【知らないと損】”集中”が切れるから野球は上達する!? 脳科学が明かす新事実

今回お伝えする内容です
【知らないと損】”集中”が切れるから野球は上達する!? 脳科学が明かす新事実
お子さんの”集中力切れ”、実は成長のサインかもしれません。
「練習を始めて10分も経つと、集中力が切れてしまう…」
練習中は、常に集中していないと、上達しないと思いますよね。でも、集中が切れるのは、お子さんの脳の仕組みによる”自然な現象”なんです。
驚きましたか?
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
脳科学の研究でわかったのは、この「集中力が切れた」後の時間の使い方が重要だということ。
集中力が切れるのは、実は脳にとって必要なことなんです。なんと、それがスキルを定着させる秘密だったんです。
これからお話するのは、スキルを高めるために”集中力切れを利用する”という意外な内容です。
お子さんの脳は、大人とは違った働きをしています。だから、「とにかく集中し続ける」という大人の常識が、必ずしも上達への近道ではないんです。
もちろん、これらは私の35年以上の研究と指導実績で得たエビデンスに基づく方法です。
これを知れば、お子さんの集中力にイライラすることがなくなります。むしろ、集中力切れを上手に生かして、スキルアップにつなげることができるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
集中力より”集中力切れ”が重要
「スイスイと野球スキルが上達する方法はないの?」
その近道は、脳の機能を理解すること。
お子さんの脳は、練習していない”オフライン”の時間に、練習内容を整理し記憶を強化しています。このプロセスは”記憶の固定化”(Memory Consolidation)と呼ばれるものです。
特に子どもの脳で活発に行われているんです。
ここからは、脳科学の知見に基づいて、”集中力切れ”の時間を爆発的な成長のチャンスに変えるアプローチをご紹介します。
そのカギは、脳が新しいスキルを学習し、記憶を定着させるメカニズム。
それを理解し、日々の練習に活かすことが大切です。
子どもの脳の隠れた能力
練習中にお子さんが集中力を切らし「ボーッ」としていると、「何してんだ!」とイライラしますよね。
でも、実はその時こそ、お子さんの脳は最も活発に働いているんです。
この”オフライン”の間が極めて重要で、記憶を固定化しスキルを脳に定着させるタイミングなんです。
練習中(オンライン)と、休憩中(オフライン)の脳の働きの違いを確認しましょう。
オンライン学習:
実際に体を動かして練習している時間です。
この期間に、スキルは急速に向上しますが、脳は新しい動きの情報をインプットしている段階です。
オフライン学習:
練習をしていない休憩中や睡眠中の時間です。この時間に、脳は驚くべき働きをします。
近年の脳科学研究でわかってきたことがあります。それは、オフラインの時間中に、脳が練習中に得た情報を整理し、記憶を強化・再編成することです。
特に、練習直後の数秒から数分の短い休憩時間(マイクロ・オフライン期間)に、脳(特に記憶を司る海馬)は、学習した運動パターンを繰り返し再生していることが示唆されています。
興味深いのは、練習直後に10秒間、意図的に何もしない時間をつくるだけで、動きを記憶に定着させる効果があることです。
もう少し詳しく見ていきましょう。
なお、小学生の野球スキル向上法については、では、どうすれば初心者の野球スキルは上達するのか?を参考にしてください。

今日からできる新しい練習サイクル
お子さんが野球の動きを習得する過程は、学校の勉強と同じで脳に記憶し定着させることなんですね。
野球の練習は、「走攻守」それぞれにすることが多く、時間が長くなりがちです。ですから、”隙間時間”の無駄をなくして、効率よく練習したいと考える人が多いと思います。
しかし、特に小学生のお子さんには、何もしない時間がパフォーマンスを大きくアップのために必要なんです。
そこで、日々の練習に次のようなことを取り入れてみてください。
- 練習の合間に10秒から20秒の”マイクロ休憩”を入れる
たとえば、ブルペンで数球投げたら、一度マウンドを降りて、10秒から20秒程度、意図的に何もしない。ティーバッティングで10球打ったら何もしない。
練習は、意図的な短い休憩で区切ることが非常に重要です。これは怠けているのではなく、脳に”マイクロ・オフライン”の時間を与える科学的戦略なんです。
このわずかな時間で、脳(特に記憶を司る海馬)は直前に行った動作の情報を繰り返し再生し、整理・統合します。そうすることで、脳の回路がどんどん強化されていくんです。
わずか10秒!
この短い休憩こそが、小学生が持つ”オフライン学習能力”を最大限に引き出すためのカギになるのです。
ここで注意したいのは、何も考えずに「ボーっ」とすることです。または、後で説明する”メンタルプラクティス”を行いましょう。
コーチやチームメイトとの会話はNG。他のことを考えると、脳が自動的に行っている”記憶の固定化”を妨げる可能性があるんです。
練習を短く区切り、インターバルを与えれば、お子さんも集中力を維持しやすくなりますから、一石二鳥ですね。
ちなみに、長時間練習が逆効果になる理由を【最新研究が証明】野球がうまくなるはずの長時間練習は逆効果! それ知らないと危険ですで解説しています。

休憩中はメンタルプラクティス
休憩時間も、スキルアップのために有効な時間にしましょう。
そのために、メンタルプラクティスをおすすめします。これは、体を動かさずに、頭の中だけで動きを鮮明に想像することです。
研究で分かっているのは、ただ動きを想像するだけでも、お子さんのパフォーマンスを向上させられるということ。 それは、実際に体を動かす時と同じように、脳の神経回路が活性化するからなんです。
先ほど説明したマイクロ休憩中や、練習の合間の少し長めの休憩中に、メンタルプラクティスを行ってみましょう。
お子さんに「目を閉じて、最高のボールを投げている自分を想像してみよう」などと促してみてください。
自分の身体がどのように動いているかを想像する”運動感覚的イメージ”は、脳を刺激するので効果があると報告されています。
体を休ませながらも、脳が働き続けるため非常に効果的な方法ですね。
また、セルフトークもスキルアップに効果があります。【次の試合までに】緊張に弱い子のプレーを変える”科学的”な習慣!野球指導歴35年の結論で詳しく解説しましたので、ぜひ確認してください。

今回のまとめ
子どもは練習中よりも、休憩中の“オフライン時間”に動きを記憶へ定着させています。
特に練習直後の10秒程度の何もしない休憩が、スキル習得に大きな効果があります。
休憩中は、動きを頭でイメージする”メンタルプラクティス”が有効です。
練習を区切って短い休憩を挟むことで、集中力の維持とスキルアップの両立が可能になります。
脳の働きを信じて、お子さんの成長を温かく見守ってあげてください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
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