【ケガで野球をあきらめないために】”体の個性”を知れば肩やヒジのケガを予防し野球が上達する!
今回お伝えする内容です
【ケガで野球をあきらめないために】”体の個性”を知れば肩やヒジのケガを予防し野球が上達する!
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
あなたも、一度は思ったことがあるかもしれません。
「みんなと同じように練習してれば大丈夫」
「練習は、すればするほど上手くなる」
…本当にそうでしょうか?
あなたが良かれと思ってやっている練習が、もしかすると、お子さんのケガのリスクを高めているかもしれない。
そう言われたらどう思いますか?
実は、体の特徴を知らないまま野球をすることは、ケガのリスクが高まると知っていましたか?
体の特徴は、野球の動作にとても大きな影響を与えます。
たとえば、ある選手は肩の柔軟性が低いために、ヒジが上がりにくくなっています。また、体幹が弱い選手は、軸がぶれやすい傾向にあります。
このように、課題や原因は選手それぞれです。だからこそ、お子さんの体の特徴を正しく理解することが、とても大切なのです。
そして、疲れの管理をおろそかにすることも、ケガの誘発に繋がりますが、それもそれぞれの体の特徴や環境が影響しています。
そこで今回は、私の35年の研究と指導で得た知見をもとに、海外の最新の研究結果も交えて、体の特徴とケガの関係について解説していきます。
今回の内容を全て確認することで、次のことがわかります。
- 投球時の疲れの兆候を見極めるポイント
- 疲れを引き起こす複数の要因
- 疲れを無視した危険な練習とは
- 体の特徴を理解することの重要性
- 適切な体のケアがケガを激減させた事例
これらのことは、ケガを予防できるだけでなく、安定して良い結果を出すために必要です。
実際に、高校球児を対象とした研究では、適切な体のケアを行うことで、肩とヒジのケガのリスクが36%も減少しました。
このように、正しい知識と適切なケアがあれば、お子さんのケガのリスクを大きく減らすことができます。
今日からその方法を実践して、安心して野球を続けられるようになりましょう。
ですので、ぜひ最後までご覧ください。
疲労サインを見抜いてケガを回避
プロ野球の投手は、投球数や体調などが徹底管理されています。
体力面も技術面も一流のプロが、徹底した管理をしているのですから、小中学生もお手本にしていきたいですね。
実は、試合で投げている投手が、「体の疲れ」を感じているとしても、「肩やヒジの筋肉が疲れる」というのは、なかなか自覚しにくいことです。
ですから、大人が子どもの疲労サインを見抜いて、早めに対処することが、ケガの予防につながります。
肩・ヒジが危険信号を出す瞬間を見逃さない
選手は誰でも、試合に最後まで出続けたいという強い思いを持っています。
私の経験では、選手から「疲れたので交代したい」と言われたことは一度もありません。むしろ、「疲れが見えてきたから交代しよう」と声をかけても、全員が「大丈夫です」という選手ばかりでした。
指導者の中には、制球が乱れはじめた投手に対して、「ここは実力を高めるためにも踏ん張らせよう」とか、「ここを乗り切れば気持ちが強くなる」と考え、投球を続けさせてしまうケースがあると思います。
しかし、その前に選手の体の状態をしっかりと理解し、慎重に判断することが大切です。
疲労のサインを見逃さず、適切なタイミングで交代させることが、選手をケガから守り、成長へとつなげていくカギとなります。
選手の疲れのサインについては、「投球を続けると何が原因で肩痛になるのか?」で解説をしましたが、主なポイントを確認しておきましょう。
最も重要なのは、コントロールの乱れです。
投球数が増えると、肩の筋肉が疲れてリリースポイントが下がります。投手がそれを修正しようとして、リリースポイントを無理に上げようとすると、体が傾きます。
また、下半身も疲れてくるので、踏み込み足のヒザの角度も深くなります。そして、ヒザが開くことで体も開いてしまいます。
これらの動作の変化の中で、もっとも確認しやすいのが「ヒザの角度」です。投げはじめた時のヒザの角度を基準にして、その変化を注意深く観察することをオススメします。
とはいえ、小中学生の場合は、そもそもコントロールに課題がある投手がいますね。それは、現在の投球フォームに改善の余地があるのかもしれません。
それについては、最後に説明します。
疲労の兆候が見えたら
子どもの体は、まだまだ発育段階です。
大人のように疲労を自覚することが難しいことがあり、無理をしてしまいがちです。ですから、疲労の兆候が見られたら、休ませることが重要です。
疲労が重なると、重大なケガにつながるリスクが高まります。
投球数による管理は、疲労度を判断する客観的な指標のひとつとして役立ちます。
でも、投球数だけを基準にするのは危険かもしれません。
たとえば試合では、ピンチの場面では全力投球が続きます。そんな時は、いつもより早く疲れが出てくるでしょう。
試合前日は、緊張からぐっすり眠れなかったり、食事が進まないこともあると思います。
また、夏の試合は、春よりも体力を消耗しやすいですね。
こうした体調や環境の変化も投球に影響を与えます。
この点は、試合だけでなく練習でも気をつけたいところです。
私が時々耳にするのは、小中学生への「投げ込み」の話です。 小学生に100球、中学生に250球という例も実際に聞いています。
「投球を続けると何が原因で肩痛になるのか?」で解説したように、大学生の投手でも、54球以降は肩の筋肉が急激に疲労します。
だから、成長期の子どもに投げ込みをさせるのは、とても危険だと言えます。
これまでは、体のどこがどんな風に疲れているのか、なかなかわかりませんでした。でも最近は、新しい技術で、疲れを客観的に測定できるようになってきました。
これからは、小中学生でも科学的なデータをもとに練習を組み立てていく時代です。
大切なのは、疲れと上手に付き合いながら、「やりすぎ」にならない練習方法を見つけることです。
ちなみに、疲れの管理法については、「球児のお父さん、お母さん、お子様の”健康と安全”をしっかり確認してますか?」で詳しく解説しています。
併せて確認してみてください。
自分の体の特徴を知ることが大切
グラウンドで子どもたちを見ていると、体の使い方は十人十色だと気づきますね。
それは、筋力や柔軟性の違いが影響しているからです。
関節の可動域は人それぞれ違います。 柔軟性が高い部分があれば低い部分もあります。筋力も同じように、それぞれに強い部分と弱い部分があるのです。
このような特徴から、無意識に特定の筋肉や関節に負担が集中しがちです。
先ほど、小中学生のコントロールの課題についてお話ししましたね。
特に小学生は、肩周りの筋力不足で投球フォームが乱れやすいです。また、肩の柔軟性が低いと、肩を痛めるリスクも高まります。でも、肩周りの筋トレとストレッチをしっかり行えば、投球は安定します。
実は、これを裏付ける面白い研究結果があります。
高校球児を対象とした研究では、毎日の肩甲骨後方のストレッチで肩関節の可動域が改善。その結果、肩とヒジのケガのリスクが36%も減少したのです。
また、別の研究では、さらに興味深い発見がありました。
それは、肩のケアに加えて、体幹と下半身の強化、バランス改善を組み合わせたところ、肩とヒジのケガのリスクが50%も下がったのです。
体幹が弱いと、投球時に体が不安定になって腰を痛めやすくなります。だから、全身をバランスよく鍛えることが大切なんですね。
ただ、同じ練習メニューでも、人によって効果や負担は大きく異なります。 自分の体の特徴に合わせたトレーニングが何より必要です。
最近では、体の特徴を測定することが簡単にできます。そして、投球動作の分析も簡単に手頃な価格でできるようになっています。
この機会に、お子さんの体の特徴と投球フォームを確認してみませんか?
私たちは、最新技術を使った動作分析で、具体的な改善点をアドバイスしています。また、全身をバランスよく意識したトレーニング指導も行っています。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
今回のまとめ
いかがでしたか?
今回は、子どもの野球の上達と安全のために、体の特徴を理解し適切な練習をすることの重要性についてお伝えしました。
主なポイントは次のとおりです。
- 野球の動作は、体の特徴が大きく影響する。
- 柔軟性や筋力バランス、体幹の強さなどは、簡単に測定できるようになった。
- その特徴に応じたトレーニングやストレッチで、ケガのリスクを大幅に減らせる。
- 投手の疲れは、投球数だけでなく、試合の状況や環境、体調なども含めて総合的に管理する必要がある。
体の特徴を理解し、適切なケアを行うことで、お子さんは必ず成長していきます。これからも、安全で楽しい野球を続けていってください。
それでは、引き続き野球の上達のために頑張っていきましょう。
次回も、さらなる野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。
野球上達に関するお悩みや疑問点がありましたら、いつでもご連絡ください。
あなたからのご連絡をお待ちしています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献:
石橋秀幸著、野球障害で泣かない!肩・ひじ・腰を治す、西東社
石橋秀幸著、マー君をめざす最新トレーニング、廣済堂出版
石橋秀幸著、レベルアップする!野球 科学・技術・練習、西東社
石橋秀幸著、野球体をつくる!、西東社
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