【プロも実践】知らないままで大丈夫?打撃向上のための目からウロコが落ちる7つの秘密
今回お伝えする内容です
【プロも実践】知らないままで大丈夫?打撃向上のための目からウロコが落ちる7つの秘密
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
プロ野球で活躍する一流の選手は、打席に入る時にどのようなことを考え、どのような準備をしているのでしょうか。
今回は、それらについて、プロ野球で数々の一流選手を育てた打撃コーチが、選手にどのような指導をしているのかについてお話しします。
実際に、一流のプロ野球選手が実践していることですから、小中学生の選手にも参考になるはずです。
プロ野球の投手が投げるストレートは、リリースからわずか0.4秒でキャッチャーに到達します。ですから、打者は0.3秒あたりで振り始めないと打つことはできません。
少年野球や中学生の野球でも、ボールは投手のリリースからおよそ0.5秒で捕手に到達します。やはり、0.3秒あたりで振り始める必要があります。
しかし、ただバットを振るだけではヒットは打てません。
その点で、一流の指導者は独自の視点で選手を指導しています。
そのひとつとして、プロ野球選手が18.44mの距離を「3つのゾーン」に分けていることを知っていましたか?
また、あえてボールを見ない工夫をしている選手がいることを知っていましたか?
このような理論を選手に指導しているのが、名伯楽と言われている内田順三コーチです。
今回お伝えする内容を理解して練習を重ねれば、今はバッティングに自信がない選手でも、やがて結果が出るようになります。
逆に、今回の内容を知らないままでは、プロ野球の一流選手が実践するバッティング理論が、わからないままになってしまいます。
ということで、今回は、全てのバッターに必要となるバッティング理論について、内田順三コーチの打撃理論をもとに説明します。
おそらく、これまでに聞いたことのない初めて知る内容が盛りだくさんですから、ぜひ最後までご覧ください。
今回も参照するのは、「プロ野球選手だけに教えてきたバッティングドリル100:KADOKAWA」です。
それでは、始めていきましょう。
ボールを見るとは
野球の現場では、「しっかりボールを見ろ」とよく指導されます。
でも、「どのようにボールを見るのか」について、具体的に説明できる指導者は、どれくらいいるでしょうか?
ボールを見るとは、ただ目でボールを追いかけるだけじゃないんです。
ピッチャーの投じたボールを正確にとらえるためには、ボールを目でしっかり見ることに加え、頭で理解することや心の持ちかたが大切な役割を果たしているのです。
では、具体的に見ていきましょう。
ボールを見るための準備
プロ野球選手は、ピッチャーが投げるボールの球筋や動きをイメージしています。
例えば、インサイドからアウトサイドの球筋や、逆にアウトサイドからインサイドへの球筋などを頭に描きます。
それに合わせ、投手のリリースポイントやボールの回転についても、詳細にイメージしています。
目で行動をコントロールする
打席に入る前は、ボールを見てから打つまでの一連の動作を考え意識づけします。
これは、実際の打席で自然に身体が動くように、事前に動きを自己分析し計画を立てるわけです。
このときに、打席でリラックスできるように、心をスッキリさせます。
目の動きを一定にする
プロ野球選手であっても、集中力を維持するのは大変です。
ですから、ボールに集中するタイミングが早くならないようにします。
投手がワインドアップに入ったら、まず広い視野で投手を見ます。
そして、コッキングフェイズで、ボールのリリースポイントあたりに焦点を合わせます。
ボールが離れる所を見る
ピッチャーの手からボールが離れる瞬間、リリースポイントを見るためには、トレーニングが必要です。
小中学生も、常日頃の練習から、リリースの瞬間に視点を集中させることが重要です。
例えば、フリーバッティングの順番待ちの時も、投手のリリースを見てバットを振るなど工夫しましょう。
慣れてくれば、無意識に球種まで分かるようになります。
目でボールを捉えたまま追う
ピッチャーの手からボールが離れた瞬間から、ボールを中心視で捉えることは重要です。
内田コーチの理論では、自分のバッティングゾーンに到達するまで「3つのゾーン」に分けて目で追います。
第1ゾーン
ピッチャーのリリースポイントから、ホームプレートまでの半分までのゾーンです。
もし、この第1ゾーンでボールを目で追うことができないとしたら、リリースポイントを中心視で捉えられていないといえます。
第2ゾーン
第1ゾーンの終了地点から、バッターの2〜3メートル手間までのゾーンです。
ボールの回転が、どのように変化しているか分かるゾーンです。
バッティング練習では、打席に入っている選手の後ろから見て、ボールの回転を見る練習ができますね。
それを繰り返すことで、ボールの変化に気づけるようになります。
第3ゾーン
第2ゾーンの終了地点から、インパクトまでのゾーンです。
ボールを目で追うことが最も難しいゾーンです。
中心視でボールをしっかり捉えていないと、変化球はここで変化が大きく感じます。
また、ストレートは急に速くなったように感じます。
どのゾーンまで中心視で見られるか
第1ゾーンから第3ゾーンまで、全てのゾーンでボールを中心視でしっかり捉えることが、好打者の条件です。
多くのバッターは、コーチから「ボールが見えるか?」と聞かれると、「良く見える」と答えます。
しかし、大抵は3つのゾーンの中で、第2ゾーンまでしか捉えていないことが多いのです。
ですから、本当に良く見える中心視で捉えるために、様々な練習が必要になります。
一流バッターの見かた
名だたる一流の打者を育てあげた内田コーチは、選手たちにどのような「見かた」を指導してきたのでしょうか?
人間の視線は、追う対象より早く動く傾向があります。
つまり、バッターはピッチャーの手からボールが離れたあと、実際の球道を追い越して、3〜4m先を見ていることになります。
この見かたについても、指導の引き出しが多い内田コーチならではの理論があります。
仮想のラインをつくる
バッティングでは、ピッチャーが投げたボールの軌道を予測してスイングしています。
自分に向かってくるボールの軌道を予測するためには、「仮想のライン」をつくるトレーニングが重要になります。
ボールの軌道の仮想のラインをつくるというのは、見る目標を段階的につくるということです。
良いバッターは、第1ゾーンから第3ゾーンまで、3つのゾーン全てでボールを中心視で捉えることができます。
3つのゾーンでボールを追いながら、しっかり見続けることができるのです。
両眼で見る方が、距離感をつかみやすくなります。ですから、「仮想のライン」をつくりやすくなると言えます。
両目で見るには、顔をピッチャーに向けて構えられれば良いのですが、構え方や見方には個人差があります。少しオープンスタンスで構えた方が、ラインをつくりやすいという場合もあります。
小中学生は、大谷翔平選手やメジャーリーガー、プロ野球選手の良い打者の構え方を参考にしてみてください。
色々と試してみて、自分に応用できる見るラインのつくり方を見つけてみましょう。
あえて見ない部分をつくる
人の目は、中心視で見えている部分は解像度が高く認識しやすいですが、周辺視野で見るとかなり曖昧になります。
そのため、中心視でボールを見るためのビジュアルトレーニングを行う必要があります。その点については、「プロ野球選手だけに教えた打撃理論とは?」で詳しく解説をしました。
ビジュアルトレーニングは、見るための視覚トレーニングというイメージがありますね。しかし、自分の弱いところを意識して、あえて見ない部分をつくることもビジュアルトレーニングです。
これも、内田コーチならではの理論といえますね。
バッターは、誰でも長打をイメージして打席に入ります。ですから、長打が打てるゾーンを見ようとします。
特に長打が出やすいゾーンは、画像の赤い丸のゾーン、ど真ん中周辺です。
また、高めのコースは、ボールが打者の目線に近くなります。そのため、一般的には高めも長打が出やすいゾーンだと言われています。
逆に低めのコースは、バッターの目線から一番遠くを通るボールになります。そのため距離感がつかみにくく、打ちにくいコースになります。
ただ、高めのボールも低めのボールも、そして変化球も、ボールは止まっているわけではありません。
ストレートであれば、プロ野球では150km/hを超えて向かってきます。
そのため、球速が速くなるほど距離感が狂ってしまいます。
具体的には、実際の目とボールの距離よりも、近くに向かって来るような錯視が起こり打ちにくくなります。また、カーブが手元で大きく変化するように見えるのも眼の錯視です。
ですから、できるだけ中心視でボールを見続けるビジュアルトレーニングが必要です。
しかし、さまざまなコースや球種を全て見るのは困難です。そこで、全て打とうとしないで、あえて「死角」をつくって見ないゾーンをつくるわけです。
例えば、低めのゾーンを見ないようにして、バットを振らないゾーンをつくるという考えです。
このように、2ストライクまでは割り切って、あえて見ない部分を設定するという考えもあります。
ただし、2ストライク後は、四隅のストライクゾーンへも気を配り、しっかりボールをセレクトする必要があります。
全ては目から
プロ野球選手は、打席で結果を出すために、たくさん工夫しています。
あえて見ないゾーンをつくるというのも、その一例です。
そのほかにも、重心の置き方を変えたり、スタンスを変えたりしますが、これらの発想は全て「目」から始まっています。
どういうことかと言うと、構えたところからフィニッシュまでの動きをスムーズにするために、重心の置き方やスタンスを工夫しています。
スムーズに動くための工夫は、視覚反応を高める工夫とも言えます。それは、「ボールがよく見えるようにしている」とも言えるわけです。
ボールが中心視でしっかり見られるようになれば、「選球眼」がよくなります。
選球眼が良いというは、ヒットを打つだけでなく、ボールをセレクトしてフォアボールを選べることでもあります。
バッティングには、「見る力」が大きく影響しているのです。
一流バッターの見かたについては、まだまだお伝えしたいことがあります。
ですが、それはまたの機会にお話しできればと思います。
今回のまとめ
いかがでしたか?
今回は、多くの一流選手を育てた内田コーチが、どのように「見かた」を指導してきたのかをお伝えしました。
ボールを見ることは、単に目で追うだけでなく、視覚、認識、心の持ちようが複雑に絡み合う動作だと理解できたと思います。
また、プロ野球選手は、18.44mの距離を「3つのゾーン」に分けてボールを見ていることについても解説しました。
第1ゾーン:リリースポイントからホームプレートの半分まで
第2ゾーン:第1ゾーンの終了地点から打者の2〜3m手前まで
第3ゾーン:第2ゾーンの終了地点からインパクトまで
優れた打者は、全てのゾーンでボールを中心視でしっかり捉えることができます。
そのために、ボールの軌道を予測するための「仮想のライン」をつくることが重要だということがわかったと思います。
そして、内田順三コーチの独自の理論として、あえて「見ない部分」をつくることも効果的です。
これにより、特定のゾーンに集中することができるようになります。
バッティングの基本は「見る力」にあります。
ビジュアルトレーニングを重ねることで、ボールを中心視で見続けることができるようになります。
お伝えした内容を繰り返し確認し、日々の練習に取り入れることで、バッティング技術の向上につなげてください。
数々の一流選手を育てた一流の指導を実践し、お子様のプレーに活かしましょう。
そして、今回参照した「プロの選手だけに教えてきたバッティングドリル100」を確認しながら練習することが効果的です。
お手元に一冊おいておくことをおすすめします。
今回は以上です。
次回もまた、野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
内田順三著、プロ野球選手だけに教えてきたバッティングドリル100、 KADOKAWA
監修 内田順三、石橋秀幸、スポーツビジョントレーニング基礎と実践、ブックハウスHD
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