou, D., Xie, H., & Liu, X. (2022). A Bibliometric and Visualization Analysis of Motor Learning in Preschoolers and Children over the Last 15 Years. Healthcare, 10. https://doi.org/10.3390/healthcare10081415.
少年野球選手の投球速度およびバットスイング速度に関わる体力要因
Liu P, Liu Y, Hao X, Cheng N, Kang J, Xiao Z, He P, Yan J. The impact of an 8-week integrated neuromuscular training on strength, speed, and agility in military personnel: a randomized controlled trial. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2025 May 22;17(1):127. doi: 10.1186/s13102-025-01172-9. PMID: 40405304; PMCID: PMC12096582.
Alonso-Aubin DA, Moya Del Saz I, Martínez-Guardado I, Chulvi-Medrano I. An Integrative Neuromuscular Training Program in Physical Education Classes Improves Strength and Speed Performance. Healthcare (Basel). 2025 Jun 8;13(12):1372. doi: 10.3390/healthcare13121372. PMID: 40565399; PMCID: PMC12193645.
Zwolski C, Quatman-Yates C, Paterno MV. Resistance Training in Youth: Laying the Foundation for Injury Prevention and Physical Literacy. Sports Health. 2017 Sep/Oct;9(5):436-443. doi: 10.1177/1941738117704153. Epub 2017 Apr 27. PMID: 28447880; PMCID: PMC5582694.
オンラインレッスンをご用意しています

野球初心者のお子様と、一緒に楽しく学べるオンラインレッスンです。
野球初心者の上達には、こちらのオンラインレッスンがお勧めです。

ぜひ、あなたの感想を聞かせてください
今回の内容について、あなたの感想を聞かせてください。
または、「こんなことが知りたい」ということがあれば、どんなことでも大丈夫です。
野球をしていて「?」があった時には、すぐに私に質問をしてください。
小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生など、野球をしているすべてのプレーヤーの質問にお答えします。
そして、今回の情報が、あなたのお知り合いにとっても有益だとしたら、どうかお知り合いに情報をシェアしてください。
公式メルマガで、最新情報を入手してください
ブログの更新情報を、Holos Baseball Clinic 公式メールマガジンでお送りします。
野球に必要な
- 運動能力向上の方法
- 運動センス向上の方法
- トレーニングやコンディショニングのこと
- ケガ(スポーツ障害)や成長痛の予防
- クラムジー対策
など、エビデンスに基づいた情報を選りすぐり、週1〜2回お届けします。
下のボタンから、今すぐ登録してください。
ほかにも、
- お子様の運動能力と運動センスを高める方法
- 体の成長のための栄養管理について
- トップレベルの野球選手が行なっているセルフケア(コンディショニング)
- 成長痛やスポーツ障害について
などなど、今お困りで情報をお探しでしたら、ホロス・ベースボールクリニックが制作したオンラインコースがお役に立つかもしれません。
今すぐ、個別指導が必要ですか?
お子様の成長痛、肩やヒジのケガで、思うように野球の練習に取り組めていないなど、お困りのことはありませんか?
成長痛やケガからの回復については、あなたのお子様の状況を判断しながら、オリジナルのサポートが必要になります。
石橋が直接状況を確認して、トレーニングの指導を行っています。
そして、現在の体の状態や特徴(長所と短所)を知ることで、ストレングポイントがわかるコンディショニングチェックのサービスも開始しました。
コンディショニングチェックについては、こちらで詳しくわかります。
コンディショニングチェックについても、個別のトレーニング指導についても、小学生はもちろん、中学生、高校生、大学生も対象に行なっています。
ライバルに差をつけたい。
レギュラーを確保したい。
もっと上手くなりたい。
そういった思いがある選手は、ぜひ、ホロス・ベースボールクリニック事務局までご連絡ください。
好評発売中です
ホロス・ベースボールクリニックがお届けするkindleブックが、大好評です。
小学生の野球が、なかなか上達しない理由
「子どもが野球をはじめたが、なかなか思うように上達しない」
「野球をはじめて1年経ったけど、思うように上達していない」
そのようなお悩みの声が寄せられています。そこで、どうして小学生の多くが、野球が上達しないのかについてまとめたガイドブックを作りました。
小学生の場合、上達しないのには理由があります。そして効果的に上達する方法があります。
また、今回は「一流選手になるための心の習慣」についても触れています。
野球の上達にお悩みでしたら、ぜひご一読ください。

強い体をつくり、野球のパフォーマンス向上に必要な情報がオールインワンのガイドブック
野球をする子どもにとって必要な、運動能力のこと、運動センスのこと、強くて大きな体をつくる方法、トレーニングやコンディショニングのことetc…
知っているようで、じつは間違った認識を持っていることがたくさんあるはずです。
あなたのお子様が健康的に成長でき、野球の能力やセンスを高めるために、ぜひご一読ください。
お子様の強い気持ち(メンタル)を養いたい方へ
野球は、気持ちで結果が大きく左右するスポーツです。
身体能力以上に、気持ち(メンタル)のトレーニングが必要かも知れませんね。
野球をする小中学生に必要で具体的な、メンタル強化の方法を60のアプローチにまとめました。
でも、一つ一つのアプローチはとても簡単です。
親子で一緒にメンタル強化してみませんか?
