運動オンチを克服して野球スキルを高める最新情報
今回お伝えする内容です
【徹底解説】運動オンチを克服して野球スキルを高める最新情報
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
突然ですが、あなたのお子様は運動が得意ですか?それとも苦手でしょうか?
私たちへ寄せられる相談で多いのが、やはり野球のスキルレベルを高めたいという内容です。
スキルレベルを高めたいと考えているのですから、現状のスキルレベルに満足できていないということです。
それは、親の想定通りに上達していないということや、周りの選手に比べて上達が遅いといったことを感じているようです。
その時、ほとんどの親は「うちの子は運動神経が悪いから…..」と思っているようです。
運動神経という言葉は、運動能力を示す一般的な言葉として使われています。でも、運動神経を良い悪いで判断することは間違っています。
それについては、以前に詳しく解説していますので、「あなたは運動神経について勘違いしていませんか?」を再確認してもらえればと思います。
とはいえ、この情報をご覧になっているということは、野球をしているお子様の運動能力が気になっているのだと思います。
近年では野球に限らず、スポーツが得意でない子どもがスポーツ嫌いになっている割合が増えてきています。
野球は好きだけど、運動能力が向上しないという理由で、野球から離れている子どももいます。
でも、運動能力に関する親の認識が変われば、お子様は楽しみながら野球のスキルを高めることが可能です。
ということで、今回はスポーツが苦手な子がスポーツ好きになるためのアイデアを解説します。
スポーツ庁の興味深いデータもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
子どものスポーツ離れが加速中
ご存知だと思いますが、野球人口は年々減少しています。
日本高等学校野球連盟、通称「高野連」が公表しているデータでは、2014年に約17万人いた高校球児が、2022年には、約13万人まで減少しています。
これには、少子化の問題もありますが、中学生や小学生の球児の数も減っています。
これは、野球に長年携わってきた者としては、とても残念な傾向です。
調査からわかる子どものスポーツ嫌い
スポーツが嫌いだという子どもの数が増えているというデータがあります。
スポーツ庁は、全国の小学校5年生と中学校2年生を対象にした調査を毎年実施しています。
それは、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」というものです。
令和5年度の最新の調査結果を見てみましょう。
『運動(体を動かす遊びを含む)やスポーツをすることが好きですか』
という質問に対しての回答は次の通りでした。
【やや嫌い・嫌い】
小学生男子 | 7.1% |
小学生女子 | 14.3% |
中学生男子 | 10.8% |
中学生女子 | 23.6% |
「やや嫌い」「嫌い」と答えた小学生は男子が7.1%、女子が14.3%でした。
中学生では男子が10.8%、女子はなんと23.6%という結果でした。
男子・女子ともに年齢が高くなる毎にスポーツ嫌いが増えています。
また、『中学校に進んだら、授業以外では自主的に運動(体を動かす遊びを含む)やスポーツをする時間を持ちたいですか』
という質問には
【あまり思わない・思わない】
小学生男子 | 11.2% |
小学生女子 | 16.5% |
「あまり思わない」「思わない」と答えた小学生は男子が11.2%、女子が16.5%でした。
そして、『中学校を卒業した後も、自主的に運動(体を動かす遊びを含む)やスポーツをする時間を持ちたいと思いますか』
という質問に対しては
【あまり思わない・思わない】
中学生男子 | 13.9% |
中学生女子 | 23.6% |
「あまり思わない」「思わない」と答えた中学生は男子が13.9%、女子が23.6%でした。
何らかの理由でスポーツ嫌いになった子どもです。中学卒業後にスポーツを自主的に行うことに否定的なのもわかる気がします。
スポーツ嫌いが増える原因は?
スポーツや運動が嫌いになる理由を考えてみましょう。
その多くは、人と比較されることや競争を強いられることが原因だと考えられます。
でも、幼稚園のころは、その子たちも夢中で園庭を走り回り、楽しく体を動かして遊んでいたことでしょう。
例えば、縄跳びも跳べるだけで褒められていたと思います。しかし、小学生になると事情が違ってきます。
運動能力向上の仕組みを知らず比較すると
学校体育では、縄跳びも何回跳べるか、後ろ跳びはできるか、といった課題が与えられます。そして、それができる子どもが褒められ、評価されていくようになります。
できる子は、褒められれば嬉しいですから、もっと頑張ろうと思うでしょう。しかし、それができず褒められない子は、どんな気持ちになるでしょうか?
人と比較されたり、ほかの子にできて自分にできないことがあれば、自信を無くしてしまうでしょう。
そういったことが繰り返される過程で、スポーツが嫌いになっていく子どもが多くなります。
苦手があるのは当たり前
私事で恐縮ですが、私は日本体育大学・体育学部・健康学科を首席で卒業しました。
そして、プロ野球で15年間にわたり、トレーニングコーチを務めました。
ですから、「きっとスポーツや運動は何でもできるでしょ」と思われることが多いです。
いえいえ、そんなことはありません。私は、鉄棒も跳び箱も苦手でした。
陸上競技も短距離は得意でしたが、長距離はとても苦手でした。そのほかにも、できない動きや苦手なスポーツが沢山あります。
プロ野球でコーチを経験しているトレーニングの専門家でも、苦手な運動がたくさんあるわけです。
ですから、子どもたちにはこう言いたいです。
できなくても気にしなくて大丈夫
スポーツや運動は、全部が上手にできなくてもいいんです。上手にできるかどうかではなく、何でもやってみることが大切なのです。
たとえ野球が好きでも、はじめは鉄棒の逆上がりができない子は多いです。そして、跳び箱が苦手な子どもも多いですね。
もともと日常生活で、今までに逆上がりや跳び箱などをする機会はまったくなかったと思います。ですから、体育の授業ではじめてやってみた時に、できなくても当たり前なのです。
しかし、これまでの何らかの経験から、簡単に逆上がりができてしまう子がいます。
すると、できない子からすると「あの子は逆上がりができるのに、自分にはできない」とネガティブな気持ちになるかもしれないですね。
そして、親の多くは、「あの子はできるのに我が子はできない」と無意識に比較をしてしまう傾向があります。
その時、「我が子は運動神経が悪いのか?」と過度に心配になる人も多いようです。
しかし心配ありません。運動が苦手な子どもは、腕や足を動かす仕組みや働きを、体がまだ覚えていないだけです。
たかが逆上がりができないことや、跳び箱が跳べないことくらい、まったく気にすることはありません。
時代に合ったスポーツ指導を考える
再び、スポーツ庁の調査結果をみていきましょう。
ここから先の回答は、とても興味深い内容です。そして、そこに多くの子どもがスポーツが好きになるヒントが隠されています。
スポーツ庁の興味深い調査結果
スポーツ庁は、こんな質問もしています。
『平日(月〜金曜日)について聞きます。学習以外で、1日にどのくらいの時間、テレビやDVD、ゲーム機、スマートフォン、パソコンなどの画面を見ていますか』
この質問に対して
【スマホやパソコンを1日に1時間以上見ている割合】
小学生男子 | 86.1% |
小学生女子 | 80.7% |
中学生男子 | 94.0% |
中学生女子 | 92.7% |
スマホやパソコンを1日に1時間以上見ている小学生の男子は86.1%、女子が80.7%でした。そして、中学生は男子が94.0%、女子が92.7%もいることがわかりました。
小学生、中学生のほとんどが、スマホやパソコンを1日に1時間以上見ているのです。
さらに、次のようなデータもあります。
【スマホやパソコンを1日に3時間以上見ている割合】
小学生男子 | 42.0% |
小学生女子 | 36.7% |
中学生男子 | 47.3% |
中学生女子 | 46.0% |
なんと、スマホやパソコンを1日に3時間以上見ている学生の割合が小学生の男子で42.0%、女子が36.7%です。
そして、中学生になると男子が47.3%、女子が46.0%もいることも報告されています。
中学生になると、男子も女子も1日に約2人に1人が3時間以上もスマホやパソコンを見ていることになります。
つまり、小学生も中学生もスポーツ嫌いが増える一方、相反してスマホやパソコンを見ることが楽しいと感じていることがわかりました。
昭和世代の親なら、「スマホやパソコンを見ないで勉強しろ!」「スポーツをしろ!」というのが定番でしょう。
ですが、時代背景は大きく変化しました。今は令和ですから、時代に合った形で子どもに寄り添って考えてあげましょう。
では、そのための方法を考えてみます。
ICTを活用したスポーツ指導法の提案
もうひとつスポーツ庁の調査には、興味深いデータがあります。
『体育の授業で、タブレットなどのICT(インターネット、アプリなど通信技術を使うコミュニケーション)を使って学習することで、「できたり、わかったり」することがありますか』
という質問に対して
【いつもある・だいたいある】
小学生男子 | 55.4% |
小学生女子 | 57.2% |
中学生男子 | 55.2% |
中学生女子 | 54.2% |
「いつもある」「だいたいある」と答えた小学生は男子が55.4%、女子が57.2%でした。
そして、中学生では男子が55.2%、女子が54.2%もいることがわかりました。
体育の実技は「できる」ことがすべてではありません。
それは、動きの仕組みがわからないけど、たまたまできることがあるからです。
運動スキルが向上する仕組は「わかる」から「できる」
スポーツや運動技能は、次のような仕組みで習得されていきます。
- わからないからできない
- わかっているができない
- 意識すればできる
- 意識しなくてもできる
このような過程を経て進んでいきます。
スポーツや運動の動きの仕組みが「わかる」ことが出発点になるのです。わかって、できるようになる。この順番がとても重要なんです。
これは、野球のスキル向上にも同じことがいえます。
そこで、ホロス・ベースボールクリニックからの提案です。
親としては、子どもがスマホやパソコンを見ている時間が気になるところですね。
ですが子どもに対して、スマホやパソコンを見ている時間が長いことを咎めるだけでなく、それをスキルアップに繫げていきましょう。
つまり、スマホやパソコンのようなICT端末を使い、スポーツや運動を「わかる」ためのツールとして活用するというアイデアです。
そのように、子どもに寄り添いながら一緒に活用していくことが、新しいスポーツ指導の方法になると考えられます。
スポーツや運動が苦手な子どもは、腕や足を動かす仕組みや働きを体がまだ覚えていないだけです。
脳から運動神経を通じて指令を出す「通り道」ができていないわけです。
ICTを活用したスポーツ指導法
脳で処理した情報を、正しく全身の筋肉に伝える仕組みをつくり、運動神経を太くつなげていくことが大切です。
スポーツや運動の苦手な子どもは、脳で処理した情報を動きに変えることが苦手なだけです。
今が「わからないからできない」状態であれば、ICT端末を上手に使い、「わかる」状態にしていきましょう。
「わかる」から「できる」への法則とは?
わかることで、子どもが運動に興味を示す可能性が高まるはずです。
それらの運動を通して運動能力が高まれば、野球のスキルアップもスムーズになることでしょう。
さらに、「わかっているができない」状態を「意識すればできる」状態にするために、楽しみながらできる練習方法を見つけていきましょう。
すると、やがて「脳からの指令の通り道」が体中の筋肉につながっていき運動能力が高まります。
多くの親や指導者は、この順番が正しく認識できていないことがあります。それが原因で、子どもが運動嫌いになっていると考えられます。
野球には、いくつもの運動能力と専門スキルが求められます。
親や指導者は、「できないこと」に目が向きがちです。そのできないことを「できる」に変えるために、子どもに無理を強いていることがあると思います。
それでは、効果が期待できません。
楽しみながらが重要
研究でわかっていることは、「楽しむ」ことの重要性です。
楽しみながら運動を行うと、脳内でドーパミンが分泌されます。それには、動作の記憶の定着を助ける効果があります。
そして、楽しい環境でする運動は、ストレスを軽減します。これもまた、脳の認知機能や集中力が向上するのを助けます。
結果として、効率的に動作を習得することが可能になります。
ですから、お子様が楽しみながら練習できる環境を整えてあげてください。
今回お伝えした内容が、お子様の野球スキルの向上に繋がることを願っています。
今回のまとめ
いかがでしたか?
今回は、子どもがスポーツを好きになるきっかけづくりのアイデアをお伝えしました。
野球は好きだけど、なかなかスキルが上達しないという場合は、次のどちらかの可能性が高いことが理解できたと思います。
- わからないからできない
- わかっているができない
それを克服するために、「目で見てわかる」ようにする工夫が必要でしたね。
そのために、ICT端末を上手に活用することを提案しました。
そして、お子様と楽しみながら上達できる練習方法を見つけて、練習を繰り返してください。
すると、「3. 意識すればできる」状態になり、やがて「4. 意識しなくてもできる」ようになっていきます。
今回の内容も繰り返し確認して、お子様の野球のスキルアップに役立ててください。
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ぜひ、活用してみてください。
今回は以上です。
次回もまた、野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
引き続き、野球の上達のために頑張っていきましょう。
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それでは、またお会いしましょう。
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