【あるある】野球の帰り道、よかれと思った一言で子どもが黙り込む理由

【あるある】野球の帰り道、よかれと思った一言で子どもが黙り込む理由

石橋秀幸
元広島カープ一軍
トレーニングコーチ

バッティングセンターで、よかれと思って伝えたフォームへの一言。すると、ふっと黙り込んだ…

実際に、こんな声が届いています。

「父親が野球に関わると、猛烈に嫌がるようになり、ふてくされもひどいです」

別の方からは、「父親のアドバイスを素直に聞けず、喧嘩になってしまう」という声もあります。

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

お子さんが、思春期で反抗的になっているかもしれません。でも、本当の原因を知れば大丈夫です。

ただ、その原因は、おそらくあなたの思うこととは別のところにあります。それをこれから、私の35年以上の研究と指導経験からひもといていきます。

家庭でのお父さんの役割をひとつに絞るだけで、お子さんは安心して野球を続けられる居場所ができます。そして、あなた自身も「どこまで言っていいのか」という迷いから解放されます。

今回の内容を最後まで確認すると、練習後の親子の会話が楽しみに変わっていくでしょう。

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それでは、本編を進めていきましょう。

「教える人」と「味方でいる人」を分ける

教える人と、味方でいる人。

家庭でこの2つを同時に担おうとすると、どうしてもぶつかります。

上手くなってほしいのですから、教えるのは当然です。しかし、それでも家庭には残しておきたい「ある余白」があります。

家庭内では、コーチとしてではなく、少し違った関わり方を試してみませんか?

家庭でお父さんがコーチになると…

熱心なお父さんほど、YouTubeなどで知ったことを、家に持ち帰ります。

「せっかく良いことを知ったのだから、教えてあげたい」

ごく自然な気持ちです。でも、そのひとことは、あなたが思う以上に重く届いています。

家で素振りを見ていて、つい「ヘッドが下がってる」と口にする。あなたにとっては、軽い確認のつもりです。

ところがお子さんは、それを「また批判された」と受け取ります。しかも、親が感じているよりずっと強く

この受け取り方のズレは、ポルトガルのマデイラ大学の研究チームの調査で、はっきり確認されています(Lopes, 2024)。

軽い気持ちの一言でも、お子さんの中では「できていない」というダメ出しとして積み重なっている、ということです。

同じ調査では、技術の話を強くされる子どもほど、成績へのプレッシャーも、親の期待の重さも、強く感じていました。

練習場でも、家でも評価されると、子どもは安心して失敗できる場所を、少しずつなくしていきます。

なお、雨の日など家で練習に付き合うときに、熱心なアドバイスがかえって上達を止めてしまう仕組みについて、関連記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:【親必見】野球で伸びる子の親が、家で”していない”こと

父親の役目は「余白」を守ること?

「もっと上手になってほしい」「教えられることは教えたい」

その気持ちは、とても自然です。でも、家の中に「評価されない場所」を残しておくことも必要です。

家庭が「直す場所」に変わった瞬間、お子さんは逃げ場をなくします。自分の意思で野球を続けるための、余白が薄れてしまうんです。

多くの研究を集めて分析した調査によると、親が子どもの気持ちを尊重して関わるほど、やる気は伸びていました。反対に、やり方や結果を細かく管理すると、やる気はしぼんでいきました。

家庭でのあなたの関わり方は、お子さんのやる気と深く結びついていると言えます。

これは、研究にもはっきり表れています。メキシコの研究チームが、少年野球の選手と父親、533組に尋ねた調査があります。

父親が「この子に、人としてしっかり育ってほしい」と願って関わるほど、子どもの心は満たされることがわかりました。

逆に、父親が「結果」や「まわりの評価」を強く求めると、子どもの心は満たされにくくなりました。そして、野球をやめたい気持ちが強まっていたんです(De La Cruz, 2021)。

また、子どもの中にある「やりたい」という気持ちを消さずに引き出す親の関わり方について、関連記事でもご紹介しています。

関連記事:野球の伸びしろ】あなたはどっち?「やらされ感」で潰すor「やりたい」を引き出す!運命の分岐点とは

「技術はコーチ、家庭は安心」で分ける

では、どう切り替えればいいのでしょうか?

考え方は、選手・親・コーチを、ひとつの三角形と考えることです(アスレティック・トライアングル)。

技術を教えるのはコーチの役目です。安心して戻れる場所をつくるのは、家庭の役目です。

この分担がある家庭には、共通点があります。

親がコーチを信頼していることです。カナダのトロント大学の研究チームがコーチと保護者に聞き取りをした調査があります。

「保護者のコーチへの信頼がなくなった瞬間に、問題が生まれる」(Azimi, 2025)。

親がコーチを信じきれていないと、その迷いは、必ずお子さんにも伝わります

とはいえ、家で何も言うな、というのは無理な話です。毎日そばで見ていれば、気づいたことを伝えたくなる。それが、親というものです。

ですから、伝え方を、変えてみてください。技術のことを言いたくなったら、指示ではなく、質問にするんです。

たとえば「ヒジが下がってたよ」と言えば、それはダメ出しになります。でも「今の球、どんな感覚だった?」と聞くとどうでしょう?

同じ場面が、お子さんの話を聞く時間に変わります。

イタリアの研究チームの調査では、子どもが親に望んでいたのは、ほめることと、わかろうとすることでした(Bonavolontà, 2021)。

「どうだった?」という質問は、その両方に自然につながります。

その他の研究にも、ヒントがあります。たとえば、決めごとを一方的に押しつけるのではなく、理由を説明し話し合いながら関わるスタイルです(Liu, 2024)。

もちろん、お子さんから「どうすればいい?」と聞かれたら、短く答えて構いません。コーチの教えと食い違わない範囲にとどめておけば大丈夫です。

子どもは大きくなるほど、説教を嫌がるようになります。親の役割は、成長とともに関わり方を変えていくことです。

さらに、技術面には口を出さず、態度やマナーだけを見守るという具体的な線引きの仕方について、関連記事でも詳しく解説しています。

関連記事:要注意】反抗期の子どもと野球…“燃え尽きる子”と“伸びる子”を分ける親の関わり方

今回のまとめ

教えたい気持ちを、手放す必要はありません。

ただ、役割を変えると家の空気は変わります。

バッティングセンターの帰り道、黙り込んでいたお子さんが、今日あったことを自分から話し始めるかもしれません。

お子さんの野球で気になることがあれば、いつでもご相談ください。

それでは、引き続き一緒に野球の上達を目指していきましょう。

次回も、お子さんの上達につながるお話をお届けします。楽しみにしていてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

1. The role of parents in the motivation of young athletes: a systematic review(PMC10800670)

2. Exploring the development of coach-parent relationships in organized competitive youth team sports(PMC12685178)

3. Analyzing Parental Involvement in Youth Basketball(PMC11679445)

4. The Father in Youth Baseball: A Self-Determination Theory Approach(PMC8123654)

5. The Role of Parental Involvement in Youth Sport Experience: Perceived and Desired Behavior by Male Soccer Players(PMC8391271)

6. Being a right parent: a narrative review of the theory and practice of parental involvement in sport parenting(PMC11190379)

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