【次の試合までに】緊張に弱い子のプレーを変える”科学的”な習慣!野球指導歴35年の結論

今回お伝えする内容です
【次の試合までに】緊張に弱い子のプレーを変える”科学的”な習慣!野球指導歴35年の結論
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
「あー、また同じことが…」
お子さんの野球の 試合を観ていて、そんな風に感じたことはありませんか?
今回は、あなたのお子さんの、試合での動きを劇的に変える方法をお伝えします。
小中学生の野球では、「え、なんでそんなことになるの?」というプレーを目にしませんか?
- ファーストへの送球が、とんでもない悪送球
- 絶好球を見逃し三振
- 簡単な打球なのにエラーしてしまう
中には、試合だけでなくチーム練習でも動きが固まってしまうお子さんもいます。そんなお子さんの姿を見ると、親として何とかしてあげたいと思いますよね。
ズバリ、今回の内容があなたのお悩みを解決します。
「気持ちが弱いからだ」
「もっとやる気を出せば…」
このような精神論では解決できません。やはり、何事にも原因があるんです。それを今回、私の35年以上の研究と指導で実証されたことを具体的にお伝えします。
お子さんが試合で緊張したとき、脳の中でどんなことが起こっているのか? それを解決する具体的な方法は何なのか?
「試合になるといつもの動きができない…」
そんなお子さんが、今日から変われる内容になっています。次の試合で、「あれ、いつもと違う!」と変化を感じるかもしれません。
ぜひ、最後までお付き合いください。
言葉の力が脳を切り替える
お子さんの野球の試合を観ていると、多くの課題を感じますよね。
そのひとつが、「練習と試合で動きが変わる」ことではないでしょうか?
よくグラウンドでは、「気持ちだよ!」という親や指導者の声かけを耳にします。しかし、お子さんは、気持ちをどうすればいいのかをわかっているでしょうか?
気持ちのコントロールには、脳の仕組みを理解することが重要です。
では、その仕組みをわかりやすく解説していきます。
どうして試合でパフォーマンスが下がるのか?
「練習では上手くいくのに、試合だと動きが固い」
野球は、「メンタルのスポーツ」とも言われます。多くのプロ野球選手でさえ、プレッシャーがかかるとパフォーマンスが著しく低下することがあります。
これは、「チョーキング」と呼ばれる現象に直面しているからです。練習ではできることが、試合でできなくなるのです。
これは、前頭前野(ぜんとうぜんや)の「機能低下」が原因です。前頭前野は、意思決定や集中を司る脳の司令塔。複雑な動作をスムーズに行うための重要な場所なのです。
しかし、緊張しすぎると、この機能が十分に働かなくなります。
その結果、「集中力」や「判断力」が低下してしまうわけです。「体が固まる」「焦りによるミス」といったように、体が思うように動かなくなるのです。
これが、練習でできたことができなくなるカラクリです。しかし、このようなパフォーマンスの低下は防げます!
そのカギとなるのが、セルフトークなのです。
なお、チョーキングについては、【練習だとできるのに…】試合で力を出せない原因は”気持ち”じゃない|科学が突き止めた意外な原因とは?でも解説しています。

プレッシャーのもとで力を発揮するセルフトーク
「練習ではあんなにできるのに…」
試合になると急に硬くなってしまう。 そんなお子さんを見ていると、「大丈夫かな?」と不安になりますよね。
でも、ご安心ください。
実は、お子さんの試合での結果を変える強力なカギがあるんです。 それには、特別な道具や才能はいりません。 必要なのは「心の準備」だけ。
あなたは、「プレパフォーマンスルーティン(PPR)」をご存知ですか?
これは、選手が打席に立つ前などに行う、決まった動作や心の準備のことです。 大規模なメタアナリシス(複数の研究をまとめた分析)によると、PPRには「明確な効果」が証明されています。
このPPRの中核となるのが「セルフトーク」。
つまり、自分自身への声かけです。 「できる!」「大丈夫!」といった心の中でのつぶやきが、パフォーマンスを大きく変えます。
特に注目すべきは、Hedges’ g = 0.70という数値です。これは、単に「改善傾向が見られた」というレベルではありません。明確な効果があったということ。つまり、プレッシャー下でのパフォーマンス向上が認められたのです。
参考までに、Hedges の gは、効果の大きさを客観的に表すものです。具体的には、2群間の平均値の差を標準化した効果量のことなので、0.7は効果が大きいことを意味します。
最終回2アウト満塁…。まさに震えてしまうような場面でも、練習通りの力が発揮できる。それが、セルフトークの力なのです。なお、ルーティンについては【メタ分析で証明】試合で実力を発揮できない子が「結果を出した」今すぐできる科学的解決法で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。

不安な気持ちはコントロールできる
「試合で緊張して力が発揮できない…」
そんなお子さんを、どうサポートすればいいのでしょうか?
実は、ある方法で劇的に変わることが科学的に証明されています。それが「セルフトーク」。心の中で自分に語りかける言葉のことです。
自分自身に「できる!」「集中!」などの声をかけるのがセルフトーク。お子さんは、頭の中で自分のコーチになれるわけです。
興味深い研究がありました。ジュニアテニス選手を対象にしたものですが、セルフトークによって試合結果に明確な差が出たのです。
試合に勝った選手たちは、「ネガティブなセルフトーク」が、明らかに少なかったのです。
その点数の結果がこちら。
- 勝った選手たちの平均が約23点
- 負けた選手たちは平均で約41点
点数が低いほど、ネガティブなセルフトークの量が少なくなります。両者に大きな差があることがわかりますね。
この差は、偶然ではありません。「心の中でどんな言葉を自分にかけるか」。それが、試合の結果を大きく左右するのです。
もちろん、野球でもセルフトークは有効です。では、どうすればポジティブなセルフトークができるようになるのでしょうか?
それは、お子さんが「自分はまだまだ伸びる!」と心から信じることです。セルフトークの有効性は、本人がどれくらい効果を信じているかによって結果が異なることもわかっています。
ですから、この気持ちを育てるには、あなたのサポートが必要です。
今日からできる小さな一歩があります。
それは、お子さんの自分への声かけを見直すことです。練習でも試合でも、自分への声かけを意識してみてください。
ポジティブなセルフトークは、お子さんの未来を変える最強の魔法なんです。

セルフトークは「何に注意を向けるか」で決まる
お子さんが、よく口にすることは、ポジティブですか? 困難に直面したときはどうでしょうか?
お子さんの「心の中の言葉」がパフォーマンスの質を変えます。
そのときにカギとなるのが、「何に注意を向けているか」。これには、2つのパターンがあります。「外部焦点」と「内部焦点」と呼ばれるものです。
外部焦点とは、「自分の体の外」に意識を向けること。
たとえば、動作の結果や環境ですね。 具体的には、「ボールの縫い目に集中!」「ミットのど真ん中を狙う!」といった声かけです。
この外部焦点のセルフトークをすると、動きの正確性や効率性が高まります。研究でも、効果が実証されているのです。
熟練したアスリートでも、外部焦点の方がパフォーマンスを向上したと報告されています。
一方の内部焦点は、「自分の体の内側」に意識を向けます。
「腕をしっかり振る」「股関節を意識する」など、自分の体の動きそのものです。しかし、自分の動きを意識しすぎると、本来自動的に行われる動作の邪魔をする可能性があるのです。
つまり、効果的なセルフトークはこうなります!
「よし、あのコースに投げるぞ!」
「バットの芯でボールをとらえるぞ!」
「打球方向はセンター」
お子さんの意識を「外部のターゲット」へと誘導すること。これが望ましいわけです。
お子さんには、結果に意識を向けるセルフトークをするように促してあげてください。

今回のまとめ
試合で緊張すると脳(前頭前野)の働きが低下し、練習通りのプレーができなくなることがあります。
これを克服するカギが、「セルフトーク」です。 プレッシャー下でもパフォーマンスを向上させることが、科学的に証明されています。
効果的なのは、外部焦点に意識を向けるセルフトークです。
試合に勝つ選手は、ネガティブなセルフトークが少ないという研究結果もあります。
セルフトークは、特別な道具も才能もいらない、誰にでもできる強力なメンタルトレーニングです。
まずはお子さんと一緒に、普段の言葉から意識してみてください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
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